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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第71号] 非常事態への対応
2020年3月25日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の71】
『まず生き残るために 』
ヒト・モノ・カネが回ることで経済は活性化する。
不可視のウイルスの脅威により、その全てが停滞しているのが現状だ。
このような状況下では収益を生み出せず、固定費を賄うだけで体力を奪われてしまう。
今はまだ余力を残す企業においても、入りを増やし出を減らすことを念頭に置き、早め早めに守りを固めて頂きたい。
いざという時は、来てからでは遅いのだ。
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前号では「新型コロナウイルスが日本のみならず世界で猛威を振っていることで経済にも大きな影響を及ぼし始めております、今は緊急事態発生の時なので、まずは足元の資金繰りをしっかり見直しましょう」という話をさせて頂きました。
日本のコロナウイルスの状況は2週間前と大きく変わらず辛うじてパンデミックにはなっていないものの、世界的にはパンデミックが加速している国や地域がでてきております。国内ではこの2週間で小中高校の臨時休校や、大型イベントの自粛要請など、感染の拡大を避けるために人の動きに制約をかける方策が取られています。
顧問先企業で見られる事業への悪影響
今、私は「人が動かなければ、経済は活性化しない」ということを改めて実感しています。この1か月に私が訪問した顧問先様の中に、前年同月比較で良くなっている会社は皆無でした。どれだけ売上を落としているかという話になっています。
例えば
・ホテルのような箱もの事業はとにかく様々な会合や式典のキャンセルが相次ぎ、正直電話を取りたくないくらい
・食品加工業のメーカーでは、そもそも自粛ムードで購買意欲が減退し、原料安であるにもかかわらず売上感度が鈍い
・中小機械部品の卸売会社についてもメーカーの工場自体が生産停止、あるいは生産減少で対応しているため、そのあおりを受け売上が減少している
・工務店ではトイレなど中国からの部品に頼っている商品の搬入がままならず、ほぼ工事が終わっているにもかかわらずお客様へ引渡しができず、結果として入金がされないため資金繰りが悪化
これらは顧問先様のほんの一部に起きている事象です。上記に限らずほぼすべての顧問先様に決して小さくはないコロナウイルスによる悪影響が出ていると思われます。
スーパーなどの小売業では、長期保存可能なカップ麺やトイレットペーパーの売上が好調で前期比較で売上を伸ばしているところもありますが、万が一にも店内の従業員からコロナウィルス発症者が出れば、即その店舗は一時休業に追い込まれるという状況です。さらに商品の供給もモノによっては非常に不安定になっているというようです。
売上がいつものようには作れず、粗利益を増やすことが困難な状況ではございますが、この緊急事態でやれること、やるべきことはございます。当たり前といえば当たり前のことばかりですが、ひとつずつ確認してみましょう。
少しでも 手元資金を厚くしましょう
まずは延ばせる支払いは延ばすということになりますが、これは言い換えると支払いの優先順位をつけていく、ということです。相手のあることなので安易に期限を延ばすことはできないにしても、緊急事態ですからしっかり優先順位をつけていきましょう。
支払いの優先順位にも絡んできますが、不要不急の支出がないかの確認もしましょう。近々、金額の大きい設備投資を考えられている場合は、今は守りを固める時になりますから設備投資の後ろ倒しの検討をしましょう。これも相手があることなので、契約状況では契約の延期や解約は難しいかもしれませんが、問い合わせる価値はあります。もし契約の延期等ができれば、余計な借入をせずに済み、手元資金を厚くできます。
それから取引先の貸倒れにも注意しなければなりません。こういう状況ですから急激に資金繰りは悪化します。それは自社だけでなくまわりも同じです。貸倒れにひっかかってしまえば自社の被害が大きくなるだけです。とくに大口取引先の信用情報は入手した方がいいかもしれません。
それと手元資金を厚くするという意味で、制度融資が政府主導で行われていますので、これを使うのもひとつです。政府系金融機関は既に積極的に動き出しております。先立つものはお金ですので、融資を受けられるようであれば1円でも多く手元資金を増やしておくことで最悪の事態は免れる可能性が高まります。
いずれにしても手元資金を厚くできるだけ厚くしておけば、これから会社に起こる様々な事象に対応しやすくなるのは間違いありません。ここまでコロナウィルスの影響が大きく出てしまうと、仮に今から1カ月後、2カ月後に終息宣言が出されたとしても、その後すぐに今までのように経済が動き出すというものでもないでしょう。
長期戦になってもなんとか会社が生き残れるように体力(お金)を残していくことに専念しましょう。コロナウィルスという外部環境の変化により、思わぬ形で経済危機を迎えておりますが、我々マエサワ税理士法人一同、これらの情報を逐次取得し、この難局を乗り越えようとする顧問先社長の一助となるようやってまいりますので、引き続き宜しくお願い致します。