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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第79号] 効率化は重要・・・効果はさらに重要
2020年7月15日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の79】
『いかに”効果”に目を向けられるか?』
会社の成長とは言うまでもなく稼ぐ力の向上を指す。
効率化から生まれた数値上の生産性向上では会社は成長しない。
コストが減ったから利益が残りましたでは、頭の売上(粗利益)が増えていないからだ。
効率化により出来た時間でいかに効果に目を向けられるか?
会社の成長とその源泉たる儲けに繋がる時間に充てていただきたい。
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新型コロナウイルス感染症の影響で、仕事の仕方にも様々な変化が起きました。ご存じのとおり、さまざまな業種においてオフィスに来ずとも業務遂行が可能なテレワークの導入が大いに進みました。
ZOOMやTeamsと呼ばれるweb会議のためのツールの利用も一気に広がりました。そのおかげでZOOM社の株価もうなぎ上りになっているそうです。それはともかく私も緊急事態宣言中にはZOOMやTeamsに大変お世話になりました。
機械音痴の私でも扱いが非常に簡単。お使いになられた方なら皆そう思われたことでしょう。遠隔地にいる人と画面を通して直接話ができます。同時に多くの人と使用すると複数の声が重なった時に聞こえづらかったり、昔の衛星放送のように音が遅れて聞こえたりする場面もありましたが、報告事項の確認などをする分には十分な環境が容易に準備できます。
当たり前の変化から生まれる効率化
また、会計システムを見ても最近はクラウドタイプのものが次々に登場しております。今までは会社のPCに会計ソフトをダウンロードして使うスタンドアロンタイプがほとんどでしたが、今ではクラウドタイプに取って代わられようとしております。これにより複数の人が同時に仕訳入力をしたり、場所を問わずどこでも仕訳入力が可能になりました。
とはいえ、「場所を問わず」という意味ではコロナ前はあまりその特性が活かされていませんでした。それがコロナ発生と同時に「場所を問わず」という特性が活き、テレワークでも仕訳入力を可能にしました。単純にオフィスでなくても経理を自宅でできることの証明でした。
さらにペーパーレス精算のクラウドサービスもどんどん出ております。楽々精算のラクスやマネーフォワードなど様々な経理業務を効率化するサービスが広がっております。
多くの経営者は経理などの間接コストをできるだけ少なくしたいとお考えのことと思います。そういう意味ではこれからますますクラウド会計システム、経費精算システム、web会議システムが進展し、より廉価に、より高度なサービスを受けることができるようになるでしょう。
ある顧問先様では経理要員ゼロとすべく、会計仕訳の完全自動化を目指しております。領収書や請求書はスキャニングして業者に送ると次の日にはcsvファイルで仕訳データが送られ、それを会計システムに流し込むと自動で仕訳が起票されます。これらの作業もその時々で募集をし、その人の時間を買う形で行うので会社の人がこういった作業をすることはなくなるそうです。
この顧問先様は立派なオフィスを構えておられましたが、月あたり数百万円をオフィス賃料として使うより、もっとやっていきたい業務に投資したいということでオフィスも近々解約する予定になっております。今後は小さなオフィスを必要な時に借りる形にされるそうです。
アフターコロナとなればこういった選択をする会社が増えるのかもしれません。間違いなくITやAIは進展していくので、これらを上手に利用していくことは非常に重要です。どちらかといえば我々会計税務業界はこういったITやAIなどに対して非常に保守的な面があります。ですから逆にマエサワ税理士法人はこういったITやAIなどを積極的に受け入れ、導入支援などを通して顧問先様の経理の効率化にもお役立ちできるようにしていく所存です。
「効果」が生産性を上げる
一方で、効率化よりも考えなければならないことがあります。それは「効果」です。なぜなら効率化だけでは生産性はけっして上がらないからです。もちろん効率化を図ることで、余った時間に今までとは別の付加価値を創り出すことができれば、間接的に付加価値を創り出すことにつながります。ただ付加価値の創出はあくまで「効果」を重視することで実現できるのです。
生産性を上げるのは「効果」です。日本は諸外国に比べて労働時間が長いという調査結果が出ております。しかし、労働時間が長い以前に一人当たりの生産性が諸外国に比べて劣っていることが、世界経済から置いていかれている原因です。
長い時間業務に従事しているだけでその結果としての稼ぎが伴っていないのが今の日本の実情ではないでしょうか。労働時間を短くすることも重要ですが(効率化を求めることも重要ですが)、これだけでは稼ぎは全く増えません。早く家に帰れるようになるだけで給料は決して増えません。
私は、役員報酬や給料が人生の全てと考えているわけではございません。しかし、給料が上がらないということは、相対的に生活が苦しくなることを意味します。日本は自給自足のできる国ではありません。生活のためには外国からの輸入に頼らざるを得ません。日本が貧乏になっていけば、輸入品の価格は「高い」と感じる水準に落ち着いていきます。もちろん、私は日本にこうなって欲しいと思っている訳ではありません。
ただそうなったとしても生き残っていくためにはお客様に求められる商品・製品・サービスを創り出すしかありません。儲けを生み出し、給料を上げていく必要があるのです。
自分の得意分野から大きく外れることなく、一方で今までにないモノを創る。これを社長はあきらめずに考え続けて実現していかなければ、会社はこれからの厳しい日本を生きていけないと感じます。マエサワ税理士法人は、是非とも顧問先の皆様と共に成長していきたいと考えております。少しずつ、確実に、前進して参りましょう。