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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第40号] 経済は資本主義の考え方で動いている
2019年1月16日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の40】
『経済は資本主義の考え方で動いている』
資本主義とは、”儲ける”ということだ。
”儲ける”の思考が欠落した経済など、もはや資本主義とは呼べないだろう。
我々は資本主義に生きる経済人であり、経済活動の中で”儲けること”を考え、”儲かるため”の行動をとるべきだ。
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「日本ほど社会主義的な国はないよ、もっと資本主義的にならないとだめだよ。」
ある経済評論家が、中国を訪れた際に言われた言葉だそうです。
正月に何の気なしにテレビを観ていてこれを聞き、思わず襟を正しました。
まさに今の日本経済を表した言葉だとは思いませんか?
資本主義は、どちらが儲かるか?の繰り返しである
中国といえば言わずと知れた共産主義体制の国家です。対して日本は民主主義体制。
では経済はといえば、中国も日本も資本主義です。しかし両者の資本主義には差異があります。私は、日本の資本主義はある面において社会主義に近いのではないかと感じます。
例えば日本でよくある「あの人は長年の付き合いだから、あの人の所から仕入れざるを得ないんだよね。」とか「あの人はいい人だから、一緒にやって問題ないよ。」のような忖度です。
アメリカや中国ならばどうでしょうか。きっと「あの人とは長い付き合いだったけど、最近もっと安く仕入れることができる取引先を見つけたからそっちに全部替えたよ。」とか、「あの人と一緒に仕事をすると儲けさせてくれるから、一緒にやって問題ないよ。」という話になるのでしょう。
これは考え方の話なのでどちらが正しいとか正しくない、ということではありません。それは社長それぞれで違っていて当然です。
ここで申し上げたいのはどちらが儲けやすい考え方かということです。あくまで「儲ける」という観点で考えた場合には、おそらく後者の判断なのでしょう。
儲かるために今何をすべきか?
昨今言われる「働き方改革」のような話題に触れると、私はある中国人社長のことを思い出します。
以前、しいたけの生産販売をしている中国人社長の会社の税務顧問をしていたことがありました。今でも覚えている印象的な言葉として私の頭に残っているのは、「しいたけはその実ひとつひとつがお金そのものなのよ、どうして今収穫しないの。あり得ないわよ。」というものでした。
しいたけというのは、かさが開いてしまうと商品価値がなくなります。もちろんかさが開くタイミングはしいたけによって異なります。夏などは収穫しているそばからニョキニョキ生えてくるくらいです。ですから、かさが開く前に収穫するとなると夜中でも収穫しなければなりません。
日本人は日中のみ収穫し、収穫するのはどちらかといえばお年の方が多く、丁寧に収穫しますがスピードは遅い。一方、中国の研修生は20歳前後の若い人ばかりなので雑ではありますが、スピードは日本人とは比べ物にならないくらい早いです。
もちろん雑に収穫してダメにしてしまう場合もありますが、結局かさが開いて商品価値がなくなるくらいであれば、それくらいのダメージは収穫の早さを考えれば微々たるものですこの社長は、夜中だろうと何だろうと中国から研修生を雇って収穫していきました。また社長も、昼夜を問わず働き続ける方でした。
善悪の話をするつもりはありません。その社長は「どうすれば儲かるか」を考え、そのためにもっとも効果的と考えられる選択をされていました。そうした経営の先に先程のような言葉が出てきたのです。
厳しい経済環境の中でも輝く一社に
私は生まれが昭和48年ですので、私の両親やそれ以上の年齢の方々がモーレツに働かれてきた姿を直接には目にしていません。きっと今の中国人と同じような働き方だったのではないでしょうか。
だからこそ日本は平成元年に「一人当たり生産性世界一」になれたのだと思います。
こんなデータがあります。
平成元年の世界時価総額ランキング50に日本企業は実に32社入っておりました。ところが平成30年になると日本企業はトヨタ自動車のたった1社だけになりました。ちなみにトヨタ自動車は平成元年には541.7億ドルだった時価総額が1,939.8億ドルになっております。
ところがいまメディアを賑わしているGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は平成元年当時ほとんど知られていない企業であったのに、平成30年の時価総額では、アップル9,409.5億ドル、アマゾン8,800.6億ドル、フェイスブック6,092.5億ドルとなっております。
トヨタ自動車も30年間で4倍弱は成長しているので素晴らしい成長ともいえますが、世界を見ると30年前に社会的認知がほとんどされていない、あるいは全くされていなかった会社が、たった30年で世界のトップに上り詰めている事実を知ると、この30年間でいかに日本は世界から引き離されているか思い知らされます。
そしてGAFAと同じことが中国の企業にも起きています。平成30年の世界時価総額ランキング50に実に7社が入ってきています。
もちろん、経済的に豊かになることだけが幸せになるとは限らないということは理解しているつもりですが、私の職業あるいは社長の皆様が生きている業界は、経済活動の中で成り立つのだということで、このような言い方になっていることをお許し頂ければ幸いです。
会長の前沢もよく引用する二宮尊徳の言葉があります。
『道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である』
冷徹であれ、と申し上げるつもりは毛頭ありません。しかし経済は資本主義の考え方で動いていることを肝に銘じる必要があります。
どんなに斜陽化した国でも元気な会社があるのは事実です。日本自体が右肩下がりになっていっても、マエサワ税理士法人の顧問先社長の会社が元気であればいいですし、我々はそのための提案をしていかなければと私は考えております。
今回もここまでお付き合い頂きましてありがとうございました。