マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

幼稚園の遠足

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第18号] 幼稚園の遠足

2018年03月15日 配信
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こんにちは、マエサワ税理士法人専務理事の前沢寿博です。

皆様、いかがお過ごしでしょうか。
だいぶ暖かい日が増えてきましたが、三寒四温、また寒い日もやってくると思います。
会社も元気でなければなりませんが、なにより社長が元気でないと元も子もありません。
春先からのご体調管理もしっかりやっていきたいものです。

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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の18】
『幼稚園の遠足』

幼稚園の遠足の行き先を園児達に任せても決まらない。
決まったとしても、その行き先は正しいのだろうか。
最終的に決めるのは責任を持てる大人である。

会社経営の行き先も、最終的に決めるのは
決断する覚悟と責任を持つ社長なのである。

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「幼稚園の遠足」は、マエサワ税理士法人内での研修でも、理事長の前沢から頻繁に発せられるフレーズです。

“幼稚園で遠足に行くことになりました。行き先を園児たちに決めさせたらどうなるでしょう。”

5歳前後の子供が10人も20人もいれば、どんなに時間を費やしても行き先などなかなか決まらないでしょう。
あっちへ行きたい、こっちへ行きたい、それは当然です。場合によっては子供たちは「月に行くことになりました」と言い出すかもしれません。
園児の意見は参考として聴取するかもしれませんが、最終的な行き先は大人が決めるものです。

『経営において物事を決定するのは、多数決などの民主主義、あるいは全員の配分が平等となるような社会主義ではなく、「いかに儲けを出すか」という資本主義の考えに基づいて決定されなければならない』
というのがこの話のテーマです。

経済界を生き抜くために決断する

誤解なさらないで頂きたいのは、それぞれの個人がどういう信念を持っていても、他人から何かを言われる筋合いはないということ。
「考え方を強要すべき」という話ではありません。自由や平等やあるべき姿というのはそれぞれの人がそれぞれの理想を持っていて当然です。

ただ、こと経営に関して言えば、我々は経済界で生き抜いていかなければならない訳です。
「いかに稼ぐか」が第一の目的になるかと思います。

その目的を達成するには社長本人がどうやって稼ぐか考え、そして実行し、稼ぎに繋げていくしかないのではないでしょうか。

もちろん、社長が重要な意思決定をする際、様々な方にご相談されたり、いろいろな考え方を聞いたりされると思います。
我々もその一助となるべく常に社長に「相談したい」と思われるようなポジションにいられるように精進しなければなりません。

しかし最終的には決断しなければならないのは社長です。
決断の責任も当然、社長が負うことになります。

社長は経済戦争を戦っている

幼稚園の遠足で行き先を決めるのは、もっとも俯瞰的に物事を見ることができ、もっとも子供たちの満足を引き出せる決断をくだせ、責任をとる覚悟のある大人であるべきです。

従業員には家族がいることも多いでしょう。従業員は仕事に対してやりがいを求めています。
しかし大前提は給料です。家族を充分に養える程度は最低でももらえなければ、仕事に対するやりがいもへったくれもないのではないでしょうか。

だとすれば、社長は従業員に十分な給料を出すために十分な儲けを出し続けなければなりません。
従業員は給料に納得いかなければ、黙っていても辞めていきます。

しかし、社長はそうはいかないのです。
借金があれば会社を閉めることもできないですし、場合によっては無一文になるケースもある訳です。
そういった非常に大きなリスクを抱えながら経営をされているのですから、是非とも利益を出さなければならないのです。

これこそが事業をされている社長の置かれている経済界であり、経済戦争なのではないでしょうか。

資本主義に正義・悪という概念はあるのか?

経営の現場においてもっとも「儲け」にこだわる人は経営者です。

そういった場において、民主主義を声高に唱えていても先立つ儲けが出ていなければ、結局、誰もついてきてはくれません。
儲けを出すことが最重要である資本主義の考え方で経営を進めなければならない訳です。
第三者の意見は尊重する、しかしその上で自らの責任において判断をくだしていくのです。

ときに、「儲けを出すためなら何をやってもいいのか」と言われてしまうことがあります。
当然ですが、守るべき法律は守らなければなりません。犯罪行為など論外です。

ただ誤解をおそれずに言えば、正義とか悪とかというのもまた、資本主義には直接関係ないのかもしれません。
そもそも正義や悪の定義は人それぞれで違うと思われます。

「儲け」を出してこそ、正義

最近、日本以外のアジア圏の国々の会社の成長度合は目を見張るものがあります。
皆、やる気に満ちていて活気が違います。活気ややる気が、どこかの働き方改革などと言っている国とは雲泥の差があるように感じます。

マエサワ税理士法人にも外国の方が経営されている顧問先様が何件もございます。アジアの方も、ヨーロッパの方もアメリカの方もいらっしゃいます。

これらの方々はほぼ例外なく、資本主義に対する強い信念をお持ちです。
「そもそも儲からないのであればなぜ事業をやるのか」という考えが根本にあるようです。

日本人(の多く)は、赤字が出て資金繰りが詰まるとすぐに銀行融資を考えます。
対して、彼らはいかに短期間で赤字を脱却するのかを考え、それができないならすぐに撤退する、という決断をします。

やはりどんなことを言われても、我々の戦っている経済界では「儲け」を出してこそ、正義なのではないかと私は感じます。

社長が会社の未来を決める

「儲け」が出ていれば、多少の問題は大抵顕在化しません。
ところが「儲け」が出なくなって赤字となり、従業員の給料が頭打ちになったりすると、それまで見向きもしていなかったところに目が行くようになります。
すると、大した問題ではないところでも、大きな問題になってしまうのです。
人の見方・感じ方は、いとも簡単に変わってしまいます。

幼稚園の遠足の行き先を決めるのが先生であるように、会社の未来を決めるのは社長です。
第三者の意見には大いに耳を傾けてください。
ただし最終的には「儲かるのか、儲からないのか」という資本主義的な基準に照らして経営を考えていくことを忘れないでいただきたいのです。