マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

考えさせられた社長の皆様の言葉

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第81号] 考えさせられた社長の皆様の言葉

2020年8月12日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の81】

『経営者感覚・経営者思考』

我が国には過去・現在と含めれば膨大な数の経営者がおり、十人十色、千人千様に経営者ごとの感じ方・考え方がある。
我々が持たなければならないのは、その中でも儲けられる経営者感覚・経営者思考である。
資本主義経済を背景に、守るべき法を当たり前に守り、きちんと儲けを継続してきた方々の思考は、このコロナ禍で崩れた業績を立て直し、会社を維持継続そして更なる発展へと繋げる一助となるだろう。

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 本号ではこの数か月、顧問先様の経営者から伺った話の中で、これからの経営を考えていく上でどんな業種業態であれ、非常に考えさせられると感じたことを紹介させて頂きます。

コロナ禍で闘う儲けられる経営者の言葉

 「大手に中小企業が勝てるのはスピード感、アイディアだけ。今こそスピード感を持って動かなければならない。」

 例えば営業が今までのように全国に行く、つまり足で稼ぐことはしづらい状況ですし、取引先が大手取引先であればそもそも「来ないでください」と門前払いになってしまうことも珍しくありません。そんな中でもある顧問先様では過去の名刺を全て洗い出し、「1000件プロジェクト」と称して、とにかくサンプルを取引先に送り連絡を入れ、アポイントを取って営業を展開しています。これが奏功してコロナの状況下でも新規取引先を獲得されています。

 会社でやるべきことを決断し、それをすぐに実行し、やりきる。今まではこの顧問先様では決断をするまでに逡巡し、決断してもそれをすぐに実行できなかったこともままありましたが、コロナを転機として実行までのスピード、実行するスピードも格段に上がっているように感じます。

 「『頑張れ!頑張れ!』と精神論だけ言っても結果は出ない。上司は部下に具体的な方策を指示し、結果を見て動いていかなければ、数字は出てこない」

 コロナで混乱している時に上司は部下に対して、とにかく「頑張れ!」ということを言ってしまいがちですが、そういう精神論的なことではなく、こんなときだからこそ何を優先してやるべきか、普段以上に上に立つ者は個別具体的に部下へ話していかなくてはならない、ということを私自身強く感じました。ただ頑張れと言われても部下は何をしていいかわからないですから。やはり上司たる者は部下にどのように動いたら良いか、考え方も含めてこういった時だからこそより伝えていかなければならないのかもしれません。

 「考えることと悩むこととは違う。ここを勘違いして、悩んでいるだけなのに考えていると勘違いしてしまう人がいる。考えればアイディアは出てくるものですが、悩んでいてもアイディアは出てこない」

 ちょっとやそっと考えたからといってヒット商品や良いアイディアが浮かぶものでもありませんが、考え抜いた結果やるべきことが見つかれば、それは実行に移すしかありません。良い結果、悪い結果、やってみなければどうなるかはわかりませんが、社長が考えた末に出てきたアイディアなのですから。

 問題は考える段階であらゆることを想定し、あるいは最悪の事態を想定し、どのような結果となっても自分に後悔がないというところまで考えられるかどうかなのかもしれません。どこまで考えてみても最後は実行してみないと結果はわからないのですから。

 「会社がピンチになると人の本性が見えてくるものだ」

 ある顧問先様で今回のコロナウイルス蔓延により業績が大きく落ち込んだため、やむなく賞与をカットしました。この顧問先様には日本全国に営業所があり、それぞれに店長がおります。賞与カットはこういう状況だから仕方のない話だと思います(この言い方自体が第三者的な言い方になっているかもしれませんが、経営者サイドの見方で言えばこうならざるを得ないかと思います)。これに対する全国の店長の反応は実に様々でした。「皆で頑張ってこれから業績を戻していこう」という店長がいれば、「なぜいつも出ている賞与がカットされてしまうのか」とボイコットも辞さない勢いの店長もいたそうです。

 お金は誰にとっても重要です。感情面で理解できる部分はありますが、自分のことしか考えていないのか、会社のことも考えての言葉なのかは話していればすぐにわかります。ましてやその発言が店長の口から発せられるのであれば、現場に与える影響も大きくなります。

 会社は人の集合体ですから、人の数だけ生き方、考え方があるはずです。ただ会社ごとに理念や経営方針があり、社会的存在意義もあります。それは文字面だけでなく、普段の社長の発言や振る舞いから社員の皆様が「会社の考え方」として体感されている部分です。会社は、単なる人の集合体ではなく、「会社の考え方」という大きな意志を共有する人間の集団として機能することこそ、会社の強みではないでしょうか。

 会社として成果を挙げられれば儲けが増大し、貢献度合いに応じて社員の皆様の分配が増える。そのためにもそれぞれの個人が仕事に対する考え方を会社全体で共有できているか否かが、今回のような大きなピンチや変化を求められる局面では、結果に大きな影響を及ぼすことになりそうです。

 ピンチはチャンスとは少し使い古された言葉ではありますが、今までのマンネリだったり、組織の風通しの悪さであったり、そういうことを変えるには絶好のチャンスかもしれません。またその機を上手に活かしている顧問先様も多くございます。考え方ひとつで如何様にも変えられることも多々あると思いますので、頭を柔らかくして私自身物事を考えていかなくてはならないと感じております。また次号も宜しくお願い致します。