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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第57号] 人は易きに流れやすい
2019年9月11日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の57】
『約束・ルールを守る』
どんな小さなことでも約束は必ず守る。
こちらが小さいと思うことでも、相手にとっては大きなことである場合がある、ということを忘れてはならない。
サービスへの信頼・満足とは、こうしたひとつひとつの積み重ねなのだ。
だらしなくルールを守る、そもそもルールを守らない、自社にそのような組織人が増えていないだろうか?
そのような方々が外部からどのように見られてしまうかを考えて頂きたい。自社の信頼を損なってからでは遅いのである。
経営者たる以上、社員はもちろん己自身が易き方向に流されていないか常に注意深く構えて頂きたい。
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これまで顧問先様で実際にあったことを取り上げて書かせて頂くことが多かったのですが、今回は私自身が最近注意を受けたことを取り上げます。
弊社『褒賞懲罰委員会』の出来事
マエサワ税理士法人には、内部規律を保つために、法規委員会や研修委員会と称する委員会がいくつか設置されております。(私自身も複数の委員会に所属しております。
そのひとつにに褒賞懲罰委員会という委員会があります。開催は原則として毎月月末の月曜日です。この委員会には私を含めて5人の委員がおります。この委員会で検討されるのはマエサワ税理士法人全職員についての毎月の褒賞事項あるいは懲罰事項です。
税務調査の結果、申告が是認(誤りが発見されること等により追徴課税されることがなかった)されたり、1年間無遅刻無欠席であったり、所内効率化のための提案が採用されたり、といった事務所の発展に寄与する行動があった場合、この委員会の権限で該当する職員が褒賞されます。
一方で懲罰事項といえば、例えば、税務調査で修正申告をすることになったり、決められた書類の不提出であったり、朝の清掃当番の不実施だったり、などが挙げられます。
これらひとつひとつについて委員会のメンバー5人で検討していき、該当者を抽出し、議事録を作成し、会長に確認していただきます。そして検討結果は次に開催される月曜研修の時に公表されます。褒賞事項には褒賞金が送られ、懲罰事項には罰金が科されます。
さて、この褒賞懲罰委員会なのですが、7月の開催も8月の開催も参加者は委員2名のみでした。委員である従業員はそれぞれ月次監査で飛び回っており、なかなか全員が揃うのは難しい状況にあります。意識的に委員会を避けたわけではなく、関与先様訪問と委員会開催が重なってしまった結果、欠席者が発生してしまうことがあるのです。参加委員が2名であっても委員会を開催しないと、特に褒賞事項の表彰ができないため職員に迷惑が掛かります。そこで2人でもひとまず委員会を開催したわけです。
その結果、会長から言われたのが、「5人で開催する委員会を2人で開催してどうする、全く意味をなさないではないか!」というものでした。
だらしなさの蔓延は組織の弱体化を招いてしまう
会長が私に伝えたかったことは、委員会の運営に対する苦言だけではありませんでした。あるべき姿で実行するべきものをだんだん崩していくと必ず形骸化する。この状態が続けば、この委員会自体が事実上崩壊するのは当然の話で、もっともまずいのはマエサワ税理士法人自体があらゆるところでだらしなくなってしまい、それが外から見えるマエサワ税理士法人となってしまうという指摘です。仕事をしている(月次監査をしている)から欠席もやむをえないとかそういう問題ではない、もっと大きなミスを私が犯していることに対する叱責でした。
誰でも人は易きに流れやすいものです。「仕事だから」という体のいい言い訳があればなおさらです。しかし我々が顧問先様社長に提供しているサービスは、直接「ゼニ」に関わるところで、人間の本質がモロに出るところです。にもかかわらず私自身がこういったひとつひとつの小さなルールを遵守できないようでは、到底、顧問先様社長に対してご満足頂くだけの質の高いサービスの提供などできるはずがありません。
このことは、まさに私自身の考えの甘さが出てしまった点だと痛感しました。易きに流れることのないように、私自身が先頭に立って締めていかなければならないところを、逆に許している姿が会長の目に留まり、強く注意されたのだと思います。
褒賞懲罰委員会については月末の月曜にこだわることもないので、今後はメンバーが事務所に揃っている時を見計らって行なっていくことにしました。
人も組織も生きています。日々刻々変わっています。やはり経営者たる以上は易き方向に変わっていないか常に注意深く見ていく必要があると実感しました。5名で行う委員会を2名で開くことの何が悪い、といえばそうかもしれません。しかし決めたルールはその通りやっていくのが筋です。それをなあなあにしているうちに、組織自体が弱体化してしまう。やはり私自身がそうならないように、常に易きに流されないように戒めてまいります。
「まあ多少はいいだろう」の私自身の勝手な考えが職員に蔓延していき、やがては事務所自体を腐らせ、ひいては顧問先様に対するサービスの質を落とすことにつながってしまう、ということをもっと真剣に捉えなければならなかったわけです。
今回は「前沢はまだそのレベルか」と社長の皆様にお叱りを受けてしまうような本当にお恥ずかしいお話でございますが、経営者として今後「易きに流れる」ことのないようにと自分自身への戒めのために書かせて頂きました。
今回ばかりは笑って読み飛ばして頂ければ幸いです。まだまだ精進、精進、きっと一生のことなのだと思います。ミスも活かさなくては本当に馬と鹿になってします。今回も最後までお読み頂きましてありがとうございました。