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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第137号] いよいよアフターコロナの幕開け
2022年10月5日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の137】
『次の経済に向けて 』
伝染病、戦争、インフレ、急激な為替変動、この数年の出来事は経済への影響も凄まじく、ダメージを受けた会社がほとんどだろう。
外部環境の変化にも終わりは訪れる。始まりに備えることは難しいが、いざ収束したらどう動くかは考え方・動き方次第で大きく差がつくポイントになるだろう。
転んでもタダでは起きぬ気概で是非儲けを取り戻して頂きたい。
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向かい風が続く日本企業
巷の経済雑誌や日本経済新聞を読んでいると以前に比べて円安ドル高が進行していること、そしてそのことが日本経済に与える影響等、多くの記事を目にします。
アメリカでは景気過熱を抑えるべく金利を政策的に上げていく一方で、日本では金利を上げてしまうと利払い負担が重くのしかかるため、ゼロ金利政策を続けざるを得ない状況がしばらく続くことになりそうです。
そうなれば金利の高いドルで運用しようと円を売ってドルを買うことにつながり、結果として円の価値が下落しドルの価値が上昇し、円安ドル高基調になっています。
20年、30年前であれば輸出企業として名を馳せた企業が日本には数多くあり、円安ドル高は経営上有利に働くので、円安ドル高は非常に歓迎されていたことを覚えております。(これが原因でアメリカとの経済戦争も起きていたわけですが)
しかしその時ほど日本の輸出企業には元気がありません。自動車産業、もっと言うならばトヨタ自動車以外、世界で活躍している日本企業は皆無という状況です。そのトヨタ自動車にしても今では生産子会社を海外に設立して専ら現地生産が進んでおります。
むしろ今回の円安ドル高は日本にとっては輸入に大打撃を与えております。半導体、鉄鋼、石油は言うに及ばず、小麦などの農作物の輸入価格が急上昇しており、その影響はほとんどすべての産業に及んでいます。
飲食店はコロナ禍での休業による給付金があったおかげで生き残ったところが多かったですが、ここにきて原材料高を売価への転嫁できないことで厳しい経営を強いられております。さらにゼロゼロ融資(実質無利子・無担保の融資)の返済が始まったことも厳しい経営に拍車をかけている状況です。
マエサワ税理士法人の顧問先様でもコロナ禍で売上が2割減どころかコロナ禍前の2割にとどまっている会社が少なからずございます。
世の中の変化に儲け方を合わせられるか
これからウィズコロナあるいはアフターコロナとして、コロナ禍から一歩抜けた新たなステージに入っていきます。(もしかしたら第8波ということもあるかもしれませんが)そんな中でも前向きに儲けを出そうと動き始めている顧問先様も多くいらっしゃいます。
● 物流業の会社では、コロナ禍で売上が2割以上落ち込んだことにより物流拠点を見直し、整理統合による合理化を進めることで損益分岐点売上高を大幅に下げることに成功しています。現在はもともとの損益分岐点売上の6割ほどで利益が出る形になっています。
● 食肉品製造業の会社では、とんかつを大手スーパーへ卸すことに成功し、設備をフル稼働することで対応しておりましたが、それでも供給に不安が出てきたため、億円単位での設備投資を実行に移しております。
● 旅客運送業の会社では、コロナ前に200人以上いたドライバーの雇用を守り切りました。コロナ禍では設備産業故の大きな固定費に非常に苦しめられておりました。今の状況も決して楽観視できる状況ではないものの、人の移動が少しずつ戻ってきており、雇用を守り切った社員の皆様、幹部の皆様は「とにかく最善を尽くす」という強い思いで動いております。社長の冷静な判断と、不安の中にありつつも社員の皆様には笑顔で安心感を与えていらっしゃるのがとても印象的です。
● お米の卸売業の会社では、相場が大変有利に働いたこともあり創業以来最高益を上げることに成功しました。ただこのような相場が続くことはないという中で、業界内でのポジションを確実なものにするために、新たな精米工場を建設予定となっております。この会社では卸売だけでなく炊飯事業も開始し、二本目の柱となる事業とすべく鋭意実行に移す段階に入っております。
● 太陽光発電を製造販売している会社では、これまで企業を中心に販売を行っておりましたが、地方自治体でのクリーンエネルギー需要の高まりを受け、地方自治体とタッグを組んでクリーンエネルギーの供給を始めております。
どの顧問先様もこれまで行ってきた事業を劇的に変えてはおりませんが、周りの状況を見ながら販売方法、販売先、商品を変えていっております。これらの会社の経営者の方々は皆『現状維持はすなわち衰退』という共通のお考えをお持ちのように思います。
いつの時も経営者の皆様は非常にご苦労されて経営をされており、それを続けてこられた方だけが今も生き残っているという厳しい世の中です。今回のコロナ禍はおそらく何十年かかけて変わるような変化をわずか2,3年の間で起こしています。
このような時代の流れについていくのは並大抵の発想や努力ではすみません。しかし経営者という職業を選択された社長の皆様には、なんとしてもこの資本主義世界で生き残って頂きたいと思っております。いかに価値ある消費・サービスを生み出し、それを必要な人に適正価格で届けることができるか、大きな勝負どころがまさに今です。
マエサワ税理士法人はそういった顧問先様と未曽有の災害の中、ともに生き残り、10年20年ののち笑って話すことができる日が来るのを待ちながら、皆様の経営の助けになるべくやってまいります。