■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第123号] 変化を受け入れる
2022年3月23日 配信
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の123】
『安定を受け入れるな 』
経済成長率の劣った国で経営をするということは、逆向きのエスカレーターに乗っているようなものである。
安定に落ち着き、止まっていれば衰退が待つ。成長を続けることがこの資本主義経済で生き残る最低条件なのだろう。
現状に満足せず、変わることを受け入れ、儲けのための実践を先導し続けるトップであって頂きたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
顧問先様を訪問し社長のお話を伺っておりますと『企業経営は本当に難しい』と思い知らされます。経営者として成功された方でも経営上の失敗経験が一度や二度はあるのではないでしょうか。
今成功されている経営者の方に共通しているのは、「どうやって売上を伸ばしていこうか」「どうしたら顧客に売れる商品、サービスを創れるのか」「顧客が求めている商品、サービスが何なのか」を常に、それこそ寝ても覚めても真剣に考えていらっしゃる、ということです。
一方で様々な要因によって現状経営がうまくいっていない経営者の方もいらっしゃいます。しかし、たとえ今苦境に経っているとしても、やはり寝ても覚めても経営のことを考えていらっしゃる社長が非常に多いのです。皆様それこそ必死で経営を立て直そうとされています。この『思い』が実は、経営立て直しのために一番必要なものだと感じます。
上向き、前向き、外向きであれ
今日現在の財務諸表と、社長の『思い』は必ずしも連動しません。財務状況も悪くなく、経営の安定している会社であっても、社長のお話に経営に対する危機感・緊張感が強く感じられないこともございます。
しかし成功されている、勢いのある経営者ほど経営に対する危機感が強いように思います。これまでにいくつもの経営危機を乗り越えてこられ、ちょっとしたことで経営が傾くことを体感されているからなのでしょう。だからこそ経営が安定していても息をつく暇もなく、もっと良い商品を、少しでも良いサービスをと、貪欲に求めていくのです。
ある顧問先社長が社員に対して事あるごとにおっしゃっている言葉があります。
「下向き、後向き、内向きではダメだ。上向き、前向き、外向きでなければ。」
経営の危機をいくつも乗り越えてこられた社長は、こうでなければ会社が成長しないということを知っているのです。社長は現状に決して満足していません。そして社員にも現状に満足せずに常に成長を求めています。
社長自身が万一にも現状に満足してしまうと、それは知らず知らずのうちに社員にも伝わってしまいます。そうなると社員も現状打破の気持ちが生まれにくくなり、むしろ現状維持に固執していくことになってしまいます。
現状維持の方が楽ですから、特に社員はそうなりがちです。しかし現状維持を選択した瞬間から、将来の経営崩壊が始まっているのです。
だからこそ経営者の皆様は常日頃からチャレンジし続けているのだと思いますし、変わることに抵抗するのではなく、受け入れて実践していくことの重要さを社員へ知らしめていく必要があります。もちろん社長は事あるごとに社員に「会社がどのように変わっていくべきか」を具体的に見せて、話していかなくてはなりません。
もちろん現状を打破しようとして結果としてそれがうまくいかない場合もあるかもしれません。しかしそれでも現状維持でなく現状打破を選択しなければならないと思います。
現状維持では生き残ることすら難しい
だいぶ前に「あなたは30年前に繁栄していた会社で今も当時と同じように繫栄し続けている会社をいくつ言えますか」という趣旨の新聞記事がありました。
たとえばトヨタ自動車は該当しますね。しかし30年前に隆盛を誇ったメガバンクはどうでしょうか。その他には…なかなかあるようで挙げられません。今世界を席巻しているGAFAは30年前には現在とは比べるべくもない企業でした。
つまり企業が30年間第一線で繫栄し続けることは極めて困難だということです。だからこそ30年以上会社が残っていること自体が奇跡に近いことといえます。
30年先を見通せる人はなかなかいないでしょう。10年後を見通すことも難しい世の中です。そんな中で正しいと思われる経営判断を都度、下していくのは至難の業とも言えます。だからこそ成功した経営者であってもおそらくはいくつもの経営上の失敗はあったことでしょう。
その都度、考え抜きその時点では経営上正しいといえる判断を下し、それを成功に導くべく不断の努力をされたにもかかわらず、それでも失敗してしまったということです。人生をかけてチャレンジしたにもかかわらず失敗すれば「なんとしてでも取り返すぞ」ということになり、それの積み重ねが今の成功につながっているのだろうと思います。
社長を退かれた今でも自社の商品を毎日のように口にして、味の確認をされている飲食業の元社長もいらっしゃいます。100歳を超えても奥様と月に一度、マエサワ税理士法人にお越しになり、会社経営のご相談をされていた方もいらっしゃいました。
こういった方々の姿を見ていると、経営者は死ぬまで経営者なのだと感じますし、経営に対する執念のようなものを強く感じます。現状よりも少しでもよいもの、よいサービスをお客様に提供しなければならない。そのためには現状打破が必要であり、変化を受け入れる度量がなければ、変化に対応することはできないと感じます。
今回のお話は我々会計事務所こそ最も考えなければならない課題です。士業ほど変化を嫌うように思えます。マエサワ税理士法人は職員一同、変化を受け入れ、また自身を変化させ続けながら、変化に対応する顧問先様のパートナーとさせて頂きたく邁進してまいりますので、今後とも宜しくお願い致します。