マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

若く優秀な人材を獲得するには

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第199号] 若く優秀な人材を獲得するには

2025年2月12日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の199】

『粗利益をきちんと稼げる体質を』

優秀な人材を確保するためには、世間・業界相場以上の給料を出せることが何よりも大事であり、それは資本主義の正しい姿とも言える。

自社の給料水準を上げるためには、その原資となる粗利益を継続して伸ばせる土台を作ることが必須だ。生産性を上げる、粗利益を伸ばす、給料を上げる。この好循環を生み出したい。

原価高の時代、粗利益率のコンマ以下にもこだわること。それほどまでに生き残ることが難しい時代だという危機感を持つことが肝要だろう。

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ますます減っていく企業数と出生数

コロナ禍に見舞われた際、経済活動がままならない中でどのようにして雇用を守っていくかが大きな命題となり、これを解決するための資金面で多くの企業は非常に苦労しました。コロナ禍が過ぎ去り、今では労働市場は完全な売り手市場となりました。企業は、また違った形での人手不足に悩まされております。

これからの日本の労働市場はどのように変化していくのでしょうか。まずは雇用する側の法人数ですが、申告法人ベースで令和4年度は290万社余りであり、これまでほぼ増加し続けております。

このメールマガジンでも何度か書かせて頂いている通り、事業承継者がいないことで廃業せざるをえない法人も少なくありません。こういった法人の多くは黒字企業であり、人や技術を持ったところが少なくありません。今後はこういった法人の廃業が残念ながら増えていくものと思われます。

さらにこの1、2年の物価上昇により、原価率の上昇や経費の増加の影響があらゆる事業におきています。原価率の上昇や経費の増加はそれだけ稼ぎづらくなっていることを意味します。赤字になったからといってすぐに倒産することはありません。ただこの状況が続けば資金繰りが悪化し、最悪最期の時を迎えることになります。

赤字が続けば倒産するのはわかりますが、黒字であっても事業承継がうまくいかずに廃業となる可能性が今の日本の法人にはあるわけです。結果として法人数は今後、減少していくものと思われます。

次に我が国の人口構成についてですが、ご存知の通り出生数は減少し続けております。1970年には193万人、1990年には122万人、2000年には119万人、2010年には107万人、2023年には73万人となっており、2024年は70万人を割り込むとの予測になっております。20年後に彼らが成人となりますが、1970年の新生児数から見れば成人の数は4割を切ってくるわけですから、さらに若く優秀な人材の採用は難しくなるでしょう。

さらに今の若者は年功序列、終身雇用を前提にした就職を希望していません。数年でスキルを上げれば、自分の価値を高く買ってもらえる企業へ転職していくことが多いようです。正直、昭和の考えからすると理解に苦しむ部分もありますが、今の若者からすれば、終身雇用で働こうにも将来が見えない状況では当然の選択なのかもしれません。

結局は給料です

とはいえ会社経営をしていく上で人材は①よい商品、②よいお客様、③①と②をよく理解した社員、といった儲けるための3要素のひとつになっておりますから、短期間で辞められてしまったのでは経営へのダメージは甚大です。

ではどうしたらせっかく一緒に働くことになった社員と長くやっていけるのか。ひとつは給料であり、ひとつは会社の行末(理念)の共有であり、ひとつは社員にキャリアプランをみせてあげることのように思います。

言うは易し、行うは難しです。

実はマエサワ税理士法人でも、「職員にキャリアプランを見せる」点については不足しているところがあるように感じています。最近の若者は会社に育ててもらうことを前提に考えており、具体的に研修制度が整っていなかったり、数年後の自分の成長度が見えづらいことが若者には不安であり不満であるようです。私もこのあたりの改善を図っていかなくてはなりません。

ところで給料について上場会社の平均年間給与が出ておりました(㈱帝国データバンク調べ)。2023年度決算期(2023年4月-24年3月期)の全上場約3800社における平均年間給与平均給与は651万4000円です。

22年度の637万3000円より14万1000円(+2.2%)多く、3年連続で前年から増加したほか、平均給与は過去20年で最高額を更新しました。ちなみに2023年度平均給与額が最も高い企業は、M&Aアドバイザリーや仲介業務を手がける「M&Aキャピタルパートナーズ」(2478万円、東証プライム)だそうです。

そして2024年度は物価高などを理由に初任給など給与テーブルを大幅に引き上げる事例が目立つほか、パート・アルバイトも含めた時給の引き上げに動く企業も出ており、待遇改善で人材確保を図る傾向が一層強まっております。企業業績や収益改善のペースは各企業によって差異があるものの、33年ぶりの水準に達した春闘を経て、上場企業の24年度平均年間給与は上昇するとみられているようです。

では日本全体の平均年収とはといえば、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者1人あたりの平均年収は460万円だそうです。

両者で平均年収の捉え方が多少違う所もあるとは思いますが、平均年収637万円に近付いていかなければ、若く良い人材を獲得するのは難しくなっていくのでしょうか。もちろん平均年収を上げていくには自社の粗利益額を上げていかなければなりません。

①よい商品、②よいお客様、③①②をよく理解した社員は変わりません。これまでと考え方が変わることはありませんが、経済環境がコロナ禍以後、大きく変わっているので、稼ぐという資本主義の鉄則から外れたことはやらない、ということが重要になってくるかと思います。

人材の確保は企業にとっての大切な要素です。その継続のためにも、我々は儲け続けていかなければならないのです。