マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

儲けることの大切さ

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第35号] 儲けることの大切さ

2018年11月7日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の35】

『黒字企業の割合』

黒字企業の割合はどれくらいだとお考えでしょうか。
思ったよりも多いかもしれませんし、少ないかもしれません。
今後減少していくかもしれません。
ただ、どのような割合であろうと、その何割かにいるために
儲け続けていくことが重要なのです。

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黒字企業の割合

このメールマガジンで私が繰り返し申し上げてきたことは、「儲けましょう」ということです。
私は企業経営にとって最も大切なものは「儲け」と考えています。資本主義社会で経済活動を営む以上、儲けていくことは至極当たり前と思っています。
さて、経営者の皆様は我が国における黒字企業の割合はどれくらいだとお考えでしょうか。

日本の経済状況

いつもの話になりますが、あと2年足らずで東京オリンピックが開催されます。多くの識者と言われる方々が「オリンピックが終われば日本は不景気に見舞われる」という話をしています。

一方で現実を見てみると、特に東京では、景気がいいように感じることもございます。日経平均株価は2万円を超える水準で安定していますし、建設ラッシュは続いています。1室1億円以上というマンションが次々に完売となっています。レジャーなどにかける費用も増えているそうです。

ここで日本全体では経済状況はどうなっているのか、というところを見直してみると、まずは一人当たりの生産性(日本国でいうところの一人当たりGDP(=国内総生産)となりますが)はあいかわらず年600万程度です。日本では一人当たりの生産性はここ20年ほとんど増加しておりません。つまり日本経済は停滞したままです。その結果、個人所得もほぼ変わらず500万程度です。

黒字企業割合の実態

国税庁発表によれば、平成28年度税務申告法人ベース266万社のうち黒字企業は97万社余りで黒字割合は36.5%です。平成21、22年あたりには黒字割合は27%あまりまで減少していましたから、そこから見れば回復基調にはあると言えます。しかし日本の法人の65%は赤字法人なのです。

加えて、現状36.5%の黒字割合も鵜呑みにできない部分がございます。
黒字企業の中にも役員報酬を月10万円に設定していたり、減価償却費を計上していなかったりという会社も多く存在すると思われるのです。たとえば金融機関から融資を受けており、黒字決算で終えたいという会社の苦肉の策の場合もございます。これ自体が正しい、正しくない、というつもりは毛頭ありません。現状を考えた場合に取らざるを得ない方策のひとつというだけです。

しかし現状、役員報酬を10万円に抑えている会社があるとして、こういう状況で経営を続けていくのは無理な話です。月10万で社長が生活できる訳がないからです。一刻も早く本当の意味で儲けなければ、会社も社長自身も疲弊してしまい、やがてやっていけない状況になってしまいます。

ただこういう会社が黒字企業としてカウントされているのも事実です。ですから黒字割合が回復基調にあり、36.5%あるといっても実際の黒字割合は少ないのではないかと感じます。

今後の黒字企業割合の推移

さらに平成29年10月6日の日本経済新聞一面に「大廃業時代の足音」という非常にショッキングな記事がございました。

・今後10年間で127万社が後継者未定、しかもその中の5割が黒字企業である。
・黒字廃業を放置すれば、650万の雇用と約22兆円のGDP(国内総生産)が喪失される。

つまり今存在する会社が10年後に3割から5割近くまで減少する可能性が高い。しかも今の黒字企業の中の5割近い企業が廃業する。となればそもそもの会社数自体が大きく減少する上、黒字割合は現在よりもさらに減少する訳です。

これはもはや生き残るだけでも大変な時代に突入するということです。法人数は減少し、その黒字割合は2割程度になる…大変な経営を今後強いられるはずです。

現在日本の法人の黒字割合は、表面上36.5%です。
しかし実質は、20%台かもしれません。
そしてこの割合は、基本的には下がっていくと私は考えます。

オリンピック後の景気が本当に悪くなったとしたら、今からそうなった場合のことを考えておくこと、そしてあと2年の間に最大限、儲けを出して、蓄えを増やす、あるいは借金を減らしておくということが非常に重要になります。オリンピック後の黒字割合を正確に予測することなどできませんし意味もありません。しかし、我々は確実に黒字経営を続けていく必要があるのです。黒字割合が20%ならその20%の中に、10%に減少すればその10%の中にいる必要がございます。

黒字企業でいるために

日本の人口も100年後に5千万人を切るという予測もあります。それよりも圧倒的に、先に、会社数が減少します。もしこの通りになれば(今はあらゆる業界で人手不足が叫ばれていますが)10年後になれば650万人の雇用が失われる可能性があります。そうなれば人手が余ってくることになります。そう考えると今後10年間をどう生き残るか、つまりはどう稼いで儲けていくかが非常に重要になってくるのではないでしょうか。

いつの時代であっても社会に役立つ製品・商品・サービスを提供し、儲け続けていくことが重要です。デフレの日本において今後それを続けていくことは非常に困難でありますが、それでも儲けていかなくてはなりません。

その準備期間がまだ2年あるとすれば、その後に起こることを予測しつつ、今何をすべきか考えることが重要だと感じております。

マエサワ税理士法人も各担当者が顧問先様とこういった経営の観点からのお話をさせて頂きます。今後とも宜しくお願い致します。