マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

貸倒れには注意!

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第65号] 貸倒れには注意!

2020年1月1日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の65】

『未来に備える』

「今年は景気が良いのか?」
経営者であるならば、新年の挨拶をしながらも思案されることだろう。
では5年後、10年後の景気は?と考えたとき、労働人口減少という未来がすでに起きている以上、楽観視はできないのが現実だ。

大局的な日本経済の先行き、局所的な取引先の動向、どちらも自社の舵取りには欠かせない視点である。
悲観的に考え、慎重に備え、儲けのために決断をする。オリンピックで沸く貴重な1年、儲けを貯めて未来に備える1年にして頂きたい。

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新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。このメールマガジンも隔週の水曜に配信させていただいているので、元日の配信となりました。

とはいえ、この第65号を書いている今はまだ年末の騒々しい新幹線の中であり、当然のことながらお正月感はゼロです。

さて今年はいよいよオリンピックイヤーです。昨年、始まる前は盛り上がりが心配されたラグビーワールドカップが開催されましたが、熱しやすく冷めやすい日本人の特性が顕著に表れ、始まってみれば日本代表の大活躍もあり、大変盛り上がった大会になりました。

そして東京オリンピック。きっと盛り上がることでしょう。それだけに盛り上がった後の経済・景気が非常に心配です。盛り上がるだけ盛り上がれば、その後は下がるしかありません。

わかっていることではありますが、経営的には悲観的に予測しておくに越したことはありません。

衰退を見据え、どう備えるか?

最近、どこの顧問先様に伺っても私が申し上げていることがあります。これから先は人口減とともに会社の数も減っていきます。これは経営者の平均年齢が70歳に達したことからもわかります。次の世代にバトンタッチする人のいない会社が多いのです。2年前の日本経済新聞にも127万事業所で事業承継が決まっていないという記事が一面に大きく出ておりました。

今後なくなっていく会社の中には黒字で財務体質にも問題ないが純粋に事業承継する人がいないので、会社をM&Aしたり清算する会社もございます。

一方で借金により会社を畳むに畳めない会社も出てきます。いずれにしてもマエサワ税理士法人の顧問先社長の会社が元気であっても、取引先が商売を畳む可能性は今まで以上にこれから大きくなります。

潜む貸倒れリスクとその防止策

これから注意すべきことのひとつは貸倒れになります。
せっかく100の売上をあげて30の儲けを稼げたと思っていても、貸倒れになれば売ったものはまず返ってきませんし、100の売上が全て損失に変わります。

売上のための時間と労力を失った上に、売った商品も戻ってこない。これなら売らないほうがよっぽど良かったというのが、貸倒れです。

例えば営業にはどの会社でもノルマ的なものがございます。営業には予算通りの売上を持ってきなさい、というのは経営者からすれば当然のことです。

しかしともすれば営業は売ってさえくればいいのだと考える向きの方をしばしば見ます。すなわち、値引きをするだけして会社にほとんど儲けが残らない取引をしても、自分の査定には影響ないからと自分勝手に考える人です。

こういったことに対処するには根本的に評価制度から見直す必要があるのかもしれません。売りさえすれば評価が上がるという仕組みを変えるということです。

今回の貸倒れの件でいえば、新規のお客様を獲得したといって相手の素性も確認せずに売上をおこしたりするのは今後よりリスクを背負うことになりかねません。しっかり相手の素性は確認していかなければなりません。

また大した取引量がなかった会社がここ最近、取引量を急増させたなんていうのも危険です。しっかり決まった日に入金があることを確認し、もし遅れがあるようなら先に入金頂かなければ仕入れを受け付けないというくらいの姿勢も必要な時があるかもしれません。

総じて言えるのは、売掛金管理を毎月しっかり行い、遅れている取引先があればすぐに入金催促の連絡を入れる、といったことを日頃からしっかり行うことが肝要です。多少遅れていても日頃、取引量が多いからなどと遠慮していると、そういう取引先こそが危険、ということがある訳です。取引先から「あそこはうるさいからお金をいれておけ」と言われるくらいでもよいのかもしれません。

会社が倒れてしまうかもと思う社長からすれば、どんなことをしてでも仕入れをしようとします。お金を払えないのに仕入れをするなんてと言ったところで、貸倒れに引っかかって困るのはもちろん皆様の会社です。お金は回収できない上に売ったモノもまず戻ってきません。戻ってきたとしても二束三文で売るしかないでしょう。

やはり貸倒れには引っかからないように用心し、そういう取引先とは取引をしないのが一番です。あとはバランスだけの問題です。あまり売上に消極的になっても経営を拡大できませんので、そこは社長のバランス感覚だと思います。

2020年はそれぞれの顧問先様、そしてマエサワ税理士法人にとっても大きな曲がり角になる1年になると思います。そしてこの1年の動き方で今後5年の動くべき方向性が見えてくるかもしれません。

本年も経営に対するご助言・ご提案をマエサワ税理士法人及びマエサワ税理士法人スタッフ一同で行ってまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。