マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

「100億宣言」から見えてくるもの

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第217号] 「100億宣言」から見えてくるもの

2025年10月22日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の217】

『成長への強い一歩を踏み出す』


「100億円企業を目指そう!」と言われて、そうだね!と前のめりになるのか、無理に決まっていると鼻で笑うのか、どういう話だ?と興味を持ち自社に落とし込むのか、経営者によってその捉え方も様々だろう。

競争社会に身を置く以上、現状に甘んじれば二極化の下部に飲み込まれてしまうものだ。

是非とも強い気持ちで上を目指して頂きたい。

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100億宣言プロジェクトの主旨

2025年2月より、中小企業庁と中小企業基盤整備機構は「100億宣言」というプロジェクトをスタートさせました。

「100億宣言」とは、中小企業が自ら売上高100億円という目標を掲げ、その実現に向けた取り組みを行うことを宣言するものです。これは、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が主体となって実施するプロジェクトの第一弾で、飛躍的な成長を目指す中小企業や経営者を支援することを目的としています。

「100億宣言」に記載する主な内容は、
①企業概念(現在の売上高、従業員数など)
②企業理念・経営者の意気込み
③売上高100億円実現の目標と課題(成長目標、期間、プロセスなど)
④売上高100億円に向けた具体的な措置(生産体制増強、海外展開、M&Aなど)
⑤実施体制

⑥経営者のコミットメント(経営者自身のメッセージ)

となっております。

「100億宣言」を行うことにより、

①補助金等の活用・・・「中小企業成長加速化補助金」や「経営強化税制の拡充措置」など、一部の支援策の基本要件となる場合があります。

②経営者ネットワークへの参加・・・地域や業種を超えて、成長を目指す経営者同士が繋がり、情報交換や交流ができるネットワークに参加できます。

③自社PR・・・「100億円宣言」の公式ロゴマークを活用して、自社の取り組みをPRできます。また、宣言内容はポータルサイトで公表されるなどのメリットを享受できることとなります。

なぜわざわざ「100億宣言」をさせる意味があるのでしょうか。これについて中小企業庁企画課が2024年3月に作成した『事務局説明資料』に以下の通り書かれております。

人口減少・少子高齢化に伴う国内経済の縮小が想定される中、中小企業の「100億企業」への成長を目指す。

・日本の経済・社会構造の中長期的な変化や、近時の変化(コストアップ・賃上げ要請等)を踏まえると、域内経済牽引や外需拡大に貢献し、賃上げを可能にする持続的な利益を生み出す、中堅企業クラスに匹敵する売上高100億円規模の「100億企業」を創出することを目指すべきである。

・我が国には、いわゆるスタートアップの起業家のみならず、中小企業の経営者が、自らの企業を地域・日本を代表する中堅企業・大企業へと成長させた事例が存在する。多くの中小企業には、そのような潜在的な可能性が存するのではないか。

・政府は、将来的に「100億企業」へと成長することを目指し、挑戦・自己変革への意欲を持つ、中小企業の経営者、そして、中小企業の経営と成長に新たに携わりたいと考える人々を支援するべきである。

こういった問題意識の下、「100億企業」などの成長企業創出に向けた中小企業政策の転換の必要性があるとの認識に至った。

・コロナ禍からの経済回復に加え、人口減少やGX(Green Transformation)/DX(Digital  Transformation)等の経済社会構造の転換が進む中、企業経営は従来の常識を転換させる必要。中小企業政策の重点も「守りから攻め」へと変化すべき。

・地域の中小企業が「100億企業」など中堅企業に成長するとき、高いレベルで外需獲得、地域経済牽引、賃上げに貢献。経済成長を実現する上で、こうした成長企業の創出が重要。

・一方、売上高100億円以上の企業は現在1.4万社(企業数全体の0.4%)、最近10年間または20年間で売上高1〜10億円から100億円超に成長した企業は178社のみ。

この資料内の「本研究会の趣旨・目的」として

・人口減少社会において、日本経済・地域経済が発展していくためには、賃上げや投資、輸出等の外需獲得に積極的で、地域経済を先導するような企業を各地位に創出することが必要。その際、こうした積極的な賃上げや投資を行うには、一定規模の成長が必要となるが、100億企業はそうした面で一つの目安となるような企業規模である。

・一方で、人口減少や、GXやDXといった社会構造・経済構造の転換は、成長に向けたチャンスでもあるものの、多くの中小企業では、現状維持にとどまり、成長に向けて踏み出せていない。

・そのため、「100億企業」へと成長した企業の成長要因についてさらに踏み込んで分析し、成長に寄与する戦略・行動を見出し、中小企業の成長を後押しすることを目指す。また、経営者が一歩踏み出し、成長に向けた経営戦略を実施していくためには、経営者を支える存在や成長を目指す気運醸成なども重要と考えられる。これらについても検討を深め、成長志向の中小企業を1社でも多く創出するための政策の方向性の提示を目指す。

持続的な成長と儲け続けるという強い意思

「100億企業」宣言を見ていると、いよいよ国も本気で企業の選別に入ったと見て取れます。最低賃金も47都道府県のすべてで時給1000円を突破しました。売上高100億円を超える企業はそうでない企業と比較して一人当たり生産性、一人当たり人件費がともに高いそうです。

だからこそ日本企業の0.4%でしかない100億円企業を増加させる施策を打つことで、雇用状況を改善させ、稼げる企業を増やしていこうとしています。

ここで申し上げたいのは「だから猫も杓子も100億円を目指しましょう!」ということではありません。たしかに100億円の売上高というのは、ひとつのわかりやすい達成の指標となるでしょう。しかしそれがすべてではありません。「一人当たり生産性」と「一人当たり人件費」が高い企業であるかどうかが、儲かる企業の絶対的な指標だと私は考えています。企業として企業と社員が成長し続けているのであれば、売上が5億でも10億でもよいのです。

ただ至極当然のことですが、「自社を守ることができるのは自社自身のみである」ということがより明確になったということは間違いありません。企業、社員の持続的な成長なくして企業は成り立たない、ということです。

マエサワ税理士法人は、儲けることができる、儲け続けることができる企業と共に歩んでいきます。これからも企業の成長に貢献できる存在であり続けたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。