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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第198号] 値上げのできる商品
2025年1月29日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の198】
『しっかりと互いに儲け合える商売を』
資本主義であるという大前提は踏まえた上での話だが、商売は自分だけが儲かればいいというやり方を続けると早晩良い取引先は消え、自分と同じような思考の相手しか残らなくなってしまうものだ。
自分も儲け、相手も儲ける。このバランスは経営者のセンスとも言えるところだろうが、人と人との付き合いである以上、無下にせず互いに儲け合おうと前を向ける関係を築きたいものだ。
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マエサワ税理士法人では事業を成功させるために①よい商品、②よいお客様、③①と②をよく理解した社員が必要ということを社長の皆様と共有しております。今回のメルマガでは①よい商品を開発することで危機を乗り切ろうとしている顧問先様についてお話してまいりたいと思います。
よい商品、よい顧客、それらを理解した社員を増やしていくこと
顧問先様の一つであるA社はもともと築地市場内で魚の仲卸しの会社として経営されていました。代替わりして今の社長になってからは、自ら現地に赴き、産地直送の魚を取り扱うようになりました。それに伴い、取引先も高級レストランや高級ホテルを獲得していきました。
ところが令和2年からのコロナ禍によりこの会社も壊滅的な大打撃を被りました。商品の納入先がホテル・レストランなどの飲食関係であったことが要因です。コロナ禍に翻弄され、コロナ融資でどうにか食いつないでいたものの経営状況はひっ迫しておりました。
そして令和5年を迎えました。正直、先行きは非常に厳しいものがありました。前年程度の売上であれば借入金の返済に支障が出てくるものと思われました。なんとしてでも黒字化を図るため、①小さな売上でも丁寧に積み上げていく。②「丁寧に」とは粗利益率をしっかり取る商売、すなわち儲けを取れる商品開発と顧客開拓をすることです。この二点を常に社長とお話してまいりました。
もともと社長は営業が非常にうまく、よいお客様を獲得できていました。仕入先となる漁師の方々にも利益になり、そして売上先となるホテルやレストランの方々にも利益になるような商売の仕方ができる方です。安くたたいて買うことが可能な時もあります。しかしそれをやらずある程度の価格で仕入れることで漁師の方々から信頼を得て、逆に魚が高騰している時にも回して頂けるような関係づくりをされています。営業に関していえば非常にバランスの良い社長です。
こういった状況でスタートした令和5年度でした。上期は毎月一進一退で、上期が終わったところでちょうど損益トントンでした。過去2年の業績を見れば、正直、上期を損益トントンで乗り切れたのは、見事としか言いようがありませんでした。社長も下期に向けて自信をみなぎらせていたようにお見受けしました。下期は社長の営業努力が実り、優良な取引先を増加させ、売上を伸ばしていきました。また一部商材が爆発的に売れたこともあり、下期は計画を上回る数字となり、見事黒字決算となりました。
そして令和6年度も現在のところ、ここまで素晴らしい業績で来られております。あいかわらず日本全国津々浦々へトップ営業をかけられ、新規取引先を獲得するとともに、仕入についても高品質かつお手頃価格の商材を獲得しており今の業績を下支えしております。
トップは誰よりも稼ぐトップでありたい
この会社の生命線はいかに新鮮で品質の良い商品を獲得できるかにかかっております。皆様もご存知の通り、まぐろ、うに、ホタテなどが海外への輸出にも回っており、価格が高騰しております。令和7年度は仕入価格が高騰することからこの2年のようにはうまくいかないと見込まれるために社長も売価の値上げ交渉に入っております。これまでは値上交渉にはかなり消極的だった社長ですが、ここで値上げができなければ令和7年度の利益水準が厳しいものになることがわかっているので、積極的に値上交渉を行っております。
課題は人手不足です。ご多聞に漏れず、発注や入出金業務、新規取引先に対する見積書の作成などをギリギリの人数で回しております。社長の奥様が休日返上でなんとか回せている状況です。
魚の加工場もあり、そこで働く方々も高齢化が進んでいる上、職人技のような技術を若手にどのように引き継いでいくかも大きな課題になっております。若手社員の登用については最近、タイミーを活用されています。これは労働力の時間買いのようなイメージで、必要な時間だけ、その時間に働いて頂く人に来てもらう超短期アルバイトです。雇う側、雇われる側がお互いに良好な関係を築ければ、長期的に働いて頂くことも可能とのことで、非常によい仕組みだと社長が話されていました。
この顧問先様は商品のアジア方面への輸出も検討されております。そのため、タイミー以外にも優秀な東南アジアの方々を登用し、海外進出を試みているところです。この顧問先様にとってのよい商品とは、新鮮で高品質の魚介類です。そうであるからこそ値上交渉でも勝ち目があるわけです。そのために北海道でも能登でも九州でもあるいは台湾、ニュージーランドまで出かける社長です。
よい商品を創るのは並大抵の努力ではできませんが、それを創れても維持していくことは大変ですし、次のよい商品創りもしなければなりません。やはり売上が立って利益が出てこその経営です。価格競争に巻き込まれない商売を考えてまいりたいものです。