マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

サービス業

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第34号] サービス業

2018年10月24日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の34】

『サービス業の難しさ』

今回は前提としてサービス業、しかも儲かっているということで書かせて頂いたのですが、その前段階としてまず「儲ける」ということが最も重要です。
いかに自分たちのサービスと社会の求めるニーズを一致させ、また希少価値を高めて高い価格で買って頂けるようにするかが一番のポイントではないでしょうか。
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こんにちは、マエサワ税理士法人理事長の前沢寿博です

このメールマガジンを配信し始めてから、何人かの社長から「メールマガジンで事例に挙がっている会社でサービス業の会社って少ないよね。サービス業についても何か書いてよ。」ということをお話頂いておりました。
ここで書かせて頂いていることはどの業種であっても基本的には当てはまることなのですが、確かに事例は製造業中心であったことは否めません。そこで今回はサービス業にスポットを当ててお話させて頂きます。

“人材で稼ぐ”サービス業

中小企業の一人当たり生産性はおよそ60万円/月です。一般的には製造業の方がサービス業より生産性が高いので、サービス業としての一人当たり生産性は60万円/月より低くなるかもしれません。
そして日本の高度経済成長期から現在に至るまで、日本の産業はGDPに占める割合、労働人口から見ても第二次産業(製造業)から第三次産業(サービス業)へシフトしております。
高度経済成長期は自動車や電化製品など当時においては性能の高い製品を輸出したり、国内消費することで利益を創出しておりました。第二次産業がGDP比で大きな割合を占めていました。ところがバブル崩壊とともに国内消費が冷え込み、また海外との価格競争、商品開発競争で敗れ、その流れの中で第二次産業から第三次産業へ産業構造が変化しました。
サービス業と一言で言っても、飲食業、IT関係、医師、士業、各種コンサルタント業など様々です。製造業と違うのは、基本的には会社、社長のアイディアであったり、経験だったりという属人的なところに利益の源泉があるということではないでしょうか。
製造業も基を考えれば同じですが、製造業の場合、それを製品化するにあたって設備が必要になり、その設備により大量生産も可能になる点で両社は大きく異にする訳です。
ですからサービス業は製造業以上に人が重要になってきます。まさに人財です。

【事例① 儲けのしくみが出来ている会社は承継にも強い】

ここで私が伺っている、あるいは伺っていた顧問先様を守秘義務に反しない範囲でご紹介していきます。
最初はある業界に絞って業界新聞を日刊で販売している顧問先様です。扱っている内容は業界の信用情報が主ですが、信用情報といえば、有名なところといえば帝国データバンクがあります。もちろん、この顧問先様と帝国データバンクでは売上規模は比較すべくもありません。
しかし業界を特化していることと情報の深度が深いことがポイントなのでしょう。また40年を超える過去の積み重ねも大きいと思います。取引先を見ても中小企業から上場企業までございますが、貸倒もほとんどない、この仕組みが素晴らしいです。
やはり儲かる仕組みを持っている会社は強いと感じます。しかも儲かる仕組みがあるので、事業を承継するに際しても、ビジネスの承継がある程度スムーズにできるという強みもあります。

【事例② 創業社長が舵取る会社は教育が課題】

次の顧問先様はあるゲームで有名な会社です。とはいえ、世の中的にはかなりマニアックな航空関係のゲームではありますが。ここの社長は防衛大学校を出ているくらいなので、航空機に深い造詣がある上にその後研究所で働かれたくらいなので、航空に関する物理的な知識も豊富です。
ゲームメーカーとしては30人近くの従業員がおります。最近では、このゲームからさらに進んで本格的なシミュレーターを完成させ、なんとアジア各国にこのシミュレーターを販売するところまできております。
一点申し上げるのならば、これらのアイディアは社長発が多く、事業承継が少し心配ということです。しかし社長もまだ50代ですので、既にプロデューサーなどの役職を設け、後進教育も行っております。

タイプ違えど基本は「儲けること」

ここに挙げた2件は、私が見るに同じサービス業でも少しタイプが違います。前者は仕組みとして儲かる形ができているので、売上拡大をしていこうと考えれば、方法は様々ですがそれが可能と思われます。一方で後者は社長のアイディア依存が高く、社長なしにはなかなか事業が前に進みづらいのでやみくもに売上を増やそうとすると、人ばかり増えて儲けがむしろ減ってしまったということになりかねません。
サービス業において前者のように儲かる仕組みが出来上がっている会社というのは少ないのではないでしょうか。多くのサービス業を見ていると社長発のアイディアを社会に提供することで売上を上げている会社が多いと思います。
ただこれがよろしくないのかといえば、儲けさえしっかり出ていれば現状は問題ありません。やみくもに売上拡大を目指さず、常に儲けが出る体制を維持するのも、商売によってはあるかと思います。唯一無二のアイディアであったり、技術を持っている顧問先様も多数いらっしゃいます。世界を股にかけてご活躍されている顧問先様もいらっしゃいます。

ビジネスの承継を一緒に考えましょう

そういう顧問先様ほど、儲けられたからこその悩みもあるかと思います。会社の株式の承継もそうですし、なによりビジネスの承継が非常に大変です。それを承継できる後継者がいらっしゃればそれでよいのですが、そうでない場合には大きな悩みになります。
「儲けの源泉がすべて社長個人(あるいは優秀な幹部社員)の頭の中にある」という属人的なビジネスモデルの場合、それらをどう可視化し、後継者に承継していくか、というのは非常に難しい問題です。たとえば社長の仕事を疑似的に体験する機会の継続的な提供、といった後継者育成にも時間がかかります。あるいはM&Aなどの方策も検討すべきかもしれません。
ビジネスの承継の答えは顧問先様ごとに異なりますし、大枠の考え方はあっても個別の状況への対応が必要です。十年単位の長い時間をかけて準備をしているお客様もいらっしゃいます。これらは業績が好調なときに取り組むことが肝要と言えます。
我々マエサワ税理士法人では、後継者を対象とした経営会議も多く実施しております。

マエサワ税理士法人もサービス業の一端を担う企業として、経営の一助となるべく引き続きご提案申し上げてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。