マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

効率より効果が重要

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第58号] 効率より効果が重要

2019年9月25日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の58】

『効果の為の効率化』

生産性を向上させるにはどうしたら良いのか?
それは経営における永遠のテーマである。

近年、働き方改革や現場の人手不足により、効率化を前面に押し出さねばならない局面が増えてきた。
メディアではしきりに労働時間の削減による私生活の向上を謳っている。
一面ではそれも事実ではあるが、企業において単純に労働時間を削減するだけでは本質的な改善には繋がらない。
単に働く時間が減り、給与が増えるという現象は通常起こりえないからである。

効率化とは一言で言えば「時間をつくる」ことだ。
空いた時間にホッと一息。これだけでは本末転倒。
その時間を売上向上、つまり儲けの貢献にどう遣うかが本題であることを忘れてはならない。
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今、世の中では盛んに効率化が叫ばれています。とりわけ企業経営において耳にする機会が多いのは経理の効率化や営業の効率化でしょうか。

経理の効率化といえばアウトソーシング(経理の外注)などが挙げられるかもしれません。会社で経理のために人を雇えば、その人の給料、会社負担の社会保険料、その他研修等の厚生費などがかかってきます。そして繁忙期はともかく閑散期でもかかる経費はほとんど減ることはありません。だからこそ必要な時に必要な分だけ経理をアウトソースすることが経理の効率化につながると考える訳です。

営業の効率化といえばお客様の所に直接訪問せずにネット上で営業できるツールのコマーシャルなどを目にした方もいらっしゃるかと思います。
今風の営業効率化のCMでは昭和風の外を歩いてなんぼ、と言わんばかりにふくらはぎのヒラメ筋を見せる営業とネットで得意先と話を進めていく今風の営業を比較して、「これからは無駄に外回り営業をするのはやめよう」というようなことを訴えています。

これらについて感情的にどう思うかは置いておき、経理の効率化や営業の効率化というのはどの程度重要なのかということを考えてみました。

『効率化』出来た時間で効果に目を向けられるか

効率化というのは会社内部の話です。経理の効率化というのは経理にかかっている経費をどれだけ削減できるか、ということですし、営業の効率化もおそらくは交通費の削減・交際費の削減あるいは営業に回る時間の削減ですので、大きく見れば経費の削減に他なりません。

もちろん、無駄な経費があればその部分は削減する必要があるでしょう。また旧態依然のやり方を続けてることで経済合理性が失われているのであれば、現代的な新しい方法を導入し、効率化を図っていかなければなりません。

言葉で書けばその通りと思うことでも、昨日まで正しいと思っていたことを今日から直すというのはなかなか難しいことです。多少無駄なことだと思っていても今まで通りやった方が楽だからです。

例えば、会計システムもIT化の波が押し寄せています。今日では領収証をスキャンしたり銀行データを取り込むことで仕訳を自動で入力できます。たしかに顧問先様の経理の効率は上がるので、経理の方々の負担は軽くなります。これにより残業がなくなるのであればそれはひとつの効果になります。ですからマエサワ税理士法人も経理のIT化のお手伝いをしております。

しかし経理のIT化は経理の人達を楽にするために行う訳ではありません。効率化することで生まれた時間を「いかに経営に役立つかたちで利用できるか」が重要なのです。経理担当者ならではの視点で分析や資料作成を進めるなど、より経営に役立つ情報の収集が重要な訳です。

効率化を進めることで一定のコスト削減効果はありますが、それにも限界があります。
以前にもお話させて頂きましたが、損益計算書を上から項目を並べてみると売上高→売上原価→売上総利益→販売費及び一般管理費→営業利益となっております。これは経営上、重要な順に並んでいるとも言えます。つまり経営上まず考えるべきは、「売上」であり、販売費及び一般管理費はその下に位置する訳です。会社を成長させよう、大きくさせようとすればまずは売上を大きくしなければなりません。売上を伸ばすにはなんといってもお客様に評価される商品・サービスを提供することです。とすれば会社経営上一番に考えるべきは売上をいかに伸ばすか、いかにお客様に受け入れられる、そして適正な報酬を頂ける商品・サービスをいかに提供するかにつきます。

マエサワ税理士法人で言うならば、いかに顧問先社長にいろいろな意味での儲けにつながるご提案をし続けられるかです。これは効率化を進めたからといって達成できるものでは断じてありません。なぜなら今お話したことは効率の話ではなく、効果の話ですから。

『効果』会社の成長、儲けに繋がる時間を

効果というのは会社内部の話でなく、お客様に対してのものです。ですから効率化をいくら進めても効果は変わらない。効率化を進めることで少なからず経費削減はできますが、売上を伸ばすことにはつながらない。だから会社が成長することはない訳です。

会社を成長させるためには売上を伸ばさなければなりません。売上を伸ばすということはお客様にとって価値あるものを価値ある価格で売ることです。言い換えれば、たくさんの効果をお客様へ届けることです。そのためには扱っている商品・サービスの質を向上させるしかありません。

効率化を図ることは重要です。無駄な経費は支出する理由がありません。削減できる経費は徹底的に見直して削減すべきです。ただ闇雲に削減しても社員のモチベーションを下げてしまいかねないでしょうし、そこを必要以上に厳しくするくらいであれば、むしろ売上を増加させるためにどうしたらいいのかに目を向けるべきだと感じます。

最後に冒頭の話に戻ります。冒頭に挙げたような営業や経理の効率化については、「どうだろう?!」と感じる部分もあります。(私はやはり昭和の人間なのかもしれません。)しかし一方で経営の本質は変えずとも日々の経営は柔軟に変化に対応していかなくてはなりません。日々実験をしていかなくてはならないと感じております。

今回もお付き合い頂きましてありがとうございました。