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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第142号] だめになっていく日本で生き残るために
2022年12月14日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の142】
『過去の延長からの脱却』
人は良いときほど心に隙が生まれる生き物であり、こればかりは無自覚を意識し、気を引き締めるしかない。
商品開発、業態開発が止まった会社は緩やかに死んでいく。
時間軸と目線を様々持ち、どう儲けるか?どう貯めるか?そのためには?を常に考え続けて頂きたい。
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早いものでもう師走へ突入です。正月始めに「新しい1年、事務所の経営基盤である顧問先様の維持、拡大をしっかりやっていこう」と誓ったのが昨日のようです。私も年を重ねて「年年歳歳、1年が短く感じられるようになる」という言葉の意味を実感するようになりました。
業績が良いときほど兜の緒を締めよう
今年も多くの社長にお会いし、お話させて頂きました。明確な成長戦略を持っている社長はやはり伸びているなと感じました。米の卸売業の会社では新たな工場用地を取得し、新工場を計画しています。この目的は明確で、2026年に現在50億の売上を110億まで上げるということです。ではなぜ110億に売上を上げる必要があるのかですが、「業界内である程度価格に対して影響力を持つことのできる会社になるには年間100億以上の売上が必要なんです」と社長は力強くおっしゃっていました。
米卸しとして米を売り続けていく先行きに不透明感があることは否めません。人口減少、高齢化、食事の多様化などにより、今でさえ米の消費は減っております。この状況はますます顕著になっていくことでしょう。
そういった中で従来の販売方法だけでなく、ネット販売を開始したり、米自体を売るだけでなく、炊飯事業を立ち上げたり、ネット販売でも米以外の商品を扱ったりと今は試行錯誤的ではありますが、様々な試みをされていらっしゃいます。
米卸し事業の成長が横ばいになってしまってから新事業、新業態開発をしても遅いのです。
これはとても重要なことで、うちの会長も必ず言っている、①よい商品ですか、②よいお客様ですか、③よい商品とよいお客様をよく理解している従業員ですか、という儲けるための三要素のうち、一番始めにくるものです。
よい商品でなければ消費者は手に取ることはなく、仮に手に取ってもらえたとしても価格面で交渉が必要な状況(=安値で売る)になってきます。やはりよいものを適正価格で買って頂くことがお互いにとってよい関係性を続けていける最大の要因になるのではないでしょうか。
考えることは原価ゼロである
これを体感されている社長は常に商品開発や業態開発をされています。5年後10年後さらに20年後に世の中がどうなりそうか、そのときに自分の会社が存在し続けるためにはどんな会社になっていればいいかを考え、そこから遡り、では10年後はどうなっていればいいのか、5年後はどうなっていればいいか、1年後はどこを目指していけばいいか、という考え方を、儲けている社長ほどされています。
今、悪い状況にあるならば、儲けを出すためにまずは目先のコストカット、目先の売上のために少々粗利益率の悪い取引先であっても取引を行い、なんとか利益改善していくという、現状に合わせた改善も考えられます。
ただしこういった短期的な行動により利益確保をしたとしても、長期的視点からすると対処療法となってしまい、却って長期的な成長を阻害してしまいかねない場合もあるように思います。
とはいえ、経営者としていつまでも赤字を放ってはおけないですし、人や設備を動かす以上一定の売上が絶対的に必要となります。ですからこういった短期的視点による行動が全て良くないということを申し上げるつもりはありません。
短期的視点から直すべき部分は直すという前提の下に、このような短期的視点だけでは経営自体が危険にさらされる可能性が高いのではないか、ということです。
先日お亡くなりになられた京セラの会長だった稲盛氏は、「構想は自由に、計画は緻密に、実行は楽観的に」とおっしゃっていました。確かに自分の会社を将来どうしていきたいのか、そのために今何をすべきか、という長期的視点は非常に重要だと思います。また目指すべき方向性が定まっていなければ、都度の判断が正しかったかどうかもわからず、取引先にも社員にも不安や不信感を与えかねません。
うちの会長の言葉を借りれば、「深く考えなさい。考えることには原価はかからない」です。確かに自分の頭の中でシミュレーションしたり、想像することにお金はかかりません。でもこの考えることこそが、将来儲けるためには非常に重要なことであるように思います。
考え抜いて出した結論であっても、実際にやってみたら違っていた、ということはいくらでもあります。ただ考え抜いたことを具現化して計画を策定した結果であれば、これは仕方のないことですし、結果を受け入れるしかありません。
確実に言えることは今までの事業の延長線上のようなことを繰り返していては、アフターコロナは生き残れなさそうな事業が多いということです。
まさに100年に一度あるいはそれ以上の未曽有の経営環境でマエサワ税理士法人も生き残る術を顧問先の社長の皆様と共に考えてまいります。
最後になりますが、本年一年、マエサワ税理士法人職員一同お世話になりまして、誠にありがとうございました。来年も顧問先社長の皆様と一緒に更なる成長を目指してやってまいる所存です。引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。