マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

どうやって一人当たりの生産性を上げるのか

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第27号]どうやって一人当たりの生産性を上げるのか

2018年07月18日 配信
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こんにちは、マエサワ税理士法人理事長の前沢寿博です。
いま、政府が働き方改革と称して、いかに労働生産性を高めようか、ということを思案しています。
今回は生産性を高める方法について取り上げます。

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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の27】
『限界利益の追求』
労働生産性を高める方法は、「粗付加価値を大きくする」「労働時間を下げる」の二通り。
本質的な労働生産性UPを目指すならば、売上の伸び率を上げて、粗付加価値を大きくしていく必要がある。
そのためには、従業員のレベルアップや新商品の開発を通じて
お客様により高い満足度を与えることが欠かせない。
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労働生産性とは「粗付加価値÷労働時間」です。「粗付加価値」は一般的に「売上-変動費」つまり「限界利益」をいいます。
ですから労働生産性とは「限界利益÷労働時間」ともいえます。

またマエサワ税理士法人が顧問先様で申し上げる経営指標のひとつに「一人当たりの生産性」がございます。
これは「粗付加価値÷人数」です。根本的には一時間当たり、あるいは一人当たりという違いはございますが、基本的には1単位当たりの粗付加価値あるいは限界利益をいいます。

労働生産性を高める方法は2つ

では、労働生産性を高めるにはどうしたらよいのでしょうか?
「粗付加価値÷労働時間」が大きくなればいいので、

① 分母、すなわち労働時間を小さくする
② 分子となる粗付加価値を大きくする

の二通りの方法が考えられます。

私が見ている限り、政府は①の労働時間を下げる方法を採っているようです。
実践しようとしていることは全て、労働時間を下げる方向に働く改革だからです。極端に多い残業時間を防止してできるだけ定時で退社する、あるいは有給消化率を上げる、あるいは時短などなど…。

粗付加価値つまり生み出すモノやサービスが変わらない前提で、働く時間が短くなれば、当然に労働生産性は高くなります。

日本の労働生産性はG7の中で最下位

日本の労働生産性は低いと言われており、先進諸国と比べるとその低さは際立っています。
公益財団法人日本生産性本部の調査によれば、データを取得している1970年以降、G7の中で日本は最下位。それだけ日本人の働き方は他国に比べると非効率的な訳です。
ここ1~2年、日本の労働生産性は少し良くなっていますが、それも非正規雇用割合が増えて正規労働者の残業時間が減ったことが主な要因だそうです。

このように労働生産性の構成要素である労働時間を短くすることも労働生産性を高める要因にはなるので、これ自体悪くはないのだと思います。
しかし長期的に考えた場合、これが本当の正解なのでしょうか?

労働時間を短くするのは難しい

労働生産性が低い会社の社長が、労働生産性を高めるために残業をさせないようにしたとします。これで労働生産性が高まるでしょうか?
高まる場合はもちろんあります。売上を落とさず人件費を圧縮できれば、それは一定の効果があります。
しかし濡れた雑巾と一緒で、経費は絞るのにも限界があります。売上を維持した人件費の削減は、すぐに頭打ちになるでしょう。

もちろん無駄な残業時間は減らすべきですし、減らすべく努力をしなくてはなりませんが、現実そう簡単にはいきません。
働いている本人は無駄な時間だと認識していない場合がほとんどだからです。
自分は必要だから働いているという人にあなたの働き方に無駄があると言ってもなかなかわからないものです。
しかし、だからといってそれを許していいというものではありません。

顧客満足度を高め、利益率を上げる

会社としてどのように労働生産性を高めていくか? を考えていくともうひとつの方法、粗付加価値つまり限界利益(売上-変動費)を、分母の労働時間を変えずに高めていくことが考えられます。

サービス業でいえば、変動費は通常発生しないので売上そのものが限界利益になります。製造業では売上から変動費を差し引いた限界利益になります。
売上を増やせば限界利益がそのまま増えていくので、売上を増やしていき、人数が変わらなければ労働生産性は高まります。

しかし時間がかかる割にあまり大きな売上が上がらない仕事ばかり集めてくると、現状のままでは業務が回らなくなります。
すると従業員に残業を強いたり、あるいは新たに人を採用することになります。
そうなれば、せっかく売上が増加しても今まで以上に人件費がかかるようになり、労働生産性が逆に下がってしまいます。

そのようにならないためには「人件費の伸び率以上に粗利益の伸び率を上げていくこと」が必要です。

とはいえ、人件費の伸び率以上に売上の伸び率を伸ばしていくというのは極めて困難なことです。
現状のサービスで顧客に与えている満足度よりも高い満足度を与えなければ、今まで以上に高い報酬を頂くことは困難だからです。

従業員のレベルアップが顧客の満足度につながる

そこで大切になってくるのが、従業員のレベルアップです。

マエサワ税理士法人の場合でも、毎週月曜に経営実務に関する、主に経営者の考え方についての研修を行っています。
我々税理士は、税務や会計の知識、あるいは周辺法律の知識が頭に入っていれば顧問先様の役に立てるかというと、残念ながらそれだけでは不十分です。
その知識を活かしていかに顧問先様の役に立つ提案、つまり儲けにつながる提案ができるかが重要になってきます。
もちろん、税務会計の部分に関してはクリアした上での話であることは当然のことであります。

とりわけサービス業では、従業員のレベルアップを図ることがそのまま売上の増加につながります。
製造業においても基本的にはサービス業と同じで従業員教育というものが最重要だと私は考えます。

そして製造業であろうとサービス業であろうと、新製品、新商品の開発を怠ることは許されません。
製品・商品の開発をするには、人にもモノにも投資していかなくてはなりません。当然に時間もコストもかかります。失敗することも多々ございます。
ただそれらを怖がるあまり、新製品の開発を怠れば、将来における会社にとっての儲けのタネを作れないことになります。

教育と開発を実行できる会社が生き残る

これまでこのメールマガジンでも
①良い商品ですか?
②良いお客様ですか?
③良い商品と良いお客様を良く知っている従業員ですか?
という会社が儲けるための3つのポイントを幾度となくお話しておりますが、今回のお話もここに集約されます。

人の教育と新商品の開発、口で言うのは簡単で実行するのは非常に難しいことでありますが、これをできた会社がこれから先も生き残っていける会社になるのかもしれません。

最後になりますが、前々回メールマガジンからお知らせしておりますセミナー開催についてでございますが、『事業承継の準備に早すぎということはない、事業承継税制を上手に活用しよう!』と銘打って9月1日(土)13時よりマエサワ税理士法人が入居しております西新宿三井ビルディング2階セミナールームにて開催致します。

皆様、お忙しい中とは存じますが、万障お繰り合わせの上、お越し頂ければ幸いでございます。セミナー申し込みについては8月分のマエサワ税理士法人顧問料請求書に同封させて頂きます。詳細についてはマエサワ税理士法人担当者にお尋ねくださいませ。