マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

インフレ基調となった日本

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第225号] インフレ基調となった日本

2026年2月11日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の225】

『儲けを出し、儲けを守るための行動ができているか』


儲けづらい、資産が増えづらい、そういった逆風の環境に置かれることも経営の常であり、その際にいち早く行動を変えていけるかが、経営者に求められる手腕の一つだろう。
時代の波になんとなく流されることのないよう、より経済への感度を高めていって頂きたい。

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世界と比較した日本のインフレ率から起こっている問題

コロナ禍後、日本の物価は上昇しており、本格的にインフレ局面へ突入してまいりました。とはいえ世界ではこの30年以上の間インフレが当たり前でした。

IMF(国際通貨基金)によれば、世界平均のインフレ率は2024年までの30年間を見てみると、1995年:16.24% 1996年:9.53% 1997年:6.65% 1998年:6.30% 1999年:6.19% ・・・ 2020年:3.26% 2021年:4.66% 2022年:8.63% 2023年:6.66% 2024年:5.76%となっております。

1995年の物価水準を100とすると2024年の物価水準はおよそ450になります。つまり2024年の物価水準が1995年の4.5倍ということです。

同じく日本のインフレ率は、1995年:-0.09% 1996年:0.14% 1997年:1.70% 1998年:0.65% 1999年:-0.35% ・・・ 2020年:-0.03% 2021年:-0.24% 2022年:2.50% 2023年:3.27% 2024年:2.23%となっております。

1995年の物価水準を100とすると2024年の物価水準はおよそ112になります。世界では同じ年数で物価水準が4.5倍になっているのに、日本はほとんど変わっていないということです。

今となっては、同じものを買おうとするとき、日本では世界の1/4程度の価格で購入可能だということになります。バブル絶頂期にはむしろ逆でした。当時は円高だったこともあり、日本から海外旅行に行くと世界中のどこの国に行っても日本よりも物価は安く感じられました。

今はどうでしょう。円安という逆の後押しもあり、アメリカやヨーロッパではブレックファーストですら5000円を超えるのが普通です。アジアであっても同じような感覚になるのではないでしょうか。

この状況は世界から見れば日本は大変お買い得だという話になります。特に不動産です。雪質が良いという話で北海道のニセコ地区が人気となり、20年以上前から地価が上昇し続けております。最近ではニセコも随分高くなったということで今度は妙高の方に人気が出てきており、地価も高くなり始めています。

東京都心も比較的地価が下がりにくいと言われていることもあり、富裕層や外国人に買われています。東京23区の新築マンションの2025年4月から9月の平均価格が1億3309万円となり上半期の最高値を更新したそうです(日本経済新聞2025年10月21日付)。東京23区の新築マンションはもはや一般の日本人には手の届かないものになってきました。

こういう状況になってくると物価が上がらない方がいいとばかり言っていられなくなります。世界はインフレ基調なので日本だけがデフレ基調となると、世界にとっては「お買い得な日本」が続くことになります。これでは世界の日本買いが収まらず、日本人がどれだけ頑張ってもその成果(儲け)を外国人にかっさらわれていくことになります。

円安・インフレ基調時における経営課題と資産の保全について

現在、日本も緩やかなインフレ基調になってきました。そうなると物価上昇分程度は最低でも給与水準を上げていかなくては実質所得が落ちてしまうので、給与水準を上げていく必要があります。

ところが、今の日本は稼ぐのもそう容易な国でありません。飲食業や小売業では仕入れは確実に値上げされているにもかかわらず、売価については消費者からの厳しい値上げ拒否圧力があるため、思うようには値上げがし切れておりません。顧客が納得する付加価値を確保したうえで、適切なタイミングで価格転嫁を実行していくことはこの先の事業継続の基本となるでしょう。

人材確保と賃上げへの対応も不可避となります。インフレは従業員の生活を直撃します。社員の給与水準を上げられなければ、退職の憂き目にあうのが明らかです。企業経営されている社長にとっては大変な負担にはなりますが、なんとか儲けを創り出し、最低でも物価水準の上昇分程度は給与水準を上げていく必要があります。これが雇用を継続する上でも最低条件になってきそうです。

インフレに振れる時に考えなければならないことはもう一つあるかと思います。今まで30年以上デフレだったので考えなくてもよかったことですが、インフレとなれば考えなければならないことです。

それは、儲けた銭を守ることです。所謂インフレヘッジですね。守るというのは言い換えれば価値を維持するということです。「何に投資したら儲けるかな」という意味で申し上げているのではありません。インフレによって貨幣価値が下がりますが、財産を分散することで少しでも貨幣価値の下落の影響を受けづらくしておく必要があるということです。

物価が安定している時には単一通貨に全財産を預金していても大して問題になることもありません。ところが物価が上昇する局面では、貨幣価値が落ちるので、その価値が落ちる分だけ何かに投資することで全体の資産価値の減少をくい止める努力が必要になります。

このあたりについては今後、改めてメルマガでも取り上げていきたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します。