■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第224号] 売上は膨張させるのではなく成長を
2026年1月28日 配信
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の224】
『このやり方で銭を増やせるのか?』
なぜこの赤字部門を続けているのか?
この疑問を投げかけたとき、「必ずこの先黒字にできるから!」と返ってくるものはまだ良い。「資金を回すために仕方なく…」「社員や仕入先が…」という答えが真っ先に出てくるところは始末が悪い。
儲けを出すこと、お金を遺すことを思考の第一に持てないようならば、その企業の未来は危ういものとなるだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
売上ではなく”利益”至上主義
先日、週刊ダイヤモンドを読んでいると、1967年6月5日号に掲載されていたトヨタ自動車工業の石田退三氏(当時会長)の記事がありました。石田氏は「台数競争なら最下位でも構わん。目指すのは数ではなく利益だ」と語っていました。
『そりゃワシだって、外国に追い付き、追い越したい。が、これを実現するものは単なる“数”の上の増産計画ではない。第一に車の性能、耐久力、安全性の点で、お客に喜んでもらえる車を造っているかどうか、ということだ。』
『この実力ある車を造るにはもうけにゃならん。数だけ造る競争なら、世界5位でも構わん。ビリだっていいんだ。』
『世界第何位ということは、数ではなく、実質利益での勝負だ。まずもうける。それで実力ある車を造るための、研究費を出したい。これがワシの一生の念願であり、見栄や外聞でやっているんじゃないんだ』
今でも売上を追う社長はたくさんおります。会社が成長するには売上を伸ばしていかなくてはなりません。だから社長が売上を追うこと自体が悪いことではありません。しかし石田氏が言っている通り、売上を伸ばした結果、儲けが増えなければその売上増加は会社の成長に繋がらないどころか、ただの売上の膨張にすぎません。
経営に対する考え方も重要なのだと思います。ただ数字としての売上を追いかけていてもおそらく成長は続かないのではないでしょうか。『第一に車の性能、耐久力、安全性の点で、お客に喜んでもらえる車を造っているかどうか』、つまり顧客が欲しているものを提供できているかが重要なのです。
しかし令和の日本という国で経営していく中小企業にとって増収増益を続けていくのは困難極まりないことです。円安ドル高による原料高、それによる物価高、さらに物価高はおそらく一時的なものでなく、インフレとなりつつあります。ではそんな日本経済の中で、究極の選択として増収を取るのか、儲けを取るのか、といったら社長の皆様の多くは儲けを取られるのではないでしょうか。
儲けの出ない売上に意味はありません。儲けがなければ社員に給料が払えませんし、会社自体が存続しえません。もちろん借り入れができれば会社存続は可能です。しかしそれでは存続するだけのゾンビ企業になってしまいます。
儲けのついてくる売上を増やすこと
ここまでの話にはすべての経営者が納得されることでしょう。ところがいざいざ社長とお話ししていると、頭ではそのことを理解しているにもかかわらず、売上第一主義に陥りそうになっていらっしゃる場面に遭遇いたします。本能的に売上を取りに行きたくなる(もちろん儲けが出づらい状況であっても)のです。儲けのついてくる売上は成長といえますが、儲けのついてこない売上は単なる膨張です。こんな売上は自己満足に過ぎません。
これが石田氏のおっしゃっている「車の数競争ならビリでもいい」につながります。つまり売上を追いかける必要はないということです。もちろんある程度の売上がなければ儲けの出しようがないのも事実ですが、無理して仕入れ安売りしてまで売上を造る必要はないし、やってはならないことといえます。
これからの日本経済を考えれば、爆発的に内需が増加する可能性は高くはないでしょう。インフレにもかかわらず、むしろ中小企業では価格転嫁もしづらいとなれば、いかに利益率の高い商品、製品、サービスを持つことができるかにつきます。
今、儲けを十分に出せる商品、製品、サービスがない社長にとっては、儲けを出すことのできるものを作りだすことこそが喫緊の課題となるでしょう。まさに待ったなしの状況です。今、こういったものがある会社であっても10年単位で経営を考えていけば、次はどこに投資していくべきか考えていかなければなりません。デフレの時代であれば現預金で持っていても価値は落ちずに済んできましたが、もはやインフレに振れ始めております。
インフレの中では現預金で財産を持っていれば年々価値が下落していきます。ですからせっかく儲けた銭は次のステージへ行くために投資していかなくてはなりません。中小企業はこの30年以上、投資を控えてきました。ジャパンアズNo.1から40年以上たった今では、日本は世界の舞台から降ろされている状況です。再び世界の舞台に戻るためにも設備はもちろんのこと、人にも投資していく必要があります。
最後は良い商品と良い顧客と良い社員です。この3つが整っている会社であれば儲からないはずがありません。今年も何度もお話しさせて頂くことになろうかと思いますが、その都度、社長の皆様には再認識して頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。