■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第83号] 業界の常識を覆す考え方
2020年9月9日 配信
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の83】
『変化に応じた業態開発』
良い商品・サービスとは、金を払う顧客が満足・役に立ったと思えるものである。
他にはない付加価値があるものほど”良い”が、顧客が感じる”良い”も常々変化するものだ。
我々はその変化に敏感に、そして機敏に対応せねば生き残れず、常に商品開発・業態開発が求められる。
本業にこだわらず、本業から離れず、先々の顧客を見据えて本業を革新して頂きたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回はコロナ禍においても積極的な事業展開をされている社長のお話です。
この社長はクリニックに設備、備品、薬剤などを販売する事業とともに、クリニックのコンサルティングもされています。
もともとこの社長は証券会社の営業として勤務されていましたが、20年ほど前にお父様がされていた商売を引き継がれました。
当時、会社には相当の借金があり、日々の資金繰りにも苦しんでいる状況で、とにかく金策で走り回る日々だったそうです。金策として社長がされたのは新規開業を計画している先生を見つけてくること。そういう先生と契約を交わし、設備や備品を納品する前に代金の半分を前金で預かることで、何とか会社を回していた時期があったそうです。当時は新規の先生と契約するために365日24時間駆けずり回っていた日々だったそうです。
「コロナがチャンス!」という発想の転換
このように非常に厳しい金策に明け暮れる日々を過ごしていた社長ですが、こんなことを続けていてはいつかはダメになってしまうと感じていたそうです。どんなに働いてもこのままでは儲からない、と直感的に感じていらしたのです。どんな業界にも特に歴史のある業界ほど商売上のしきたりがあるものですが、この業界も中小企業では儲けることが難しい業界だったのです。
社長が感じていたのは「対面販売だけでは限界」があるということでした。ですから通販番組に出たり、eコマース事業を展開したり、セミナーを開きどうしたらクリニックで儲けが出せるようになるか、など本業と関わりのある新たな分野へも進出されたそうです。自社オリジナル製品の開発にも挑戦されました。
そんな中で、ヒット商品を創り出し、ようやく金策に駆け回らずとも良い状況に落ち着いたそうです。
この社長は、一見すると派手目な外見なのですが、実際に話をするとバランスの取れた常識人であることに気づかされます。我々の提案なども一切否定することもなく全てを聞き、その上で疑問点を投げかけてきます。
お話しているといわゆる常識と言われるところをとっぱらって商売を考えているところが非常に興味深いです。
社長が繰り返しお話しされていたのは「商売の常識、いわゆる業界のしきたりや常識を打ち破らなければ、なかなか稼ぐことはできない」ということでした。もちろん、これをやると様々な軋轢が生じます。しかし旧態依然とした体制とは違う商売の仕方を確立するためには、軋轢は乗り越えていかなければならない、そしてそれこそがビジネスだ、ということでした。
何より印象的だったのは「コロナはチャンスだよ」と仰っていたことです。「ピンチはチャンス」という裏返しの意味でなく、心から「コロナはチャンス」だと仰っていました。コロナにより人の考え方が変わり、商売も変わり、この変化に乗ることができるかどうかで今までよりはるかに大きな格差がつくことになる。変化に上手に対応できれば、売上10億の会社でも5年で100億の会社にもなることができる、と社長は仰います。
どれだけ相手の役に立てるか?が重要
我が業界で申し上げるならば、税理士として知識や技術力を持っていることが最重要でなく、その知識や技術力を使って顧問先様の役に立つ提案を行い、結果としていろいろな意味で顧問先様の儲けに資することができたかどうかが重要だということです。
税理士業界に限らずどの商売でも、究極的には「得意先に対してどれだけ役立つ商品やサービスを提供できるか」で儲けが決まってきます。人は技術力や知識にお金は払いません。払ってもその場限りであったり、汎用性はないことが多いかと思います。
そうではなくいかに相手に便利と思ってもらえたり、持っているだけでかっこいいと思われたり、おいしいと思われたりされるような商品・サービスでなくてはなりません。どう考えても高い技術力や知識を直接欲しいと思う人の方が少ないはずです。
税法が分からないからと税法の知識を教えてほしい、という顧問先様がどれだけいらっしゃるでしょうか。むしろわからないからその部分は我々にお任せ頂いているのではないでしょうか。そういったことより、税額計算は当然のごとく正確に速くやって欲しい、その上で経営上の相談に乗って欲しい、というご要望の方がよほど強いはずです。
厳しい経営環境下においても、あくまで前向きに事業に取り組まれている社長も多くいらっしゃいます。我々はこうした社長に寄り添い、お役立ちを提供していく組織でありたいと考えております。今後も前向きに、最大限ご協力させて頂く所存ですので、どうぞ宜しくお願い致します。