マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

資産・負債と損益はどちらが重要?

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第102号] 資産・負債と損益はどちらが重要?

2021年6月2日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の102】

『儲けの循環を意識する 』

納税をしたくない。多くの経営者は感情的にはそう考えることが多いかもしれない。

しかしながら経済界では納税なくして利益は残せず、金が貯まらない仕組みになっている。

利益を出す、払うものは払う、お金を貯める。そして次の儲けに活かす。
儲けで次の儲けを作るこの循環を築いて頂きたい。

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「資産・負債と損益はどちらが重要なのか」と聞かれたら皆様はどのようにお答えになるでしょうか。私であれば、資産・負債と損益は「車の両輪の関係」、つまりどちらかが回ればもう一方も同じように回るものですから、両方重要と答えます。

ところが社長と私の会話を思い出すと、「今月は利益が出て非常に良かった」「今月は経費がかさんで赤字になってしまった」と話される社長は多くいらっしゃいますが、「自己資本比率が上がってよかった」とか「数年前と比べて預金残高が一桁増えた」という話をされる社長はあまり多くありません。

お金が貯まらない節税は避ける

経営者にとっていくら儲かったかというのは非常に分かりやすい指標です。また儲けを出すことを念頭に経営されているので損益の話が出るのは至極当然といえます。

ただ、しっかりとした会社経営をされている社長は例外なく、損益と同様に資産・負債の内容をよく理解されているように感じます。

掛売上があれば売上と同時に売掛金が資産として計上されます。掛仕入があれば仕入と同時に買掛金が負債として計上されます。仕入れた商品が残れば仕入から在庫という資産に振り替えられます。土地や有価証券は買ったときよりも時価が大きく下がっている場合がありますが、中小企業会計では基本的には買ったときの価額のままになっています。この場合には潜在的な損失、いわゆる含み損が存在していることになります。

最初に持っていたお金が商品や設備に姿を変え、付加価値を付けてお客様にその商品やサービスを売ることで初めて売上が計上され、再びお金という形で回収されます。

この循環を上手に繰り返して儲けを出していけるようになると次第にお金が貯まってきます。儲けが出るとセットでついてくるのが納税です。納税は義務ですが辛いものです。ですから世の中には節税ノウハウが山のようにあります。私は真の意味での節税は納税することなのだと思っています。儲けが出ていても過度の節税を行えばせっかく貯めたお金をむしろ減らす結果になってしまいます。

必要な節税は是非やられたほうがよいですし、マエサワ税理士法人スタッフもご協力させて頂いていることと思いますが、過度の節税はお勧めできません。特に経費による節税には限界があります。お金が出て行ってしまうからです。ただし上述の通り所有している土地や有価証券、ゴルフ会員権に含み損がある場合には大きな節税が期待できる場合があります。買ったときの価額と現在の時価が乖離しているほどにその効果は大きなものになります。

もちろん節税だけでなく、時価評価することで適切な財産価値を示すことになるので、例えば金融機関に対しても信頼性の高い財務情報を提供できるということになります。またM&Aなどで自社を譲渡する場合にも同様のことが言えます。

貸借対照表の健全化

まずは黒字経営により稼げるだけ稼ぎ、お金を貯める。その上で将来、事業承継時にどのように次世代へ資産を承継していくかを考えるということがとても重要になってきます。

損益計算書は従業員が作るもの、貸借対照表は経営者が作るもの、ということも申し上げたことがございます。

儲けというのは社長だけでは稼げるものでなく、社員の皆様のご協力があって初めて達成できるものです。この儲けをどのように未来のために活かしていくかは経営者の考え方によって変わってきます。社長の考え方が現れるのが貸借対照表なのです。

目の前の損益にしか目がいかないと、結果として「儲けが出る→税金がかかる→税金を払いたくない→過度な節税→お金が貯まらない→いつも資金繰りに窮する」、という負のスパイラルに陥ってしまいます。

儲けは「将来の事業投資に回す部分」、「不測の事態に備える余裕資金」、「一緒にやってもらう社員へ還元」、そして「納税」となります。

つまりそれなりの儲けを出し続け、納税をしなければ、投資や余剰資金などは生まれるべくもないわけです。ですから将来の投資や余剰資金、借入金についてどう考えるかは健全な経営をしていく上で極めて重要ですし、逆に言えば貸借対照表を見れば、経営者が経営についてどのようにお考えになられているか、おおよそわかります。

まずは仮払金や仮受金、経営者に対する貸付金などがあれば、そこからきれいにしていき、だれが見てもすっきりした貸借対照表にしていくのがベターだと思います。もちろん儲けが出なければなかなか処理できませんし、長年放置していればそれだけきれいにするのにも時間がかかります。

儲けは出ているけどもお金が貯まらないという社長は要注意です。貸借対照表の健全化については、マエサワ税理士法人スタッフに是非お声がけください。どうぞ宜しくお願い致します。