マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

経営会議は何のための会議なのか

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第67号] 経営会議は何のための会議なのか

2020年1月29日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の67】

『会議の利点』

「先々どうなるか分からない」という状態は日常様々な場面で訪れる。
事業においても、こと金に関わる部分では「このまま事業を続けたら…?」と思う場面は多々あり、儲かっていれば事業承継や納税にも頭を悩ませ、儲かっていなければ資金ショートに日々恐怖する。
また相続においては、財産の全貌や金額、関係者の意思が見えてこないことで、霧中なまま来たる日を迎えてしまうこともある。

会議を用いると、見えない状態から少しずつ見える状態に、そして次に何をすべきか?の迷いが晴れる一助となるだろう。
目的は儲けること、財産を残すこと。そこへ至る道筋が見えてくるための会議たらしめたい。
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マエサワ税理士法人は様々な顧問先様に対して、様々な内容の「経営会議」を提供させて頂いております。
経営会議の議題は多岐にわたり、また顧問先様によって変わってきます。現状では、おおまかに申し上げると「事業経営会議」「事業承継会議」「相続会議」などが主流となっています。

儲けを出し、儲けを残すための会議

一番多いのは、やはり「事業経営会議」=儲けが出づらくなってきた中でどうやって少しでも多くの儲けを残すかを主眼に置いた会議です。
我々は社長の皆様が「経営」された結果の数字を整理し、その整理した数字に基づいてご報告やご提案を行います。しかし、それぞれの社長がされている「商売そのもの」のことに関してはズブの素人です。ですから「商売そのもの」に関するご提案はできません。しかしそういった商売をされている方を何件も見てきているので、同じ業種でも「儲かっている会社」と「そうなっていない会社」があることと、なぜそうなっているか数字面あるいは社長の人となり等から把握できている部分がございます。
その部分からご提案をさせて頂くのがいわゆる「事業経営会議」になります。一人当たりの生産性と粗利益率が大きなポイントとなってきます。

どう儲けるか?を次世代へ

次に、「事業承継会議」=会社の株式をいかに創業者から次世代経営者へ引き継ぐか、もう一つ大事なのが会社の事業をいかに創業者から次世代経営者へ引き継ぐか、を主眼に置いた会議です。

この会議は我々としても非常に難しい会議になります。普段法人経営に携わっている社長及び次世代経営者は経済合理性の観点からの話はスムーズに聞いて頂けます。将来相続が起こった際に財産を引き継ぐ方がそういった方だけなら話は比較的簡単ですが、事業に関わりを持たない方がいらっしゃるとなかなか関係者一同がすぐに納得いくような落としどころが見つからないとことも多いのです。
日本人が1億3千万人いる中で経営者と呼ばれる方は400万人程度、つまり30人に1人しかいない訳です。経営者の方々は「儲け」を重視して経営されているはずです。ですがそれ以外の大部分の方はそういったことよりも日々の個人の生活を重視されている方が多いはずです。価値観が違うので、なかなか全体として事業承継をまとめあげることが難しいということになります。
もうひとつ事業承継には株式の承継とは別に事業の承継がございます。社長は、次世代経営者に帝王学を、実務を通じて学ばせなければなりません。「今日までは私が社長で明日からはあなたが社長」と社長が決めたとしても、次世代経営者がすぐに現社長と同じように事業を経営できるかといえば、そんなことはあり得ません。事業継承には時間がかかるものです。また、そもそも、社長が決めた経営者が社員に受け入れられないケースもございます。得意先や金融機関など、世間が認めてくれない場合もあるようです。つまるところ、次世代経営者も事業に参画して「儲け」という実績を積んでいくことでしか周りからの信頼は得られないのです。どう考えていけば長く儲け続けられるのかを「事業承継会議」で社長、次世代経営者、そしてマエサワ税理士法人で共有していくことになります。

相続の対策、相続税の対策

その次は純粋な「相続会議」=不動産、上場株式、投資信託、キャッシュを持っている方の相続会議です。

こちらはいくつもの財産がある方なので、相続人が複数いらしても分けようがいくつもあるので容易そうに見えます。しかし相続=争族と言われるくらいですから、やはり難しい会議です。相続では事業における「経済的合理性」は関係ありませんが、「感情合理性」のバランスをいかにとるかが重要になってきます。例えば、親御さんが「私は誰々には財産を相続させたくない、別の誰々に全部相続させたい」、なんていうことがある訳です。いくら相続税がかかろうが私の財産は誰々にだけは渡したくない、というのは感情以外の何物でもありません。これが良い悪いということを論じる話ではないことは皆様にもご理解頂けることと思います。一方で財産を相続する側でも様々、感情的に思うところがあるのでしょう。
この部分はさすがに我々には決めることができないので家族で冷静に話し合う場としての会議という意味合いがございます。ただ長い目で見て残された方々が喧嘩しそうな種があれば、それはお話させて頂くこともございます。しかし最終決定は当然のことながら、財産をお持ちの方にということにはなります。

同時に億単位の相続になってくるとそれに対する相続税もかなりの金額になるので、相続税対策もご提案させて頂いております。例えば管財会社を設立して株主をお孫さんにすれば、完全に一世代相続を飛ばすことができます。
いずれにしても事業承継も含めて相続対策というのは、何か一つ対策を打てば有効かといえばそうではなく、時間をかけて今だけでなく10年後20年後も残された人がよかったと思える相続になるように今何をすべきかを考えた方がよいのではないでしょうか。

この間、ある顧問先様の会社幹部10名くらいの方々に対して、私が講演をさせて頂きました。その際に、その顧問先様の社長代行がされたお話の中で、「90分の話を皆さんに真剣に聞いて頂くということは非常に大変なことだ。こちらはそのために何倍も準備をしなければならない。話した自分だけが満足しても全く意味がない。」という趣旨のお話がありました。

まさにその通りだと思います。我々は顧問先社長のように事業を経営している訳ではありません。ですが数字を整理して申告書を作るだけでなく、社長の「儲け」に役立つご提案をし続けていかなければ、マエサワ税理士法人の存在意義はないと認識しております。マエサワ税理士法人の全担当者は、我々の専門知識をただひけらかして社長にお話しても社長のお役に立てないことも理解しているつもりです。それでも時には社長からすれば「そんなこと聞いてないよ」なんてこともあるかもしれません。そんなときは一言、「そんなこと聞いてないよ」と仰って頂けたら幸甚です。
もちろんそのようなことのないように我々は日々精進してまいります。どうぞ宜しくお願い致します。