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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第187号] 財務諸表を読み解く上で重要な指標
2024年9月4日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の187】
『生産性を維持向上できず儲け続けている会社は皆無である』
本日お話する4つの指標は、どれも儲けを増やすためには常に意識し、より伸ばしたほうが良い指標である。これは経営者のみならず、幹部社員にも意識をしてもらいたいものだ。
経営者思考の共有、良い商品か?良い客か?を理解してもらうこと、に加え、儲けをいかに増やすかという点もより意識してもらうこと。
それが自身の給与に返ってくるという事実も理解してもらい、一丸となって儲けられる企業を目指して頂きたい。
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経営における重要な”儲けの指標”
マエサワ税理士法人の担当者が顧問先社長に月次報告をさせて頂く際によく出てくる指標に「一人当たりの生産性」「粗利益率」「労働分配率」「自己資本比率」がございます。
社長にとって毎月の月次報告はこの1か月の通信簿のようなものかと思います。黒字経営をされている多くの社長の場合、月次報告をご覧頂くまでもなく、すでに大枠を掴んでいらっしゃることが多いです。月次報告はあくまで社長の頭に入っている数字と実際が一致しているかの確認作業と位置づけてらっしゃる場合も少なくありません。
マエサワ税理士法人の顧問先様も売上規模や従業員数や業種などは多岐に渡ります。規模の大小を問わず、儲け続けている社長にはそれぞれの経営哲学があり、そんなお話を聞くごとに社長の凄みを感じます。
規模というものは数字を見るとおおよその想像がつきます。売上が10億円と100億円の会社があれば売上規模という意味では当然100億円のほうが大きいということになります。
では売上が10億円の会社と100億円の会社、それぞれ経常利益が1億円出ていたとしたらどちらが優秀な会社なのでしょうか。一見すれば売上10億円の会社が1億円の経常利益を稼いでいるとすれば経常利益率10%、売上100億円の会社が1億円の経常利益を稼いでいるとすれば経常利益率1%となり、売上10億円の会社の方が優秀ではないかと思われます。
しかし常に売上10億円の会社の方が優れているとは限りません。実際に両社が同じ業種を営んでいるのであれば比較もできるかもしれませんが、業種によって粗利益率も違いますし、借入金の多寡でも見方は変わってくるでしょう。ですから自社と他社の業績を比較するにはいくつか重要な指標を押さえておくことが必要になります。
その指標が最初に書かせて頂いた「一人当たりの生産性」「粗利益率」「労働分配率」「自己資本比率」です。これらは全て「儲け」で結びついております。
一人当たりの生産性の追求
「一人当たりの生産性」は粗利益額÷従業員数で算出されます。月額の粗利益額を用いれば月当たり従業員一人当たりの生産性ということになります。
粗利益額は売上から変動費を引いたものであり、言い換えれば企業が自由に使えるお金です。その中から人件費、設備費、その他投資などへ支出が行われ、残った部分が最終利益となります。
一人当たりの生産性は規模の大小を問わず良否を比較できます。月当たりの一人当たりの生産性は上場会社であれば平均で月150万円であるのに対し、中小企業では月50万円程度となっております。全社平均でいえば月70万円程度となっております。
一人当たりの生産性を高めるには粗利益額を増加させることが一番であり、商品・サービスの付加価値を上げることにより「粗利益率」のアップを図ることが一番です。ですからマエサワ税理士法人では月次報告の際に「粗利益率」のところにフォーカスしてお話することが多いと思います。
「労働分配率」は人件費÷粗利益額で算出されます。一人当たりの人件費÷一人当たりの粗利益額でも同様に算出できます。業績がある程度安定している中小企業の労働分配率はおよそ50%前後です。仮に月の一人当たりの生産性が70万円の会社があるとすれば、この会社の一人当たりの人件費は70万円×50%=35万円となります。これには社員の給料はもとより、会社負担の社会保険料も通常含まれますので、社員の平均給料の額面は31~32万といったところでしょうか。
社員全員の平均給料で31万〜32万/月ですから実際には厳しい経営環境だと思います。これが日本の平均的企業の給与水準ですから、日本の黒字法人割合が3割超に留まっているというのも納得できてしまいます。是非とも月100万円の一人当たりの生産性を目指していきたいものです。
一人当たりの生産性の追求は、企業経営の永遠のテーマのひとつと言えます。 中小企業の平均である月額70万円を目指す顧問先様もいれば、すでに100万円を超えている顧問先様も多数ございます。一人当たりの生産性は企業の儲ける力の指標ですから、高ければ高いほど良いと言えます。平均を大きく上回っている企業はさらなる高みを目指していただきたいと思います。
「自己資本比率」は貸借対照表の純資産(資本の部の総額)÷総資産(=負債+純資産)で算出されます。通常、融資を必要としている社長は金融機関へ融資のお願いに行かれることが多いかと思います。ただ自己資本比率が30%を超えるようになってくると金融機関の方から融資させて頂けませんか、とやって来るようになります。そうなれば金利は相対的に低くなりますし、そもそも自己資本比率が30%を上回ってくると融資を必要としない安定した財務状況になってきます。
では自己資本(純資産)を増加させるにはどうすればよいかといえば、基本的には純資産は毎期の利益の積上げで構成されますので、儲けることが最善です。儲けるとそれに付随してついてくるのが税金です。法人税は地方税も含めて約30%ほどです。100稼げば30の税金を納税することになり結果として70残ります。30に該当する部分の節税もできる部分はやった方がよいですが、より重要なのは100の稼ぎを120、200と増やしていくことです。
つまり稼ぎさえ出せれば、ここに上げた指標や数値は良くなります。逆にいくつか平均より悪い指標や数値があればそこに改善点が隠れていることになります。このあたりを毎月のマエサワ税理士法人の担当者との報告会で、社長の皆様にご確認頂ければより活用できる通信簿になるかと思います。どうぞ引き続き、マエサワ税理士法人と職員一同を宜しくお願い致します。