マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

事業の出口戦略

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第94号] 事業の出口戦略

2021年2月10日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の94】

『自社の行く末を考える』

事業承継について問われたとき、おそらく多くの経営者は「まだ先のこと」と思われることだろう。

だが遠からず、社長としての自身と手がけた会社の行く先を決めるときが訪れる。
いずれも価値観の違う相手を巻き込むことであり、行き当たりばったりではままならない。

時間を掛け少しずつでもゴールが定まってくれば、それに向かう経営の見方も明瞭になるだろう。
将来振り返ってみて、良かったと思える方法を一緒に探していきたい。

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最近、顧問先社長からM&Aに関する話題が出る場面が増えています。
「うちの会社をM&Aしたい会社があるようなんだ」というようなお話です。

そういったお話をされる社長の経営する会社の多くは、コロナ禍においても業績がよい会社です。社長の方々は、今すぐ自社をM&Aで売ろうとは考えていません。ただし、一部の社長は、事業承継の一つの出口としてM&Aを考えられているようです。

一方で最近、マエサワ税理士法人にM&A専門会社の方々が多くいらっしゃいます。まだ規模としてはそう大きくないM&A専門会社から上場されている独立系M&A専門会社、さらには金融機関系のM&A専門部署の方など規模もバックボーンも様々です。

事業承継の問題を誰に相談しますか?

この間いらしたM&A専門会社の方が仰っていたのは「M&A専門会社に相談をもちかけるのは経営者自身であることが多い」ということでした。税務顧問をしている税理士がいるにもかかわらず、その税理士を通した問い合わせはほとんどないようです。
また別の顧問先様に伺っていた時にはこんな話もありました。
たまたま社長の所にある金融機関のM&A部門の方がいらっしゃいました。社長が私に「その担当者をご紹介します」というお話になったのですが、社長自身、当面のM&Aは考えておらず「今回は話を聞くだけ」というスタンスでしたし、私もその日が期限の決算業務があったこともあり、ご挨拶は辞退させていただきました。

担当者が帰られた後、社長が私にその担当者が話していた話を私に聞かせてくれました。「M&Aをされるのであればその辺の税理士なんかでは話になりませんよ。彼らは記帳代行しかできないのだから。」と仰っていたそうです。

単純に悔しさしかありませんでした。しかしそれが社会から見た税理士像のひとつの現実なのだと思います。我々税理士ひとりひとりが顧問先の役に立つ仕事ができなければ、こういった評価は覆せないとつくづく感じます。

今でも記帳代行、あるいは記帳代行的な考え方で仕事をしている税理士もかなり多いのが現実です。つまり年に数回程度、顧問先様に会ってちょっとした話をし、資料だけ受け取り、決算申告をするような仕事の仕方です。こういった仕事しかしない税理士にどうして社長の皆様が経営の重要事項について相談をする気になどなれるでしょうか。

マエサワ税理士法人はほとんど記帳代行はやってきませんでした。もちろん一時的にお手伝いすることはあっても、記帳代行を業務の柱にしたことはございません。

メールマガジンでも書かせて頂いている通り、マエサワ税理士法人は法律業務としてプロの申告業務は当然にこなしますし、その上でサービス業としてコンサル業として「いかに顧問先様の儲けに役立つ提案をするか」にこだわってやってきております。

これは最近始めたことではなく、会長の前沢が事務所を創業してから40年以上やってきていることです。そこがマエサワ税理士法人の圧倒的な強みです。他の会計事務所からマエサワ税理士法人に税務顧問契約を替えて頂いた社長には少なからず感じて頂けていると思っているのですが、いかがでしょうか。

継ぐことの難しさと継がないことの損失

どういった会社であっても事業承継はいつかはぶつかる課題です。社長のお子様に承継していく形が昭和の時代はほとんどでした。しかし平成に入りバブルが崩壊した後は、会社の財務が傷んでしまい、社長のお子様が引き継がないケースが出てまいりました。お子様はお子様で良い教育を受けられ、立派な大学を卒業され、上場会社のような大きな会社へ就職し、家族ができ、安定した生活を送っています。

このような生活から社長(お父さん)のように大変な苦労をして会社経営をしたい、と思うお子様が少なくなったということでしょう。経営者としてうまくいけば、サラリーマンとして活躍するのとはまた別の世界を見ることができます。リスクが多いことは認めざるを得ませんが、生涯をかけた職業として非常にやりがいのあるものだと私は感じております。

ただ、現実問題としてこういったことよりも現在の自分を含めた家族の幸せを取る方がいらっしゃるのも事実です。これは良い悪いの問題ではなく、個人の考え方の話なのでそれぞれの考え方を尊重するしかありません。

しかし、社長にとっては社員や社員の家族の生活を守る責任があるので、会社の行き末をどうするか、お子様への承継が叶わないときには、従業員さんへそれを託すのか、会社を畳むのかという選択肢しかないと思われている社長も多くいらっしゃいます。

優秀な従業員さんが優秀な経営者たりうるかというとそうとは限らない現実があります。別の言い方をするとNo.1(=社長)とNo.2(副社長や専務)とは大違いということも言われます。やはり経営のトップに携わる人とそうでない人ではその責任というものはまるで違うものだと思います。

また長い経営で培われたノウハウやお客様があるような会社を畳んでしまうのは、社会にとって大きな損失です。長い経営は、その事業が社会貢献をしてきたことの証明でもあります。社会に価値を提供できる、そして儲けを出せる仕組みを終わらせてしまうのは社長にとって、また少し大げさに言えば日本という国にとっても大きな痛手です。
これからますます儲けることが難しくなる日本でこのような会社が姿を消しているようでは日本の未来がますます暗くなってしまいます。そこで上述のM&Aも社長の事業承継の出口戦略の一つに入れて頂くのもひとつではないかと感じます。

もちろん、M&Aで一緒にやっていくM&A専門会社も様々ありますから、それぞれの社長に合うM&A専門会社とやっていく必要がありますし、M&Aをやった結果、社長も社員さんも皆がよかった、といえるM&Aでなければ意味がありません。

このあたりもご興味ございましたら、マエサワ税理士法人の担当者あるいは前沢までお尋ね頂ければ幸いです。