マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

100年企業を創る難しさ

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第31号] 100年企業を創る難しさ

2018年09月12日 配信
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こんにちは、マエサワ税理士法人理事長の前沢寿博です。
去る9月1日(土)にマエサワ税理士法人主催としては初となるセミナーを開催いたしました。

セミナーには顧問先社長をはじめ、社長の奥様、ご子息、ご令嬢の皆様にもお越し頂き、また講師としてはきらぼし銀行新宿支店長朝倉様、プルデンシャル生命保険西澤様をお招きしました。

お越し頂きました皆様、誠にありがとうございました。またお役に立つセミナーを開催していきたいと考えております。

さて、本日はそんなセミナーで感じたこと、考えさせられたことを切り口に書かせて頂きます。

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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の31】
『100年企業を創る難しさ』

企業が長きに渡って生き残るのは、決して簡単なことではない。
儲けを積み重ね、経営環境の変化に適応し、承継問題を乗り越えた先に100年企業は存在し得る。
だからこそ長く続く企業には信用が宿るのだ。
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社長の数だけある承継の悩み

お越し頂いた顧問先様は事業承継でお悩みの方々でしたが、悩んでいらっしゃるポイントは皆様それぞれでした。

自社株の株価が跳ね上がったためにどうやって株価を下げようか考えていたところに、今回の特例事業承継税制で納税をすることなく自社株を贈与できるかもと思い、詳細を聞いてみようといらっしゃった社長。

社長は是非にもお子様に自社株を譲って事業を承継してもらいたい、と思っているけども、お子様の方が社長の事業を受け継ぐことに消極的で、ひとまずセミナーで話を聞いてみようということで来てくださった社長。

自分の会社はそもそも今回の特例事業承継税制の要件に該当する会社なのかどうかを確認するためにいらっしゃった社長。

前沢 永壽(会長)は良く知っているが、息子の前沢 寿博とはどんな人間なのか。叱咤激励でお越し頂いた社長。

“悩みは社長ごとに異なり、社長の数だけ事業承継の形はあるものだ”と実感しました。ともすると我々は「事業承継とは~ですよ」と型にはめがちです。もちろんご説明申し上げる時には、ある程度体系立ててご説明しなければならないので、一般論として話す際にはそうなるのは当然なのですが、個々具体的な話となったところでも、つい「こうすれば節税できます」「税金的には得です」ということを前面に出して話しがちです。

儲け続けることが信用を生む

セミナーを通じ、100年企業を創る難しさも感じました。マエサワ税理士法人の顧問先様はほぼ戦後生まれの企業ばかりです。

先日、新潟は燕三条に所在地を置く顧問先様が70周年を迎え、記念式典にお招き頂きました。この顧問先様も次期社長が無事に経営を継続できれば100年企業になります。次期社長が実際に社長になると三代目の社長になります。

マエサワ税理士法人は昭和48年2月創業ですので、今年2月で創業45年が経過しました。あと55年で100年になります。私が仮にあと25年事業を続けられたとして、それでもあと30年。私の息子なり誰かが30年事業を続けられてやっと100年になります。100年間というのは、本当に途方もない時間です。

だからこそ創業100年を超えるような企業には大きな信用があるのです。まずもって事業を成功させ100年という時間が経過するまでには、基本的には儲け続けていなければなりません。100年もあれば経済環境も人も変わりますし、戦争や天災もあるかもしれません。個々の会社にも様々な問題が降りかかってきます。

それらを乗り越え続けて、なおかつ環境適応して儲け続けるのは至難の業としか言えません。特に創業者の才によって会社を大きくしてきた場合には、次世代がなかなか育ちづらくうまくバトンタッチできないことも間々ございます。

100年生き残る企業は何%?

世界的に見ると、日本は100年企業が多く存在する国といえるでしょう。世界の100年企業の3割が実に日本に存在するという話もあります。

日本では、世界に比べてM&A市場が成熟していないこと、日本の企業の99%以上が中小企業であるとともにオーナー企業であること等が関係していると考えられます。

そして、スイスのUBS銀行の調査によれば、日本の100年企業には同族企業が多いとのこと。そして、同族企業は一般企業に比べて長期的視点で経営を行っており、パフォーマンスが高いそうです。

ただし同族企業の場合には、だいたい30年に一度「代替わり」が生じます。優秀な後継者がいない、権限移譲がうまくいかないなどにより一貫性のある経営が危ぶまれるのです。ですから同族企業の中でも100年企業として生き残っているのは3%にすぎないそうです。

ちなみに一般企業が100年企業として生き残るのは1%にすぎないそうなので、同族企業であろうと一般企業であろうと企業が100年生き残ること自体、非常に稀だということになるのです。

財務数値から見る100年企業の特徴とは

100年間、経営を維持するためには、商品・サービスに対する付加価値が圧倒的に高いこと、たゆまぬ商品・サービスの開発力が必要ではないかと感じます。

顧問先様の経営を拝見していると、値引き競争に巻き込まれている会社は大苦戦されているところが多いと感じます。また、オンリーワン商品・サービスをもっているところは景気に左右されない強さをもっていらっしゃいます。

財務数値でそれが如実に現れているのは変動損益計算における限界利益率(=粗利益率)です。これを10年横並びに比較してみれば一目瞭然です。
あるいは10年間の損益計算書の各段階損益(売上高、営業利益、経常利益、税引前利益)を並べ、各段階損益の売上高に対する比率を一緒に並べていくと、御社の商品力・サービス力がどのように変化しているか一目瞭然でわかります。
この辺りも是非マエサワ担当者に尋ねてみてください。

マエサワ税理士法人も100年企業を目標に今後もやってまいる所存です。そのためには顧問先様にもたくさんの100年企業が将来、誕生して頂きたいと思っております。

我々の「儲けのお手伝い」が結局は顧問先様の経営の支えの一つになり、その集積が結果としてマエサワ税理士法人が100年企業に近づいていくと信じ、これからも顧問先様との信頼関係を最重要と考え、役に立つご提案をしてまいります。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。