マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

経営安定化のための安定収入について

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第61号] 経営安定化のための安定収入について

2019年11月6日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の61】

『長く成功を続けるために』

経営の世界は銭で成り立つ。
稼ぎが安定しているに越したことはない。
たとえ不安定でも、極論お金がきちんと回っていれば当座の心配はないわけだ。

少し目線を広げるとどうだろうか。
稼ぎ頭が病に伏せることもあれば、離脱することもあるだろう。
承継や売却という未来を視野に入れるときもいずれは訪れる。
有事の際、安定収入の仕組みがある会社とそうでない会社では、採れる選択肢に大きく差が出てしまうのだ。
時間を掛けてでも、安定した商品・仕組みの開発を積み上げて頂きたい。

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会社を発展させるためには、(原則的には)売上拡大が必須です。もちろん売上拡大には利益拡大がついてこなければなりません。利益拡大のない売上拡大はただの膨張にしかすぎず、早晩、会社は衰退の道を歩むことになってしまいます。

ではすべての会社が売上拡大を目指すべきかと言われれば、例外もございます。
社長自身が会社の拡大、つまり売上拡大を目指していない場合もあります。さまざまな条件を考慮した上で「売上拡大を追うべきではない」と判断されたケースについては、それも選択の一つであり、我々がどうこう言うべきことではありません。

しかし、社長が会社を成長させるために売上拡大させようにもそうできない会社というものも存在します。それはどのような会社なのでしょうか。

ストック収入がメインとなる会社の一例

マエサワ税理士法人の顧問先で環境コンサルティングをされている会社がございます。
今、世界では環境汚染、とりわけ二酸化炭素の排出が大きな問題となっていることは多くの方がご存知かと思います。二酸化炭素濃度が高くなると、地球全体の気温が上昇し、南極や北極の永久凍土が溶け出し、海水面が上昇し、陸地が水没したり、異常気象が起きやすくなります。

化石燃料の商社などは利益を創出できておりますが、そういった企業は二酸化炭素排出に関する責任も負っている訳だからそれに見合う債務を負わなければならない、という考え方が世界では主流になりつつあるようです。つまり化石燃料を資産として持っている会社では環境負担に相当する債務を負うようになるのだそうです。

外部の私から見るととても難しいサービスを提供されているのでうまく説明がはできないのですが、そういった環境問題に関するコンサルティングを行っているのがこの会社です。非常に専門的な業務です。
この会社では社長と副社長のお二人が頭脳となっています。ほかにスタッフが何人いらしたとしてもこのお二人以外に仕事を創出することはほぼ不可能です。

こういった特殊コンサルティングは絶対的な専門性が事業の根幹です。顧客は大規模企業や政府関係者などいわばプロであり、プロがプロにコンサルティングを行っていくことになります。社長や副社長に並ぶような知識を一般社員が身につけるのは簡単な話ではありません。多少の従業員教育程度では社長や副社長のような人材を簡単に増やすことはできないはずです。

そうなると社長と副社長の頑張りの限界がそのままこの会社の売上の限界になってしまいます。雑務の部分を一部、ほかの人に補助してもらうことはできますが、それにも限界があります。ですからこのような会社では、言葉では「売上拡大」ということを言うことができますが、実際には無理に売上拡大しようとすると、この二人のコンサルタントが潰れてしまうということになりかねません。事実このお二人の負担はかなりなものになっております。いまは常に東南アジアを駆け回っていますし、日本に戻れば結果を顧客にレポーティングするための業務で大忙しです。

安定した資金繰りが安定した経営のカギとなる

現状これらのコンサルは主に大規模企業向けに行っているので売上もだいぶ安定してきております。一方で次の課題が出てきております。それはコンサルティングそのものというより、経営上の問題になります。何かと申しますと、このコンサルティングの売上は上がるときは非常に大きいのですが、上がらない時は本当にゼロの時もあるということです。かかる経費は毎月ほぼ一定額が発生します。よって経営は非常に不安定なものとなり資金繰りにも苦労することが多くなります。

毎日資金繰りで頭を悩ませているようでは、なかなか本業に身が入りません。これでは本末転倒なのですが、実際にこういう経営になられている会社は他にも散見されます。先日この会社の社長、副社長ともお話をしました。売上の安定については社長も副社長もすでに考えていらっしゃいました。毎月安定的に報酬が入る仕組みなり、サービスラインの構築を考えている最中とのことでした。

コンサルティング業においてスポットの成功報酬だけではなく、毎月報酬を得られるような帯の売上を作ることは言うは易し、実際は非常に困難なことです。もともとコンサルティングというのはそれを実行すれば、売上が増加する、あるいはコスト削減が実現するということで顧客が取り入れるものですから、短期で結果を求められる仕事です。結果が出なければすぐに契約解消ということも実際にある訳です。

この会社の社長もなんとか毎月報酬が得られるようなサービスラインの構築に邁進されています。なかなか思うような報酬にならなかったり、割に合わない契約になってしまったり、契約が長続きしないようなこともあるのかもしれませんが、それでも経営安定化のためにこういったことを考え実行されるのは、とても重要なことだと思います。

そして安定収入が得られるようになれば、まず出せるだけ儲けを出して、その上で貯蓄をしていくことになるのだろうと思います。その後には事業承継が待っているのかもしれません。

さまざまな事業をされている経営者の方々が、日々会社の維持発展のために努力されています。マエサワ税理士法人はそういった方々に常に寄り添い、経営者の意思決定に有用な情報を提供できる存在でありたいと考えております。

今回もお付き合い頂きましてありがとうございました。