マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

継続することの重要さ

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第30号] 継続することの重要さ

2018年08月29日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の30】
『継続することの重要さ』

企業風土は自社の経営に大きな影響を与える。
儲けのためにやったほうが良いと思うことを続けて醸成された風土は
自社を拡大基調たらしめる。
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「継続することは重要ではない」と言う方はまずいらっしゃらないと思います。そうと分かっていても、継続することは非常に難しいのもまた事実です。

今回は一つの題材としまして、マエサワ税理士法人で長く継続していることのひとつを書かせて頂きます。

毎年の「座禅研修」

マエサワ税理士法人で継続して長く行っていることのひとつに、栃木で行う座禅研修があります。

毎年、春・秋に座禅研修を行っており、春は6月に事務所職員だけの座禅研修、秋は11月に顧問先様もお誘いしての座禅研修です。
春の座禅研修は、会長の前沢から事務所の長期計画を5時間ほど座学で聞き、その後、職員全員から意見、感想、抱負を述べていく形式です。
秋の座禅研修は、会長の前沢の話とともに顧問先の社長や外部の講師をお呼びして講演をして頂き、それを職員と顧問先社長とともに拝聴します。

この座禅研修は、マエサワ税理士法人の前身である前沢会計事務所を創業した当時から40年以上続いております。

お寺の厳しさから学ぶもの

始めた当時は会長の前沢と職員数名、それから顧問先社長数名とで、栃木の雲巌寺に行ったそうです。
ところがもともと雲巌寺というところは僧侶の修行道場であり、非常に戒律も厳しいお寺で食事も本当に粗食だったとのことで、2泊3日の研修の間に何人かの方が具合を悪くしてしまうほどでした。
「せっかく研修に来て病気になってしまってはまずい」ということで、数年経ったところで、雲巌寺のご住職にご紹介頂いた同じく栃木にある妙雲寺にお世話になることになりました。

妙雲寺も雲巌寺ほどの厳しさはないにせよ、お寺のしきたりに従って過ごすことは変わりません。

企業研修そのものはどこの会社でもやっていることですが、お寺で行う研修は都内のセミナールームで行う研修とは違った辛さがあります。
まず、全て畳の上での座学ですので、椅子生活になれた私にとっては、長時間になると結構辛いのです。一方で話して頂く講師の方々も、3時間ないし5時間近くに渡って熱のある話をすることは、並大抵の大変さでないはずです。

そして、朝は5時に起床し、本堂で仏様に読経を行い、そのあと1時間30分の座禅が始まります。
座禅の最中は、「無心」つまり何も考えない、少しも動かない、ということをご住職から言われるのですが、これが本当に難しいのです。座禅など普段全くしないので、時間が経過すると足は痺れてきますし、いろいろ頭に浮かんでは消え浮かんでは消えという状況です。

ご住職には法話をいただきます。また、座禅や作務の中でもいろいろなヒントを頂いてきました。

~自分が思う正しさなどに意味はない~
ご住職は「(座禅の間は)動かない」と言ったら絶対に動いてはならないんだ、それは自分だけが「動いていない」ということではない。誰が見ても寸分も動いていないことを「動かない」というのだとおっしゃいます。自分勝手な「動かない」では駄目なんだ、ということです。

仕事に置換えれば、“自分が仕事をやった”ではだめで、顧問先様から評価されて初めて仕事をやったと言えます。自分で自分を評価しても何も意味がありません。評価者はあくまで顧問先様である訳です。

~やったふり、無意識であるが故に気づくこともできない~
もうひとつご住職が言われることに「形だけやったふりをするな」ということがあります。座禅も一見するとやっているように見えて、例えば寝てしまったり、体がゆれたりしてしまい、なんとなく座禅の時間をやり過ごそうとしてしまう場合もあります。
しかし当然ながら、座禅は無心になることが目的ですから、やったふりでは目的は達成できない訳です。物事を実行しようとするとき、気持ちを入れてやるのとそうでないのでは、結果に歴然とした差がつきます。ただ、気持ちを入れずとも多少なりとも結果は出ます。

これも仕事に落とし込むと、専門的知識や技術があれば、形式上仕事をこなすことはできるかもしれません。しかし気持ちも入れず何となくやったふりをしただけの仕事であれば、見た目はやっているように見えるかもしれませんが、顧問先様から評価はされません。やはり顧問先社長の目は節穴ではないですから形だけのやったふりでは高い評価が得られる訳がないのです。

問題は本人が顧問先様にやったふりをして手を抜いていることを見破られていないなどと思っていることなのです。まさかこんなことを意識的にやっている人はいないはずです。ですが、無意識的にはあるかもしれません。無意識なので厄介ですし、全く持って愚かなことこの上ないことですが、こういったことを顧みるのに、座禅は非常に良い機会だと思っております。

「継続」が育てる企業風土

座禅研修へ行っていくと色々な考え方を習得できるという書き方になっていますが、座禅研修に行ったからといって、即座に革新的な何かを習得できるわけではありません。修行僧の方々が何年もかけて悟りを開くようなことを私のような凡人がたかが2~3日そのまねごとをしたからといって、どれだけのものが習得できるでしょう。

ただこれも何年、何十年とやってきたことで、静かに、しかし確実に、事務所としてひとつの形になっているのだと思っています。表面上の税理士業務とは異なる次元で、事務所の精神的根幹のようなものが作られていくのではないかと考えています。正直な話、職員の皆さんも行きたいか?行きたくないか?といえば、ほぼ行きたくないでしょう。でもマエサワ税理士法人がマエサワ税理士法人たる所以が、こういったことを続けていることにある気がしています。

2年前から栃木の妙雲寺より千葉の妙性寺に場所を移し、春の座禅研修だけになりましたが、現在も年中行事として行っております。

どんなことでも継続することで、社長の考えが反映され、それが浸透していきます。会社の色、組織風土は継続によって醸成されていくのではないでしょうか。そういう会社で育った社員の言動にも、自然とその考えのようなものが入ってくるのではないかと考えております。

何か問題が起きたときに、何かを変えようと考えることは多々あります。もちろんそれは大事なことです。しかし、最近は「継続」するということは自分が思っている以上に重要だと感じることが多く、今回はそれを書かせて頂きました。お付き合い頂きましてありがとうございました。

最後になりますが、お陰様で事業承継セミナーも定員に達しての開催の運びとなりました。少しでもご出席なられる方々にお役に立つセミナーにしてまいりますので、ご出席される皆様、どうぞ宜しくお願い致します。