マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

コロナ後の経営が始まる

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第77号] コロナ後の経営が始まる

2020年6月17日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の77】

『”儲けにくい”を前提にどう儲けるか? 』

コロナ第一波が収まり、少しずつ人・物・金の流れを取り戻してきた。
金融支援を経て「生き残ること」から再び「稼ぐこと」へ歩みを再開するときだ。
それでも経済の回復には多くの時間を要し、廃業を選ぶ企業も増えることだろう。
儲けを出しづらい経済の中で戦うことを前提とし、いかに儲けるかを一緒に考えて頂きたい。
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この記事を書いている6月13日時点で東京アラートも解除され、人々が町に溢れてきました。マスクをしながら、コロナ前の経済活動に近づくべく皆が少しずつ歩みを進め始めた感じです。

資金確保からコロナ後の経営へ

このメールマガジンではコロナ禍に際し「まずは会社が生き残ることが先決」ということを申し上げてきました。会社は金さえあれば生き残れます。普通の中小企業であれば月商の1か月分も現預金があればいい方ですが、それでは今回のコロナでは資金繰りが2か月持つかどうか。このコロナを乗り切るには、金融機関からの融資に頼らざるを得ない状況だったかと思います。この2か月間はひたすら資金繰りに奔走したという社長も多いのではないでしょうか。

当初は月次監査で社長とお話をすると、資金繰りの話が中心でしたが、資金繰りについては制度融資が比較的早い段階で整備されてきたこともあり、融資を受けることについてとても苦労したという社長はそこまで多くはなかったのではと感じております。

最近は「コロナ後」の話というのが多くなりました。そう、問題はこれからです。いよいよ「コロナ後」が始まります。全てがコロナ前と同じように動き出すわけではないので、売上がすぐにコロナ前の水準に戻ることはないはずです。コロナ前まで回復するのに2,3年かかるかもしれませんし、それでも回復しきらない可能性もあるでしょう。

儲けを出しにくい時代で戦わなければならない

コロナがなかったとしても、東京オリンピックが2020年夏に開催された後、日本経済は不況に入っていくと言われていました。それがコロナのせいで、短期間のうちに、かつ急激に世界経済が落ち込みました。

コロナにより、残念ながら閉店に追い込まれた店舗・会社が出ております。しかし第一波をなんとか乗り越えた会社であっても、今後市場を退出せざるを得ない状況に陥るところは増加していくでしょう。やはり資金繰りが厳しくなるところもあるでしょうし、商売の将来を案じて思い切って撤退しようとする会社も出てくるでしょう。

少し前の話になりますが、平成29年10月6日の日本経済新聞に『大廃業時代の足音 中小「後継未定」127万社』という記事がありました。10年後にはこの127万社の中の黒字会社5割が消えてしまうという話でした。この記事は当然コロナを想定して書かれたものではありません。今回のコロナはこの大廃業時代の進行を早める可能性があります。

世界の国々と日本のGDPを比較してみても、2000兆円を超える世界一のGDPであるアメリカ、そしてこの10年間で3倍のGDP1500兆円に成長した中国に対して、日本はアメリカ、中国に次いで世界三位であるものの、この20年間相変わらず500兆円前後のGDPで推移しています。

この5年の間でGDP二位の座から一つ落ちた三位になったという以上に日本の凋落ぶりが見て取れます。経済面で見れば日本はこの20年間ずっとGDP500兆円から成長していないという事実がそれを物語っています。おまけに世界一早い高齢化と人口減少が始まっております。

令和の時代は事業を経営して儲けを出していくのに非常に厳しい時代であると感じます。よほど商品、サービスに付加価値を持たせて、安売りでなく適正な(よそより高い)価格であってもお客様の手に取って頂けるものでないと、長く商売を続けていくことが今まで以上に難しくなったといえます。

コロナが収まろうと収まらなかろうと世界で一斉に経済活動が再開しました。コロナ後には、誰一人経験したことのない日々が到来する可能性があります。それが自社のビジネスにどのような影響を与えるのか、その社会でどのような儲けを生み出していくか、社長の皆様はすでに必死にお考えになられていることと思います。経営者にとっては厳しい戦いが続くことでしょう。
マエサワ税理士法人は今後も困難の時代に果敢に挑む社長とともに歩んでいきたいと思っております。

『資本主義再考』出版のお知らせ

最後になりますが、この度、『資本主義再考』という書籍を出版させて頂きました。この本はいわゆる学問でいうところの「資本主義」について論じたものではありません。「儲けを出して会社を発展させていくことこそが資本主義の根幹である」ということを経営者の方々ともう一度確認していきたいという思いで執筆いたしました。なにぶんにも不慣れなもので分かりづらい部分も多々あることと思いますが、つまみ読みで結構です。お時間あるときにご一読頂ければと思います。

今後ともマエサワ税理士法人と職員一同をどうぞ宜しくお願い致します。