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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第92号] 変化を恐れないこと
2021年1月13日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の92】
『儲かるように変化する』
変わることの良し悪しは単純に測れるものではなく、良悪両面を備えることが多い。
忘れてはならないのは、資本主義経済においてその良し悪しを決めるのは金を払う側だということだ。
儲けるという視点で変化は恐れず、だが慎重に舵取りを試して頂きたい。
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少し前になりますが、ある経済雑誌に世界的に有名な投資家ジム・ロジャーズ氏が日本の将来について語っている記事が掲載されておりました。鋭い語り口で日本の現状を憂いており大変印象的でしたので、今回題材とさせていただきます。
日本人は危機意識が低く、債務と少子化が日本を滅ぼす
上記のタイトルで始まり、次のようなことが語られていました。
「1968年に世界第2位の経済大国となった日本は、50年以上の長きにわたって繁栄してきた。しかし、現在直面している重大な問題に対して、目を背けすぎだ。日本の借金は日々膨れ上がっている一方で、人口は減り続けている。出生数も大きく減少していて、数年先はともかく20~30年後には大変な状況になる。人口統計はあらゆる将来予測の中で、最も精度が高い予測と言える。」
「日本の将来を考えたとき、ものすごい勢いで子供を増やすか、移民を受け入れるか、とんでもないスピードで借金を減らすかしない限り、日本が長期停滞から脱する見通しは絶望的だ。若者が減って、高齢者が増える。社会保障のサービス水準が変わらないとすると、数少ない若者に重税を課さない限り借金は増え続ける。誰にでもできる未来予測だ。」
「このままいけば、日本には恐ろしい未来が待っている。すぐに消滅することはないが、外貨に買われまくるといった形で、実質的に国家が維持できなくなる可能性もゼロとは言えないだろう。」
借金を返すためには一企業であろうと国であろうと利益を出す必要があります。しかし、人口が減り少子化も進めば、労働人口はそれに合わせて減少することになり、一国としての生産力も低下します。そうなれば日本のように地下資源に恵まれない国では国力を大きく低下させることになります。
ではなぜ日本が滅んでしまうのか。ロジャーズ氏は日本人は変化を恐れているからだと言っております。
「コロナ禍は数年、数十年かけて起こるべき変化を早く始めさせる作用はあるだろう。通常であれば、在宅勤務しない人の在宅数が急激に増えた。あるいは、ネット通販やウーバーイーツが爆発的に拡大しているなどの変化が起こっている。」
「とはいえ日本ではその変化のスピードはゆっくりとしている。この「ゆっくり」が問題だ。社会保障にしても、少子化対策にしても同様で、ゆっくりと変わっていく間にも人口は減り、借金は増えていく。その間に日本は沈没してしまうだろう。」
そして日本は海外に目を向けなければ、縮小していくだけだと言っております。
「経済が好調で、国が上昇基調にあるときは、外国人のことなど気にしなくてもよい。特別な関心を示さなくても、向こうから来たいと言ってくれるからだ。しかし、衰退した国に、外国人が来ようとは思わない。ましてや、日本が停滞している一方で、中国や韓国が成長し外国人にとっても魅力的な国になっている。だから、日本にとってそう多くの時間があるわけではないのだ。」
日本人は外国人の受け入れに対して消極的です確かに外国人を受け入れることで外国人犯罪が増加することもあるかもしれませんし、あるいはドイツのように長い時間が経過した後に移民の二世がなんらかの問題を起こす可能性もないとはいえません。しかし「かもしれない」将来のことより、より近い将来を考える必要があるように感じます。
裕福になった国の二代目三代目は、徐々に働かなくなっていく傾向があるそうです。「売り家と唐様で書く三代目」という表現があります。先代がとんでもないハードワークで築き上げた資産も孫の代になると遊び暮らして使い果たし、ついには家まで売りに出す。しかも「売り家」札はその道楽ぶりを物語ってしゃれた唐様の書体で書いてある、という意味です。これに似た表現は英語や中国語にもあるようです。ハングリー精神にあふれ、勤勉でよく働く外国人の受入を真剣に進める時期であるようにも思います。
またロジャーズ氏は東京オリンピックはむしろ中止のほうが良いと断じます。
「オリンピックが経済的に国民のためになったことはない。オリンピックを誘致し開催することで、政治家は票を得ることができる。また、スポンサー企業や建築業など関連ビジネスは多くの収益をあげるかもしれない。しかし、過去にオリンピックで救われた国など、まったく存在しない。これは疑い内容のない事実だ。なぜなら、オリンピックというものは、債務を増やすものであって、いずれどこかで国民がつけを払うことになるからだ。」
さらに、
「日本の皆さんは、オリンピックが開催されるかどうかが心配だろうが、それよりも、その後の債務のことをもっと心配すべきだと言いたい。」
ロジャーズ氏は少子化対策と移民政策そして財政立て直しに取り組むべきだと一貫して言い続けております。日本を再生させるには長期的な政策が必要だと強調しています。
顧客が求める変化に応ずる
皆様はどのような感想を持たれましたか?
少子化対策自体は個々人で考えてもどうにもならないところもありますが、一企業として考えた場合、現状維持に甘んじるということは「座して死を待つ」ことに他ならないのではないでしょうか。
経済力が低下している今の日本で過去の成功体験にとらわれていたリ、変化を恐れている暇はないように感じます。コロナになっても本質的には変わらない部分と時代に合わせて変わる部分とがあります。ここを取り違えないようにしつつ、時代に合わせて変わらなければならない部分についてはアンテナを高く広く張って、適時適切に対応していかなくてはならないと強く感じております。