マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

『売上3億、7億、17億、30億、70億』

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第7号]『売上3億、7億、17億、30億、70億』

2017年10月11日 配信
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こんにちは、マエサワ税理士法人 専務の前沢寿博です。

2017年も残すところ、あと3ヶ月となりました。実際には70日程度といったところでしょうか。
お陰様でこのメールマガジンも第7号の発行を迎えます。毎号30分以上、頭を悩ませつつ皆様に読んでいただけるテーマを考えるのが、最近の楽しみです。

さて、冒頭で触れたこれらの「3」「7」「17」「30」「70」といった数字は、企業規模の拡大におけるマイルストーンとして、経営者の皆様なら意識しておくべき数字でもあります。
会社がステップアップしていくにつれて、経営者の皆様にはどのようなものが求められるようになっていくのか。

本日はこれをテーマに筆を執りたいと思います。

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◆◆マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の7◆◆
売上3億、7億、17億、30億、70億の法則

会社が拡大していくためには不可欠なものがある。
過去2,000社を超える経営者の方々と対峙してきた経験から、売上3億、7億、17億、30億、70億になるために不可欠なものが、それぞれ異なると感じてきた。

それは情熱、商品、人、金、組織、である。
経営者は会社の拡大規模に応じて、これらを随時取り揃えていく必要がある。

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売上規模によって経営者に求められるものは異なる

売上規模が拡大するとその場面、場面で社長に求められるものが変わってくることは皆様、経験的に感じられているのではないでしょうか。
売上規模によって何が変わってくるのか、これについてよく挙げられるものとしては「人・モノ・金・情報」があります。

これもその通りではあると思いますが、今回は我々なりにもう少し具体的に書いてみようと思います。
皆様の過去から現在に至るまでの経営を思い浮かべながらお読み頂ければ幸いです。
もちろん、業種によって違う部分もあるのだと思いますが、ステップアップについてはほぼ同じではないでしょうか。

売上規模3億円まで

社長の「情熱」が必要です。
実際のところ3億円の売上は容易ではありません。しかし社長に情熱と強い思いがあれば、とにかくがむしゃらにやることで売上3億円を達成された経営者の方々は多くいらっしゃいます。
売上規模3億円に至るまでは、社長の情熱こそが会社拡大の原動力ということです。

売上規模7億円まで

「情熱」に加えて「良い商品」が必要となります。
社長が「良い商品である」と思えることは大切ですが、なによりも顧客が良い商品だと思える商品であることが肝要です。
一度良い商品を開発できても、それは永遠ではありません。顧客のニーズは日々変化していきます。
常に顧客に「良い商品」と受け止めてもらえる商品の開発力が必須となります。

売上規模17億まで

「情熱」と「商品」に加えて「人」が必要になってきます。
ここでいう「人」とは「自社の商品とお客を良く知る従業員」のことです。
多くの経営者の方が「おれが二人いればな」と思われた経験をお持ちだと思います。
しかし残念ながら社長と同じことができる従業員は存在しません。
根元的な部分で意思を共有できる従業員を揃えることができなければ、売上17億の実現は難しくなってきます。

売上規模30億円まで

30億円の売上規模を目指す段階になってくると「情熱」「商品」「人」とともに「金」が必要になってきます。
この規模になってくると会社の拡大基調が顕著になり、設備投資や在庫の確保、大規模な新規事業への進出などにより資金需要が急増してきます。
そのため、さらなる拡大のための資金繰りを乗り越える必要があります。
金融機関の理解と協力が必要となることもあるでしょう。
これまでに充実させた自己資本をどの分野に再投下していくか、時に慎重に、時に大胆な判断が求められます。

売上規模70億円まで

さて、ここから更なる飛躍を目指すためには「情熱」「商品」「人」「金」の他に何が必要になってくると思いますか。

この売上規模になってくると新たに必要になってくるのは「組織」です。
社長の能力次第で何人の従業員を管理しきれるかは変わってくると思います。
一人で100人を管理できる社長がいたらすごいことだと思います。
しかし実際のところは、従業員が100人を超えてくる段階で社長一人で従業員の管理をしきれなくなります。

そこで企業を本格的に組織化していく必要が生まれます。
権限移譲を部下にしていくことで儲けの最大化を図る訳ですが、その加減は難しいですね。
なかなか権限移譲できずに売上を拡大できなくなってしまったり、権限移譲をしすぎて派閥ができあがってしまったり。
当然、この規模に到達するまでに、どの会社もすでに組織を持っています。しかし、これまでにあった組織は、さらなる成長を目指すときに最適な組織と言えるでしょうか。
「儲けを出すための組織」を再定義していく必要があるかもしれません。

売上規模70億円以上

売上規模3億円以下からスタートし、売上規模が上がるごとに様々な対応が社長には必要であることが分かりました。
売上規模が大きくなるに従って、社長は現場に携わる時間が少なくなっていき、会社全体の戦略をどうするかに比重がかけられるようになります。

そして売上規模が大きくなるに従い、現場に近い意思決定権限を部下に委譲していくので、ある意味、社長には「器の大きさ」が求められるのかもしれません。
違う言い方をすれば我慢を強いられることが多くなるのかもしれません。

そういったことを克服して売上規模が70億円を超えてくると、ひとつの出口戦略として上場ということも考えられます。
昔からの創業経営者はこれを目標に事業をされている方も多かったのではないでしょうか。

なんといっても上場した瞬間に株価が跳ね上がり、社長始め会社の株式を持っている人たちに多額の資金が入ってきます。
会社としてもブランド力があがり、資金調達も有利になります。

一方で、同族での会社支配も難しくなり、また会計監査を受けなければならないなど、外部の目が厳しくなり、監査報酬等の間接費用も多くかかります。
そのためでしょうか、近年では上場できる規模の会社でも敢えて上場をしない会社も増えているようです。
また上場していた会社が上場廃止したりする会社も出てきております。

いずれにしても、その場面、場面で社長がその変化に気づき適切に対応できるか、そしてどこまで我慢できるかで、会社の成長をどこまで継続できるか決まるということでしょうか。
言うは易し、行うは難しですが、我々もこのあたりのことを常に頭に置きつつ、月次監査に向き合っていかなければなりません。

今回も長文にお付き合いくださいましてありがとうございました。次回もどうぞ宜しくお願い致します。