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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第127号] 相手に理解してもらうために考えること
2022年5月18日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の127】
『役に立つということの本質 』
経済界において、相手の役に立つということは、対価として直接又は間接的に自分に利(儲け)をもたらす。
ならば我々はその相手が役立ちを感じるように行動をしたほうが良い。
自分本位な自分が思う役立ちではなく、金を払う相手が役に立ったと感じるような言動・サービスとはどのようなものか。常に意識した行動を心掛けたい。
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ある顧問先様の定例経営報告会に出席した時の話です。ある役員の発言が非常に簡潔明瞭かつ具体的で、その場にいた皆が「腑に落ちた」と感じるものでした。今回はその発言をご紹介いたします。
幹部参加型の経営会議での一場面
この顧問先様は食肉の卸しと食肉加工を行っている会社です。実はこのメールマガジンにも過去に数回登場している顧問先様であります。ここ10年の業績は安定しており、財務的には超がつくほどの優良会社です。
「ここ10年の業績は安定している」と申し上げましたが、この会社は決して現状に満足しているわけではありません。さらに上の目標を設定されており、その目標を達成すべく様々な経営上の課題点を洗い出し、日々改善に努められていらっしゃいます。目標とする売上や経常利益はかなり高いものですので、道半ばの状況でもあります。
この顧問先様の会社には100人以上の社員、パートの方が働いていらっしゃいますが、良い意味で昭和的な「一致団結頑張っていきましょう」というイメージを強く受ける会社です。近頃あまり見られなくなったタイプの会社かもしれません。
この顧問先様には基本的には月に2日間伺っております。私ともう一人職員の二名体制です。1日目は月次決算の数字を固めるのが主な業務となります。午後になると会長、社長をはじめ皆様が我々のもとにいらっしゃり、よもやま話をされます。月次の数字の動向を気にされているのでしょう。我々がまとめる月次決算の完成を待ち構えております。
夕方になりようやく月次決算が締まり、部門別の業績表を皆様に配りますと、部門長をはじめ皆様が数字を食い入るように確認し始めます。
「〇〇部の今月の修繕費ですが、私の集計していた修繕費より多いようです。内容を確認させてください」
「〇〇の経費が発生しているはずなのですが、その数字が反映されていないようですので、ご確認頂けますか」
といったご質問や確認のための問い合わせがあります。
とても活気もあり、やる気もあり、本当によい会社です。そんなこんなで1日目の月次監査は終了となります。
2日目の朝、月次監査を進めながら作成していた資料を印刷して9時30分より経営報告会がスタートします。社長、会長のご挨拶に始まり、各部門の部門長からのご報告、内容についての補足説明等が行われます。そんな中、役員の中の一人が話された話というのが冒頭の話です。
聞く相手が腹落ちする言葉を選んだアプローチ
私は月次の業績をご報告する際に、「今は財務的にも非常に優れている会社であることは間違いない。ただ、今の状況のままであれば5年やそこらは大丈夫ですが、10年20年後にこの会社が存在している保証はない」というニュアンスのことを申し上げました。そしてそれを回避するためには「とにかく新商品の開発が必要であり、今上げている利益率を落としてはならない、安売り競争に巻き込まれてはだめ」だということをお話し致しました。
こういった話は、今回が初めてではなく、何度となく申し上げてきたところです。一度や二度話して改善できるのであればよいですが、なかなかそううまくいくものではございません。やはり繰り返し訴えることでお互いに理解できる部分がでてくることもあるのではないでしょうか。
私が一通りお話をさせて頂いた後、件の役員の方がお話を始めました。「前沢先生が言っていることはその通りだ」と。続けてその後に、「営業が売上を上げるなんてそんなに難しいことではないんですよ」「そもそも営業はなぜ人がするのですか?」とおっしゃいました。
「営業には、その人の話し方、話す内容、段取り、人柄などが出ているので、それを少し直すだけで多少の売価を上げることなど簡単にできるんですよ」
「人と人のつながりですからどれだけ人に会うかが極めて重要です」
「会えなくても電話1本くらいできるでしょう、歩いている道すがらでも電話なんてできるのだから」
「やらない理由を並べる前にやるべきことをしっかりやりましょう」
私自身にもずしんとのしかかる言葉ばかりです。この役員のお話は何度も伺っておりますが、毎回、非常に具体的かつ端的に話をされるので、課題点や改善策を言われると誰でも容易に理解、納得できます。あとは実行あるのみ、といったところです。
マエサワ税理士法人は会計事務所です。一般的な会計事務所のイメージで言えば、税務会計の専門家という認識でしょう。ですがマエサワ税理士法人は税務会計をしっかりやらせて頂いた上で、経営つまり儲けに対してもアプローチをしていき、社長の儲けに対してご提案をさせて頂きなんとか儲けに結び付けるところをもうひとつの目的として業務遂行しております。
そういった中で『難しい言葉を誰にでも理解できる言葉に置き換えて、理解して頂く』『それぞれの顧問先様によって業種業態は異なる中で、それぞれの顧問先様に対して個別具体的な話をしていく』ことによって、経営に関する考え方を社長と共有してまいります。そしてこれからも顧問先様、マエサワ税理士法人双方が成長し続けられる関係性を大事にしてまいりたいと存じます。今後ともマエサワ税理士法人と職員一同をどうぞ宜しくお願い致します。