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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第99号] 事業再構築補助金
2021年4月21日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の99】
『危機を乗り越えた先に見える世界 』
人口減少と高齢化による企業数の減少は避けようがなく訪れるわけだが、今回のコロナ危機はそのスピードに拍車をかけたと言えるだろう。
今までと同じで乗り切れた会社もあるかもしれない。
だが社会は目まぐるしく常識を変え、気づいた時には時代に取り残されてしまうことも経営の常である。
今だけではなく、未来に危機感を抱く経営者であって頂きたい。
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今回はアフターコロナを見据えて事業転換や新分野展開などを考えていらっしゃる経営者の方々へ向けて、4月15日より申請の始まった「事業再構築補助金」についてお知らせいたします。
アフターコロナに適応する業種業態転換を支援する補助金
事業再構築補助金はポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、企業の思い切った事業再構築を支援するために経済産業省が行っている事業です。
対象は新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する!というものです。
要件としては大きなものが3つございます。
1.申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等
2.事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等
3.補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成
上記1.~3.の要件を満たした場合に中小企業の場合、通常枠で補助額100万円~6,000万円で補助率2/3、卒業枠で補助額6,000万円超~1億円で補助率2/3となっております。卒業枠とは中小企業者等から中堅・大企業等へ成長する事業者向けの特別枠で400社限定です。
さらに中堅企業の場合、通常枠で補助額100万円~8,000万円で補助率1/2(4,000万円超は1/3)、グローバルV字回復枠で補助額8,000万円超~1億円で補助率1/2となっております。グローバルV字回復枠は100社限定で、大きな成長を目指す中堅企業向け特別枠です。
この事業再構築補助金の総予算としておよそ1.1兆円が確保されております。持続化給付金が赤字填補という守り型の給付金だったことに対して、事業再構築補助金は新たな取り組みを行う設備投資などを補助する攻めの補助金といえます。
日本企業の生産性向上に向けた取り組み
これまでも中小企業施策として「ものづくり補助金」が実施されていましたが、残念ながら生産性向上にはつながらなかったと結論付けられたようです。
それを踏まえた上で菅総理のブレーンの一人である元金融アナリストのデービッド・アトキンソン氏が提唱する「中小企業改革」により生産性を高める方向性に舵を切りました。この中小企業改革は、中小企業が統廃合すること、つまりM&Aなどにより小さい企業が結合することで規模の大きい企業になり、結果として生産性が上がるという考え方です。
税理士業界の新聞にも今後中小企業が200万社減少、といった記事が最近ございました。日本には約270万の法人と130万の個人事業主がいると言われているので、2社に1社がなくなるイメージです。
捉え方は色々ですが、いずれにしても日本の事業所自体は将来減少していくということは間違いなさそうですし、生産性を上げていく努力を怠ると生き残れる可能性は小さくなってしまうでしょう。
今回の事業再構築補助金はまさにアフターコロナに向けて、事業自体の見直しや業態変更にかかる設備投資を補助するものになっております。補助金ありきでの設備投資は補助金で賄えない部分がキャッシュアウトしていくので論外ですが、新たな業種・業態に進出しようと考えられている経営者の皆様には利用価値が高い補助金のように思われます。
もちろん申請すれば必ず補助金がもらえるとは限りませんし、しっかりした事業計画を社長自身の手で作成しなければなりません。さらに設備投資すべきものについては相見積もりをとらなければならないなど手間がかかるのも事実です。
しかし国に投資額の2/3を援助してもらえるのですから、新規事業や新規業態開発を考えられている社長にとっては朗報であることに間違いはありません。
一次公募の申請が4月15日より始まっており、締め切りは4月30日となっております。また二次公募は5月から開始され、四次公募まではあるようです。過去の類似した補助金の実績から見ると一次公募のほうが採択される確率は高いようです。ご検討されている経営者の方々は申請をされるようであれば早めに申請されたほうがよいかもしれません。
上述した通り、今回の補助金には「認定支援機関と共に事業計画を策定し、一体となって事業再構築に取り組む」という要件がございますが、我がマエサワ税理士法人も認定支援機関の認定を受けております。計画策定にご協力できる部分も多々ございますので、もしご興味がございましたら、マエサワ税理士法人担当者になんなりとご質問ください。