マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

過去会計でなく未来会計に目を向ける

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第12号] 過去会計でなく未来会計に目を向ける

2017年12月20日 配信
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは、マエサワ税理士法人専務理事の前沢寿博です。

気がつけば、街にはクリスマスソングが流れ、もう年の瀬だということをいやが上にも知らされます。

毎年、年の瀬になるとその一年を自分なりに振り返る時間があります。

そのたびに思い浮かぶ言葉の1つが『過去と他人は変えられない。しかし未来と自分は変えられる』です。

「そうだ、来年こそ○○をやり遂げるぞ!」と思い、それが叶えられないまま一年後に変えられない過去になってしまうことが間々あります。

経営はこれでは困りますが、やはり夢と希望の未来がなくては活力が生まれません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の12】
『過去会計でなく未来会計に目を向ける』

会計と言われて思い浮かぶ決算書や試算表の数字は全て過去のものである。

これらを正確にすることは非常に重要だが、それは目的ではない。

過去の数値の分析を基に、伸ばすべき点・改善すべき点を明らかにし、未来の「儲け」につなげることが目指すべきところである。

「過去会計」から一歩進んで「未来会計」に目を向けることが重要である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

我々が月次監査を行う意義

私どもは毎月、顧問先様の会社に伺っております。お客様の会社で我々が行う業務は概ね3つの段階に区分できます。

まず、月次で入力された仕訳に誤りがないかどうか、請求書や契約書と突き合わせながらチェックしていきます。

修正すべきところがあれば修正をして頂き、その月の試算表の数値を固めるのが第一段階。

続いて、その試算表を基に社長に月次の数値をご報告するための資料作成に入ります。

12か月横に並べた損益推移表であったり、期首と現在時点の比較をした貸借対照表であったり、資金繰り表であったり、あるいは損益の予算実績比較表であったり。

マエサワ税理士法人の担当者と社長との間でお話していく中で適宜有用と考えられる資料を作成してまいりますので、顧問先様ごとにオリジナルの資料を準備することもございます。これが第二段階。

そして業績検討のためのご報告を社長にするのが第三段階。

我々が毎月、顧問先様にお邪魔しているのは試算表の数値を固めるためだけではありません。これらは社長と業績を検討するための準備にすぎないからです。

本質は第三段階、社長との業績検討がすべてといってもよいでしょう。

どれだけ検討しても過去の数値は変えられない

社長には、まず最新の損益についてご報告します。

「今月は売上が伸びたおかげで粗利益率も改善され、一方で販管費はほとんど変わらなかったので経常利益がいつもより多く出ました」

「ただ、前年累計と比較すると売上が3%ほど減少しており、粗利益率になると5%ほど減少しております」

「予算との比較でみても2%ほど売上が減少しており、粗利益率でも3%減少しております」

「そろそろ決算月に近いので予想される税額をシミュレーションしました。残り2か月前期の残り2か月の利益が計上されるとすると最終利益は○○円となり、それに対する法人税額はおよそ○○円、消費税は予定納税分を差し引くと○○円くらいになりそうです。資金繰りに予定しておいてください」

といったお話をさせて頂いていると思います。

直近の数値をきちんと把握するためには重要なことです。ですから我々もまず初めに現状の事実を社長にお話するわけです。

ですが、これで終わってしまうと片手落ちです。

過去の数値を知ることはできても過去会計は変えることはできません。

変えることができるのは、そうです。
未来の数値、すなわち「未来会計」です。

過去会計からどこがどう良くなったかを知り、それをどのようにしてさらに伸ばしていくか、あるはどこがどう悪かったかを知り、それをどう修正して補強していくか(あるいは排除していくか)。

そして未来に少しでも多くの儲けを残すことができるかについて社長と話すことこそが、我々の月次監査での最大の仕事と思っております。

そういう意味では我々の月次監査は毎月行われる会社の健康診断のようなものかもしれません。

正確な現状分析が、未来への指針を示す

複数商品を扱っている会社であれば商品別の粗利益率分析をしたり、あるいは取引先別の粗利益率分析をしたり、部門が複数あれば部門別分析をしていきます。このときお客様の環境にあった提案を常に心がけております。

次の打ち手を決める判断に役立つ情報の提供こそ我々の責務です。

さらに、明日の資金繰りもままならないようなケースでは、そもそも事業をこのまま継続できるのか、すなわち本業に儲ける力が残っているのか、そうでないのかを判断し、事業再生などで金融機関の支援を受けつつ事業継続していくか、あるいは会社を清算していくのか、という厳しい経営判断をしなければならないこともございます。

また、そもそもマエサワ税理士法人と顧問契約する時点ですでにそういった厳しい状況になっている顧問先様も少なくありません。

こういった場合、時間的にほとんど余裕もなく、また検討課題も多いのが通常です。

まさに時間との勝負、といったところです。限られた時間の中でも儲けの最大化(あるいは損失の最小化)を目指していきます。

経営を考える上では、短期的な視点と長期的な視点をバランスよく考える必要があるのではないかと考えます。

我々がご提案をする際に重視しているのは「今日明日だけ良ければいい」ということではなく「10年後20年後も儲けを出していけるか」という視点です。

「今は放置してもあまり問題にならないが、10年後、20年後に大きな問題となる可能性」を、経営者様とどうやって発見していくか。

もちろん簡単なことではございませんが、お手伝いできることは必ずあると考えております。

たとえば、ずっと黒字を続けている会社があるとします。キャッシュフローももちろん問題ありません。通常ですと「いい会社ですね」で終わります。

しかし、このような会社が20年経って、それまで順調に黒字を継続していたら…それは別の面で大変なことになっているかもしれません。

人はいつまでも生きていられません。そうです。事業承継の問題がでてくるはずです。いい会社を引き継ぐのだから何の問題もないでしょう、と思われるかもしれません。

ただで事業承継ができるのならば問題はないのですが、会社の株式は社長の立派な財産であり、長期間黒字で利益剰余金(過去の儲けの蓄積)が大きくなっていると、相続税評価による株価は当然大きく上昇します。

安易に後継者に株式を贈与などしようものなら、巨額の贈与税が発生することもございます。こういった場合、かねてより株価対策を打つことも重要だと思います。

経営者の皆様には、未来に起こるかもしれないことを見越して、様々な対策を打つため、我々を使っていただければと思います。

この様な健康診断を毎月やるのか、半年に1回なのか、はたまた1年に1回しかやらないのかで、その差は10年20年後に如実に表れてきます。

これはまさに、社長が経営に対してどう向き合っていくか、という考え方の問題なのです。

我々も顧問先様と一緒に成長していきます。
来年もその先も末永く宜しくお願い致します。