マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

数字だけでなく本質を見抜く目を持つ

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第216号] 数字だけでなく本質を見抜く目を持つ

2025年10月8日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の216】

『経営者として軸をぶらさない』

経営者は日々様々、自分と利害が異なる者と付き合わなければならない。
頭では相手の立場を理解しつつも、経営者としては「儲けに繋がる行動をとる」ことが求められる。
相手と上手く噛み合わず、つまずくこともあるだろう。それでも根気強く儲けに繋がる道を探して頂きたい。

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少し先の未来を形にする事業へ

先日、新規の顧問先様と共に金融機関を訪問いたしました。事業立ち上げのための運転資金融資を受けるため、事業計画を説明する場面に同席することとなったのです。「新規」と書きましたが、こちらの社長は以前別会社で事業されていたころがあり、この別会社はマエサワ税理士法人が顧問をしておりました。

別会社は3年ほど前にM&Aにより売却しており、マエサワ税理士法人との税務顧問契約も終了しておりました。そして今回社長から3年ぶりにご連絡を頂き、「新たに会社設立し事業展開していくため、税務顧問をお願いしたい」とのご依頼を受けました。

3年前に売却した会社では主にスマートフォンアプリ用ゲームを開発していました。スマートフォンが爆発的に普及し始めたときでしたので、時流に乗り、儲けを出すことに成功しました。ちょうどいい頃合いでの会社売却だったかもしれません。

会社売却後、コロナ禍もあり、社長自身これからどうしていこうか考えていらしたそうです。久しぶりにお会いした際には新しい会社でどんなことをやっていくのか事業内容を伺いました。ゲームそのものの開発というよりはゲームを作るためのプラットフォームを作りたい、ということでした。

プラットフォームとは何ぞやという話になりますが、ゲームを作るには複雑なプログラミングをしなければならず、素人ではとても手が出せないものです。さらにゲーム制作は実に労働集約的な仕事であり、人手もかなり必要となってまいります。

ところが社長が作ろうとしているゲームのプラットフォームがあれば、私のようなプログラミングのできない素人でもゲームを作れてしまいます。つまりは手軽に誰でもゲームを作る基となるシステムがプラットフォームと言われるものだそうです。

さらにそのプラットフォームにAIを搭載させることで、例えば写真1枚を読み込ませるだけでそれが立体画像となり、動きも付けられ、ストーリーも作れてしまうとのことでした。

ユーチューブをご存じの方も多いと思いますが、動画作成に長けている人もそうでない人もユーチューブに動画をアップしています。すごく作りこんでいるおもしろい動画もあれば、しょうもない動画もある。社長から言わせるとこれがユーチューブのいいところだそうです。

おもしろいゲームもあれば、ちょっと苦笑してしまうゲームもあることでプラットフォームを利用する人がますます増加し、よりおもしろいゲームが生まれるということなのでしょう。

出してほしい事業計画と出したい事業計画のギャップ

ゲームのプラットフォームはBtoCのサービスですが、BtoBのサービス展開も考えられており、またその他にも事業プランがある中で金融機関へ伺いました。この金融機関では、箸にも棒にもかからない、とはこのことかというくらい話になりませんでした。一言でいえば「ゲームには融資をつけられない」ということです。

前の会社でもゲーム事業を展開しており、既に一定の成功を収めておりますが、「新規事業での実績がなければ融資はできない」ということでした。これから始めるのに実績と言われてもいいようがありません。

金融機関からすれば、過去遡ればいろいろな形で融資した結果裏切られたことがあったのかもしれません。その結果が定量的情報、つまりは実績主義になったのだと思います。確かに実績を出す、つまり黒字化していることは重要だと思います。

しかし赤字であるけど黒字化のために融資が必要であったり、新規参入で融資が必要な時にそれが過去に失敗した融資と同じ事案になるのか、そうではないのかを見極める目を捨ててしまってよいのか疑問しかありません。

もし数字だけで判断するならそれこそ融資の可否判断をAIにやらせればよいのであって、人件費を費やしてまで人間に判断させる必要はないように思います。経営者と真剣に話すことで経営者がどれだけ本気で経営に向き合っているのか、私は普段からそういった社長とお話ししているので、その本気度がどの程度なのか多少なりとも感じられます。

本気度を感じられなければ、やはり事業としては先行き不透明だと考えざるを得ないですし、そうなればその事業についてどうかと聞かれたときに、止めることも一つの決断かもしれない、と社長にお伝えしなければならない場合もあります。

そういう本気度を判断できなくなっている(判断を放棄している)バンカーが多くなっているように感じます。日本経済が縮小し、世界での日本の相対的地位が落ち続けている今、物事の本質を見抜く目はこれからより一層求められるように思います。

結局初めの金融機関では融資はおりず、他の金融機関へ改めて出向き、現在融資に向けて前向きに進行中です。こちらの金融機関はゲーム事業に対する評価も悪くはありませんでしたので、あとは良い結果を待つばかりです。

マエサワ税理士法人としては、顧問先様のお役に立つこと(=顧問先様の儲けに役立つご提案をすること)こそが使命だと考えております。その上で顧問先様とともにマエサワ税理士法人および職員一同が成長していくことで、更なる顧問先様へのお役立ちを目指してまいります。