マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

岡目八目【売上を伸ばす経営会議】

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第15号] 岡目八目【売上を伸ばす経営会議】

2018年01月31日 配信
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こんにちは、マエサワ税理士法人専務理事の前沢寿博です。

最近、休みの日に息子と将棋を指すことがあります。
息子は全く強くはないのですが、勝負事には熱く、とんでもない悪手を指すこともあれば、ときおりキラリと光るような手を指すこともあります。

自分で悪手に気付くことはまだ少なく、大概私のほうから「そこでいいの?」と再考を促し、道を整えてあげてはおりますが…

このとき息子は、自身にとっての正解を考えています。
勝負の相手である私にとって「そこに打たれたくないなあ」という場所は、息子にとっての正解であり、妻が口出す「そっちのほうが良いんじゃない?」の場所も息子にとっての正解となります。

相手だったら?第三者だったら?という目線は、企業経営の舵取りに欠かせない目線です。

顧問先経営者の方にとって我々が第三の眼になることも、ひとつ大事な役立ちになると考えつつ筆を執ります。

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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の15】
『岡目八目』

経営者は真剣になるあまり「自分の会社のことは自分が一番よく知っている」と思い込みがちである。

自身の経験則から舵を取るうちに決まりきった手しか打てなくなり、現状から抜け出せないことも多い。

その真剣さに第三者の目線を取り入れることで、戦略の幅は広がり、儲けへの近道が見つかるだろう。
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マエサワ税理士法人では月次監査とは別に多くの顧問先様で『経営会議』 と称する会議を行っております。

なぜ経営会議をするのか?

「今、どうやって儲けるのか」
「この先、どうやって継続的に儲けていくのか」
「将来、儲けて貯めた財産をどう守っていくのか」

時点を分けたテーマがあります。
それぞれの目的を達成するため、会議も様々な形態をとります。
参加者と検討内容に注目して、経営会議のスタイルをみてみましょう。

【幹部役員が参加する】
部門別やグループ会社単位で現状分析をした上で、改善策や方向性の検討、その実行と結果の確認、そして更なる改善策の検討をしていく。

【後継者が参加する】
どのように事業承継していくか。経営の引き継ぎと、保有する会社株式の引き継ぎ、この二側面を検討していく。

【営業会議や店長会議に我々担当者が同席する】
数値を経営的観点に落とし込み、現場レベルで目指すべき方向性の話をしていく。

【経営者家族で会議をする】
会社の株式を含め、どのように将来へ資産を残していくか、節税だけでなく相続する側・される側の感情も考慮しつつ対策していく。
といったことを広く『経営会議』 で行っております。

ひとつとして同じスタイルの経営会議は存在しません。
参加メンバー、会議の進め方、提供する資料も多岐に渡ります。

経営会議に欠かせない「岡目八目」の存在

我々が行うどの会議にも共通しているのは、「儲け」をどうやって「増やす」のか、そして「貯めていく」のかを検討課題とするところです。

この経営会議は、ラーメン屋の社長にラーメンの作り方や店の魅せ方を提案するものではありません。
我々は職業会計人ですからラーメンに対してはド素人です。その道のプロがド素人にラーメン道に関して教えを乞う訳がありません。

我々は経営の当事者ではないが故に、第三者的な俯瞰の眼で企業を見ています。経営者が気づいていない、あるいは気がついていてもその重要性に気が付いていないことにも目が行きます。
ここに、会議の場での我々の存在価値があると考えています。

利益率に貪欲になるべし

経営会議を実際に開催している顧問先様でこういったことがありました。
その顧問先様は海産物を扱う大卸で、大きな商いの会社です。大量に仕入れた魚に粗利5%を上乗せして仲卸に売りさばいていくのを基本とされていました。

考えてみてください。一般の他の業種で粗利益率5%の業種なんてあるでしょうか?業界平均で5%の粗利益率というのは聞いたことがありません。いくら大商いといえども、今の衰退社会ではとても5%の粗利益率では厳しいことが容易に想像されます。

最初のうちは、社長は「5%というのは決まっている話で仕方がないことだ」と仰っていました。我々はそれでも会議に参加し、お話を続けました。
「今の低粗利益率のままでは、売上が維持できなくなった瞬間に会社自体が維持できなくなります。」

とうとう、社長自身が「確かにその通りだ」「粗利益率の高い商品を扱わなければだめだ」と仰るようになりました。そうなると行動は早く、いかに粗利益率の高い商品を仕入れ、その売り先を開拓していくか、を幹部役員の皆様と考えるようになりました。

その会社は、“市場では5%の粗利益率を乗せて右から左への商売”だったものを、“産地で自ら買い付けたものを小売りの高級店などに卸す”という取り組みを始めています。

今まで扱っていない高級商材を扱うようにする訳ではありませんし、在庫リスクを抱えるようにもなります。産直のものを自ら仕入れたり、売り先が仲卸ではなく小売店になったりしている訳です。

まだまだ全体の売上に占める割合は小さいものの、早くも実際に粗利益率の高い商品が取り扱われています。

考え方ひとつで商売の仕方も変わる一例であり、考え方を変える、そして顧問先様の商売には素人であるが岡目八目の我々の、経営会議における存在意義がまさにここにあると考えております。

会社が負のスパイラルに巻き込まれないためには?

さて、なぜ粗利益率の上昇にここまでこだわるのか。
それはこの先、様々な業種で売上を維持することが難しい時代に突入するからです。

現代日本の状況を、今一度みてみましょう。

1.一人当たりの生産性が20年以上、ほとんど変わっていない
2.超高齢化社会への突入(=労働人口の減少)
3.生産性の高い第二次産業が中国や東南アジアへ取って代わられている
4.生産性の高くない第三次産業へ労働力がシフトしている

このような状況で売上だけを追っていては、利益どころか赤字が拡大するだけです。さらに一人当たりの生産性が低ければ、給料を増やす余地もないということになります。

その結果、消費者の購買意欲は上がらず、企業の売上は伸びない。
まさに、負のスパイラル。

ですが、これはあくまで一般論です。日本で経営されている会社全てがそうなるかといえば、全くそんなことはありません。

現在でも約30%の会社が黒字経営です。
要はどうやって今後も黒字経営を続けていくか、がポイントになります。

黒字経営を続けるためのポイント

黒字経営のために達成すべきことは、2つ。
「一人当たりの生産性を何としても上げること」、「粗利益率を少しでも上げていくこと」です。

そのために、会社は何をすればよいのでしょうか?

1.良い商品を創る
2.良い顧客を創る
3.良い商品と良い顧客をよく理解している従業員を創る

この3つです。
これらを実現するために、経営会議は行われるのです。

社長、事業承継予定者、幹部役員、部門長、店長などの会社経営に携わる方々と、我々とが一緒になって進めていきます。

私たちが経営会議に伺う理由

経営会議を始めた当初は「会計事務所風情が何しにやってきたんだ、あんたらに教えてもらうことなんか何もないよ。」と顔にかかれている人も多くいらっしゃいます。

我々としては皆様の味方として来ているつもりですが、そうは捉えられないことも少なくありません。ですが、それは仕方ないことだとも思ってもいます。

なにしろ、その会社が実際にどんな形でどんなモノをどんな人に売っているのか、現場のことはほとんど知らないわけですから。

しかし我々は、ラーメン屋さんにラーメンの作り方を教えに行っているわけではないのです。

ラーメン屋さんの財務数値・経営指標を見て、数値から課題点を炙り出し、他社事例を交えつつ、経営者がどの方向に進んだら良いかのメルクマールになる。そのための会議をするために、我々は伺います。

初めは噛み合わない会議が続いてしまうこともありますが、申し上げていることの正しさのようなものが社長をはじめとする皆様に感じ取っていただけたときには、それ以降は非常に有効な会議になっていることが多いのも事実です。

ですから、我々は会議においては、
「会社がどの方向を目指していくべきなのか?」
「そのためにどのような思考をしたら良いのか?」
をお話ししながら会議を進めております。

幸い我々は様々な業種業態、そしていろいろな経営者の方々とお話させて頂いております。そういった経験を活かして岡目八目の立場から、その会社に合わせた提案ができるものと思っております。

経営会議を最大限活用するために

どの会社様でも、今、損しているのであれば、儲かるようにしなければなりません。

今、儲かっている会社様は、将来も儲かるようにしなくてはなりません。

そして儲けた上で貯まった財産がある方については、将来どのように財産を残していけば良いのか、節税も併せて考えていかなくてはなりません。

現在まで儲かってきた会社ほど、貯まっている財産も大きいものです。今はその途上にある会社でも、“今したほうが良い準備”というものがあります。

この“準備”に関しては、月次監査とは別に場を設けて、経営会議をされるのもよいでしょう。ぜひ月次担当者にご相談ください。
我々が皆様の第三の眼となり、一緒に進めてまいります。