マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

儲け」とは何か、利益と何が違うのか。
「ゼニ」とは何か、お金と何が違うのか。

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第8号]「儲け」とは何か、利益と何が違うのか。
「ゼニ」とは何か、お金と何が違うのか。

2017年10月11日 配信
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こんにちは、マエサワ税理士法人 専務の前沢寿博です。

東京では先週から雨が続き、秋の心地よい涼しさを感じる間もなく、冬の寒さが見え始めているようです。
アベノミクスから約5年、依然として中小企業の景気感はあまり良いとは言えず、冷たい風を感じます。

そんな中で、徐々に足音が聞こえてくる冬のボーナス。
もらう方は楽しみ、わたす方は苦しみ、といった正反対の模様で、「賞与は出すつもりだよ。でも資金繰りが厳しくてね…」と支給を決めた社長でも一際頭を悩ませる問題です。

もちろんボーナスを出すことがまだまだ難しい会社も多くあると思いますが、業績を伸ばして社員にも還元したい!と熱い気持ちを抱く社長も沢山いらっしゃいます。

当然、賞与を実際に出すにはそれに先立つ「お金」が必要ですが、そのお金には様々な種類の「お金」があると思います。
会社で儲けた「お金」、金融機関から借りてきた「お金」、社長個人の「お金」などなど。

「お金」には名前がないのでどの「お金」も交換価値としては違いはないのですが…
今回は会社で儲けた「お金」とその源泉となる「儲け」に焦点をあててお話していこうと思います。

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◆◆マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の8◆◆
儲け≠利益、ゼニ≠お金

社長と社員とが、本気で商売に取り組んではじめて儲けが生まれる。
儲けが生まれてはじめて、ゼニが手元に残る。

数字上の「利益」を追いかけて、小手先の策を弄していては、
この厳しい世の中を生き抜くことはできない。
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儲けと利益は違う、お金とゼニは違う

これまでのメールマガジンで利益と言わず「儲け」と言ったり、お金と言わず「ゼニ」と言っていました。

これはかっこつけてそういう言い方をしているわけでもなんでもなく、
利益では言い表せない意味を「儲け」という言葉が持っているからであり、
お金では言い表せない意味を「ゼニ」という言葉が持っていると我々が考えているからです。

一般的に利益やお金というと、どこか清潔感のある響きに感じます。
また、学問風に利益を表すなら「売上-(売上原価+販売費及び一般管理費)」ということになります。

しかし社長と月次損益の話をするときに、利益では伝わらない部分があります。
「社長、今月も利益が出ていますね」というのと「社長、今月も儲けが出ていますね」では違うのです。

では具体的に儲けと利益の何がどう違うのでしょうか。

「儲け」は社長が捻り出すもの。「利益」は決算書上の表面的な数字にすぎない

「儲け」を出すために社長は何をする必要があるかを考えましょう。
それこそ寝食も忘れて、どんな商品であればお客さんが喜んで手に取り、より高い価格で買ってくれるのか考え、そのアイディアに基づいて商品を開発し、ようやく思いえがいた商品が出来上がる。
そして商品を持って得意先に営業することでようやく販路に乗せることができるようになる。

場合によってはそれすらできない場合もあったり、販路に乗せられても消費者ニーズを捕まえきれずに思うように売れない場合もある。いや、むしろうまくいかないことの方が多いような気がします。
そんな苦労の末に、売上が立ち、初めて生まれるのが「儲け」ではないでしょうか。

しかしそれに満足していると、すぐに競合他社が同じような機能を持った商品を製造販売し、仕掛けてきます。
それを撃退するべく、さらに高機能な商品やまた違う機能を持った商品を考え、試行錯誤の末に新たな商品を開発し、さらに同業他社の上に行く。
そうして、いつまでも終わりのない戦いをしていく中で、どうにかひねり出していくのが「儲け」です。

ですから「儲け」が出ていれば「ゼニ」が手元に貯まりますし、「儲け」がでていなければ社長の手元から「ゼニ」が消えているのです。

一方で、利益というのは決算書上の営業利益だったり、経常利益などがありますが、会計処理を変えるだけでも変わってしまいます(もちろん、法的に認められる範囲で会計処理を変更した場合の話です)。
言い方は乱暴かもしれませんが、「儲け」は会計処理を変えたからといって増えたり減ったりする類のものでは断じてありません。
会計処理がどうであろうと、汗水を流し商売を通じて稼いだものが「儲け」であり、その「儲け」は確実に「ゼニ」を社長の手元に残しているはずです。

そして我々が社長にいつも申し上げるのは「儲け」を出し続けましょう、ということです。

優秀な経営者はきちんと「儲け」て「ゼニ」を手にしている

「儲け」が多く出る、出ないが結局のところ、社長の手元に「ゼニ」を多く残しているのか、そうでないのかに直結しているのです。そして「ゼニ」を貯めるには絶対的に「儲け」を出すことが必要なのです。

マエサワ税理士法人の顧問先様でもずっと「儲け」を出し続けている顧問先様が多数ございます。
そういう会社の社長は例外なく、どうやって顧客ニーズを掴み、どうやって「儲け」を出すための商品・製品・サービスを創りだすか日々没頭されています。

飲食関係の会社の社長であれば毎月10%から20%の商品を常に新商品にしていったり(100の商品があったとするなら毎月10から20の商品を入れ替えるということ)、前にもご紹介したワインを扱っている卸売業の会社でも毎年の市場動向・消費者ニーズを見ながら、今、販売する商品を常に考え、売るべき商品を替えていくことを通じて、「儲け」を稼いでいらっしゃいます。

裏を返せば、経営者が頭を使い、商品ニーズを捉え、商品開発することができなければ「儲け」は生まれません。
最近多く見られる粉飾などの事件は、「儲け」ではなく数字上の「利益」を追及してしまう、決算書上での体面を重視する体質が極まった結果なのです。

大事なのは本業で本物の「儲け」を出すこと、それだけです。

生き抜くためには表面上の利益ではなく「儲け」と「ゼニ」を追及すべし

中小企業で肝になるのは、極論すれば、損益よりも資金繰りです。赤字で倒産する会社は稀ですが、資金繰りが行き詰まれば即、倒産です。
中小企業にとって「ゼニ」を稼ぐこと、つまり「儲け」を出すことが全てであり、決算書の表面的な利益を出すことではありません。
そして冒頭のご挨拶のところで、本業で儲けた「ゼニ」はお金に違いないが、借りてきたお金や社長が会社に入れたお金とは意味合いがまるで違うと申し上げていたのです。

我々は決算書上の数字(=利益)を扱う仕事をしておりますが、その前に「儲け」を出すために何が出来るか、を日々考え続けていく必要があります。
これからも我々は職業会計人として、「儲け」というものを強く意識し、中小企業の社長が「儲け」を出すためのお手伝いをしてまいります。

今回は我々職業会計人が中小企業の社長とお話していく上で一番大事なポイントである「儲け」について、私自身の頭の整理も含めて書かせて頂きました。

今回もお読み頂きましてありがとうございました。