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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第68号] 儲けるための考え方の共有
2020年2月12日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の68】
『”分かる”の共有 』
お金を払ってる人が「分かっている」のと、自分が「分かっている」のと、仲間が「分かっている」のとでは、それらは同じ「分かっている」でもまるで違うものだ。
だが往々にして、人は自分の頭にあることが良いんだとしか考えていない。故に自分の感覚でものを言ってしまう。
資本主義では、まず第一に「お金をもらうためには?」を考えなければならず、客が!社長が!こう考えている、ならばこちらもそう考えないと、と金を払う人の目線で物事を考えなければ儲けは生み出せない。
それを言い含めようものなら「分かってるよ!」と言外の反発を生むことも多いだろう。
「分かってるでしょうよ!でも金を払う側が言うようには分かってない!」
それじゃ儲からないから絶対ダメなんだと、その話をしてるんだということを共有して頂きたい。
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出版のお知らせです
このメールマガジンをいつもお読みくださっている皆様にお知らせがございます。これまで書き溜めてきたメールマガジンを整理して、一冊の本を出版することになりました。マエサワ税理士法人では初めての試みになります。この本の前半部分は、会長の前沢永壽が「令和を生き残っていくために経営者として考えなければならないこと」をお話しさせて頂いております。そして、後半部分は私がこれまで配信させて頂いていたメールマガジンの内容に加筆、再編集したものをまとめていく予定です。
令和2年の上期中には何とか完成させたいと考えております。完成した際には顧問先様にお送りする予定でございますので、是非ともお読み頂ければ幸いです。
この本を出版しようと思った一番の動機は、やはり昭和から平成を経て令和になった今、とにかく「会社は儲けづらくなった」と感じる機会が増えたことです。
多くの顧問先様で現在最も大きな課題は、節税対策でも税務調査対策でもなく、ズバリ「いかに儲けるか」です。例えば、今までであれば30%の粗利益率が取れていた商品が20%しかとれなくなったということです。
こうやって書いていくと、このメルマガを読んで頂いている皆様からは「毎回、同じ話ばかりしているな」と叱られてしまいそうです。実際にその通りで、本当に同じことばかり書いていると自分自身が一番感じております。しかし、私は、経営に関する森羅万象を網羅的にお伝えするつもりは毛頭ございません。経営を進める上で、核としていきたい考え方を発信したいという思いがございます。結果として同じ話が出てきてしまうことをご容赦ください。
なぜ商品・サービスの開発をしなくてはならないのか?
「儲け」さえ出ていれば、たいていの問題は解決できます。仮に問題を放置しても致命傷となることはありません。いったん「儲け」がなくなり赤字に転落すると今まで隠れていた問題が噴出します。本業を建て直すべき大事な時に、噴出した社内の様々な問題に対応を余儀なくされてしまうのです。あるいは借金返済などの資金繰りに頭を悩ませなければならなくなります。
業績が落ち込めば誰でもこれを黒字転換しようと色々な策を打ちます。しかし対処療法的な対応ばかりしていると早晩、経営自体が厳しくなってまいります。特にいったん粗利益率の低下した商品・サービスを安売りすれば、一時的に売上は維持できるかもしれませんが、労多くして益少なしの状況に陥り、本当に立ち直ることができなくなる場合もあります。
儲けを出し続けるためには、一にも二にも商品・サービス開発です。時間はかかるし、時間をかけたからといって必ず多くの儲けを生み出すとは限りません。だからこそ、多くの儲けを生み出す商品開発に成功すれば、しばらくの間は経営を安定・成長させるのに大いに貢献してくれるわけです。しかし、その「しばらく」の時間が過ぎ去ろうとしているのが現実です。今、あらゆるところで設備の老朽化、商品の陳腐化がおきています。設備の老朽化は結局のところ、投資すべき時期に会社が儲けを出していなかったために現有設備の更新が図れずに現在に至っていることが主要因です。商品の陳腐化にしても儲けを出せずに経費削減に力を入れるあまり、肝心の商品開発が後手に回った部分があろうかと思います。だから商品・サービスの開発をしなくてはならないのだと思います。
儲けようという意志の共有
では、商品・サービスの開発のために何が重要になってくるのでしょうか。それは、儲けに対する考え方を社長自身がしっかり持つこと、そしてその考え方を会社の社員全員で共有することではないでしょうか。多くの社長が目を通して頂いているこのメルマガで何度も同じようなことを書かせて頂いておりますし、何より前沢に言われずとも既にやっているよ、という社長がほとんどだと思います。そうであれば最高です。
ただ儲けのための考え方を社員の皆様と共有し続けるのは非常に困難なのも事実です。顧問先様でもある、ある会社の業績会議に出席していた時のことです。午前中は役員、部課長の皆様との業績会議、そして午後からは係長、主任の皆様も全員出席の会議です。午前2時間、午後4時間、実に計6時間の会議です。
やはり午前の会社幹部だけの会議と、午後の幹部候補まで含めた会議では「経営者の抱く儲けに対する考えの共有ができているか」という観点で見ると、多少ズレが垣間見えました。幹部候補には、まだ、社長の意思・考え方が理解しきれていないのです。組織の上から下まで同じように考えを共有することは非常に難しいと肌で感じました。
この会社は京セラの稲森会長のアメーバ経営に心酔し、実際の経営に稲森会長の教えを取り込んでおります。実際に会社の一体感を強く感じます。そういう会社であっても「儲けに対する意識を強く持つこと」の共有は非常に難しいことです。
「儲けよう」という考えを共有するためにはただ一つ、社長自らがいつでも何度でも社員の皆様に「会社の進むべき方向」をお話すること以外にありません。社長が思っていることを共有するためには、社長自らが社員に話し続けるしかありません。そして話したことを社長自らが実践しないと、社員は社長の後ろをついて来てくれないのだと感じます。
ただやみくもに「売上を増やせ!」ではダメな時代になったといえます。「儲けの出せる」商品・サービスの開発で売上を増やすべきでないでしょうか。
今回も若輩者の私が、経営の大先輩である社長の皆様に対して大変失礼な物言いでございました。ただ、本音のところで書かせて頂いたのでお許しいただければ幸いです。今回も最後までお読みくださいましてありがとうございました。