マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

M&Aから見えてくるもの

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第215号] M&Aから見えてくるもの

2025年9月24日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の215】

『危機感の欠如』


赤字であることに慣れてしまった経営者、今日と同じ明日が来ると信じ続ける社員。

このように気持ちがぬるま湯に浸かってしまった会社に成りかけてはいないだろうか?

お金があるうちは、赤字でも会社は潰れない。

だがその間に膿を出し、死に物狂いで黒字に立て直さなければ未来はないのだと自覚すべきだろう。

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M&Aで付いて回る”人”の問題

最近は中小企業でもM&Aによる会社の売買が一般的になりました。一昔前であればM&Aは上場会社の専売特許というところがありました。中小企業の社長も会社を売買することには今以上に抵抗感が強かったように感じます。

現実に事業承継をしようにも、お子さんや親族に次期社長として適当な方がおらず、プロパー社員にも社長を任せられるほどの方がいないため、なかなか事業承継が進まず、せっかく稼げる会社にもかかわらず、泣く泣く清算する中小企業の社長も少なくありませんでした。

手塩にかけて育ててきた会社を売るということ自体が社長にとっては許せないものであったこともあろうかと思います。

時は経ち、今ではM&Aの仲介専門会社も多数存在し、社長の皆様も売り買い問わずアプローチを受けられているのではないでしょうか。

M&Aはうまく使えば有効な経営戦略となり得ます。会社を買うことで人手不足の解消の手掛かりになるかもしれませんし、会社を売ることは事業承継の出口戦略の一つにもなるかもしれません。

マエサワ税理士法人の顧問先様でも、M&Aで会社買収することで事業規模の拡大を図っている会社がございますし、株式売却することによって会社自体を残すことができ、社長も資金を蓄えていくことができ、残った社員も安心して働き続けることができた。そんな会社も多々ございます。

先日、上場会社に買収された会社と税務顧問契約を締結させて頂きました。この会社は元はオーナー会社だったのですが、株式を上場会社へ売却したことによるオーナーチェンジで、この上場会社の子会社となりました。

オーナーであった社長がそのまま社長となられていますが、親会社から役員が来られております。毎月の報告や課題点の共有や対応については社長・役員の方々とさせて頂いております。そんな中、こちらの役員の方から興味深いお話をお聞かせ頂きました。

こちらの上場会社ではこれまでにもいくつかの会社をM&Aで買収してきております。この役員の方も、買収した会社を新たに立ち上げるため会社に入ったり、不採算の事業を立て直したりされてきたそうです。

M&Aで会社を買った場合でも事業の立て直しでも何が大変か、と伺ったところ一にも二にも人だとおっしゃいました。

異なる文化の会社で育った人同士が一緒になるというのは大変なことです。この役員も初めて立て直しを図った会社では自社のやり方を初めから押し付けた結果、間もなく当初いた社員の8割に退職されてしまったそうです。

いくら事業を立て直さなければならないとしても、これまでのやり方をみながら、変えるべきところは変えつつも、これまでのやり方でも問題ないところは尊重するという姿勢が肝要だそうです。

儲かる会社に向けてメスを入れる

では変えるべきところが何か、ですが、それはもちろん赤字になっているところです。それは儲けることで会社が存続できることを理解してもらうしかない、とおっしゃっていました。上場会社では増収増益が当たり前の目標なので当然といえば当然の話です。

マエサワ税理士法人が顧問契約したこの会社の場合、単価が非常に安いサービスを提供しているので、細かなところをきちんと締めていかないと儲かるようになりません。

役員の方もこの会社の社員には「会社が儲けなければ賞与は出ない」、業績がよくなければ賞与が出ないことを毎回話されているそうです。儲かっていない会社ほど、儲けに無頓着ですし、そういう会社に限って、会社の数字を見せようものなら、やれ役員報酬がいくらで社長はもらいすぎだ、とか交際費をこんなに使っている、といった社長批判が始まります。

そういった会社の社員は言われた仕事をすることが仕事だと考えています。だから仕事を新たに任せられると非常に嫌がります。一方で稼いでいる会社の社員は会社が儲からないと自分の給料が上がらないことを理解しています。だから仕事を任されても嫌な顔はあまりしないはずです。それよりもどのように仕事をすれば効果的にそして効率的にできるかを追求します。

社員の仕事へのスタンスが受動的か能動的かで仕事の成果は大きく変わります。能動的な社員が多くいる会社はやはりやりがいがある会社と言えるでしょう。社員の帰属意識も高く、会社の成長可能性も高くなります。

上場会社、中小企業を問わず、経営には「人、モノ、金」が必要ですが、最も重要なのは人です。人の能力を最大限引き出すことができるのもそうできないのも社長次第です。そういう意味で社長がどこを見て会社を成長させられるか、そしてそのことを常日頃から社員に話して共有することが極めて重要です。

そのためにも社長は夢と希望をもって経営していかなければなりません。