マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

稼いだ銭をいかに守るか

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第193号] 稼いだ銭をいかに守るか


2024年11月27日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の193】

『経営者として意識すべきこと』


儲けること、稼ぐこと。

稼いだ金を貯めること。

貯めた金を守り、引き継ぐこと。

そのどれもが実現すべき使命であるが、入り口はまず儲けて黒字を出すことである。

打てる手を打ち、有意義な未来の選択肢を増やして頂きたい。

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自国通貨安に対する受け取り方の変化

最近のドル円の為替相場は円安ドル高水準で推移しております。直近でいえば155円前後/ドルといったところです。この30年間で最も円高ドル安の時は2012年であり、79円70銭/ドルでした(IMFデータより)。

昭和の経済成長時の円安ドル高の時にはニュース番組を見ていても、「貿易黒字が大きくなり日米で貿易摩擦問題が再燃」などという話が聞こえてきていました。この言葉のニュアンスは円安ドル高が日本としては歓迎すべきものではあるものの、アメリカからの圧力をどのようにかわそうか、という嬉しい悩みにもという印象を子供ながらに受けました。

と同時に当時の日本は世界経済に大きな影響を与えていたことを今、強く感じます。経済力世界No.1のアメリカに警戒されていたのです。

翻って今の日本を見ると円安ドル高の為替相場になっているものの、昭和の時と違って、非常にネガティブに聞こえます。ニュース番組からも「円安ドル高により海外原材料や製品の輸入価格が上昇し、農家の肥料の値上がり、メーカーの資材価格の高騰などに大きな影響を与えています。」のような話が聞こえてきています。

もはや昭和の時のように円安ドル高の歓迎ムードはありません。それは輸出金額と輸入金額の逆転があると思います。プラザ合意の行われた1985年当時の日本の輸出額は42兆円弱、輸入額は31兆円余りであり10兆円以上輸出超過となっている状況でした。ところが2023年になると日本の輸出額は101兆円弱、輸入額は110兆円余りとなり10兆円弱の輸入超過となっている状況です(財務省貿易統計より)。

プラザ合意後、円安ドル高基調が是正されたことにより、輸出中心の形態から現地生産に切り替えた日本企業が多くなったのも輸出入金額が逆転した一つの要因かもしれません。

いずれにしても輸入超過の状態で自国通貨安が有利に働くことはないでしょうから、今の円安ドル高は日本全体で見れば厳しい経済環境でしかありません。


稼ぐことと同時に資産を守ることについても考える

話は変わりますが、どんな経済環境下であってもマエサワ税理士法人では「なんとしてでも稼ぎましょう」ということを申し上げております。これは前号でも書かせて頂いた通り、企業が存続するためには黒字であることが前提であり、一度でも赤字になってしまうとこれを黒字に戻すことが非常に困難であることが分かっているからです。

ただこの稼いだ銭も今、非常に危険な立場に置かれています。日本円はドルベースで見れば2012年当時の日本円1億円は現在ではおよそ5000万円程度に価値が落ちているのです。

この30年間、日本国内はずっとデフレの状況で日本国内にいる限りは貨幣価値の下落に気づきづらい状況にありました。しかし急激な為替相場の変動とそれに伴う輸入価格の上昇と人件費コストの上昇などによりデフレからインフレに変わってきています。

つまり稼いだ銭をそのまま普通預金に入れていると今後も為替相場の変動により、海外から見た貨幣価値が変動するリスクにさらされているということを意味しております。「変動するリスク」とは円安ドル高になれば貨幣価値が減少し、円高ドル安になれば貨幣価値が増加することを意味します。

今後の日本を考えれば人口減少と人口の高齢化は避けて通れません。経済力は最終的にはその国の人口に比例するという前提で考えると、日本の経済力の世界各国との相対的比較でいえば、残念ながら下がっていくものと思われます。

経済力が下がるということはその国の貨幣価値が落ちていくことを意味するので、何か大きな改善が日本に起きない限りは、円安ドル高基調は続くように思えます。つまり日本円の貨幣価値はドル(世界)に対して相対的に下落することになり、稼いだ銭をそのまま日本円で保有していると下落するリスクにさらされることになると言えます。

それではそれにどう対応したらいいのか。実は日本では銭をいかに守るかの教育がほとんどされていないのが現状です。投資や投機をおこなっている方はいますが、銭を守るためというよりは儲けるためにやられている方が多いように見えます。

日本円だけで銭を持っているとすれば、それは日本円に対して起きるリスクを100%受けることになります。例えば半分ドルで持っていればドルのリスク要因と円のリスク要因が被らなければ、全部日本円で持っているよりは全体としてのリスクを小さく抑え込むことができます。

銭を守るためにはできるだけリスクを小さくする必要があります。つまり損をしたとしてもなるべく損を少なく抑えることが主眼となります。だとすればリスクの発生要因が違う資産を組み合わせて持っていることが良い方法と言えます。外貨だけでなく、不動産、金、株式、国債などいろいろな資産があります。

これらをいかにバランスよく保有するかということも、儲けることと同時に企業経営では重要なことになってくるように思います。これらをいかにバランスよく保有するかということも考えるべき局面に入ったように思います。