マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

売上か利益か

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第211号] 売上か利益か

2025年7月30日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の211】

『頑張った結果儲かっているのか?』


利益の残らない事業を続けるほど悪循環なことはない。

その場の資金繰りを乗り越えたとしても、赤字である以上は徐々に首が締まり、やめるという選択が出来なくなるほどに首が締まってしまうこともあるだろう。

売上を伸ばすことはそのまま会社の成長でもあり重要なことだ。

だが同じくらいに利益を残し、金を貯め、生き残れる基盤を築いて頂きたい。

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先日、参院選が行われました。結果は周知の通りです。衆議院でも参議院でも自公連立政権は過半数割れとなりました。とはいえ野党もそれぞれ主張がバラバラで大連立はないようです。せめて決めなければならないことを、決めるべき時に、しっかり決められるようにはして頂きたいと思いますが、いったいどうなるのでしょうか。

利益の残らない経営はボランティアに他ならない

さて、ある顧問先社長が15年前に設立されたNPO法人がございます。このNPO法人の設立趣旨は、将来に向けて優秀な経営者を創り出すための大学を創るというものです。大学では顧問先社長のツテで幅広い業界の経営者や大学の教授、デザイナー、料理人などに講師となって頂きます。毎年15人から20人程度の生徒に彼らの経験談をお聞きしたり、会社見学をしたり、時には料理教室なども行われます。

私は15年前に生徒としてこのNPO法人の主催する大学に入学させて頂きました。つまりはこのNPO法人大学の1期生です。今では当時一緒に勉強した人とは会う機会がとんとなくなりましたが、風の噂で「誰誰が社長になられたよ」という話を多く聞くようになりました。1期生だったこともあり、私も含めて二代目経営者にあたる方が生徒となっていることが特に多かったかと思います。

そのNPO法人で私が講師になる機会を頂くことになってから3年が経ちます。1期生の中でお世辞にも成績が良いとはいえず落第ギリギリだった自分が講師をさせて頂くのはどうなんだろうと思いましたが、こんな自分でもなんとか卒業させて頂いたことに報いる意味で、お引き受けしました。

今の生徒の所属している会社は飲食に関わる業種が多く、普段、財務に関わる数字にはかかわりのない生徒さんが多いです。ですから数字から財務のことを知ってもらうアプローチは避けました。

私が生徒さんにお伝えしたいのは「会社は儲けなければ成り立たない」ということだけです。ですから全ての話の終わりに「だから会社は儲けなくてはダメなんです」ということを繰り返しました。経営者の皆様からすれば当たり前のことですが、現場で一生懸命に働いている若い人からすれば目の前の仕事をやり切ることだけでも大変なことです。自身が関わるビジネスを俯瞰的に捉える発想を持つことはなかなか難しいのかもしれません。

そんな中、私の講義を聞いた生徒の一人が、次のような感想文を提出してくださいました。そこには「自分は売上を伸ばすことが一番であって利益はその次だと思っていた。でも先生は『売上より利益が重要だ』と言われた。今まで一度も考えたこともなかったことで一番の衝撃だった。」と書かれていました。

初期的には売上、その先は粗利率の追求だ

私は講義の中でこんな話をしました。①増収・増益、②増収・減益、③減収・増益、④減収・減益の中で経営上、どれが一番良いか、悪いかといわれれば、一般論として一番良いのは①増収・増益、一番悪いのは④減収・減益だというのは異論がないところだと思います。

では②増収・減益と③減収・増益はどちらが経営的に比較して良いといえますか。多くの企業であれば③減収・増益だと思います。売上と利益は両輪ですから、どちらも経営上重要です。

特に上場会社では増収・増益が必達目標ですので②も③もだめだともいえます。一昔前に日産がリバイバルプランとして大規模リストラを実施し、売上は減少したものの利益を出し、V字回復をさせたということがあります。これは減収・増益の最たる例かもしれません。

話は戻りますが、社長であっても売上至上主義の方は少なくありません。売上が上がらないと企業規模が縮小したように感じたり、実際に資金繰りが厳しくなるので当然といえば当然のことともいえます。

ただし全体の粗利益率が下落してしまうような売上の増加は特に中小企業では望ましいものとはいえません。「労多くして益なし」とはよく言われる話です。結局、現場の社員の頑張りによって売上額は目標を達成したとしても、利益がついてこなければ社員の給料を増加させることはできません。

これでは社員には不満がたまり、それが続けば社員の業務のクオリティに影響が出たり、社員の退職などにもつながりかねません。もちろん一時的にシェア拡大を目指して粗利益率に目をつぶっても・・・ということがあるのも事実ですが。

ただそれができるのは体力的にしっかりしている企業だけです。日本の経済的な将来を考えても、昭和の時代であれば、「拡大させていくこと=会社の成長」に繋がりましたが、今では業種業態によっては売上額を追いかけるより利益率を追求しながら利益額を拡大させていくことが重要です。言い換えれば一人当たり生産性の拡大です。これはこれで商品力、ターゲットとする顧客層、社員の成長などを考えなければならないので一筋縄ではいきませんが、売上拡大一辺倒ではこれからの日本を経済的に生き残っていくのは厳しいと私は考えています。

儲けこそが経営と考えられる経営者の方々が、マエサワ税理士法人の顧問先社長には多くいらっしゃいます。心強い限りです。顧問先の幹部、従業員の方々にも、できれば少しでもそれを理解した上で日々の業務に向き合って頂けたらと思っています。

マエサワ税理士法人は間接的ではありますが、ご支援させて頂く所存ですので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。