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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第41号] 正確な月次決算を行う
2019年1月30日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の41】
『正確な月次決算を行う』
経営においては、自分がこうだ!と考える「正確」を正確というのではなく、社会から見て「正確」であることを正確という。
会社の数字が法律に則っているという意味で「正確」なことは、儲けるための前提の前提であり、その上で社長は先々を見通さねばならない。
儲けを広げるため、また窮境に陥った時の手を考えるため、決して自己満足のためでなく、飽くまで儲けのために「正確」な月次決算は必要である。
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「正確な月次決算をおこなう」という言葉を聞いたとき、ほとんどの方が「そんなの当たり前だろう」と思われるのではないでしょうか。
しかしこの「正確」という言葉が曲者です。経理の数字が社長の頭の中にある数字通りになっていることが「正確」であると考える人もいます。また会計や税務の規則通りにやることが「正確」だと考える人もいます。さらにはステークホルダー(株主、債権者、金融機関等の関係者)に見せるために「正確」に作成しなければと考える人もいます。
どの「正確」も正確に違いないと思います。しかし立場よって「正確」には複数の解が存在します。そういう意味では「正確」という言葉は意外に曖昧な言葉と言えるのではないでしょうか。
一般的には、税務会計の基準に従って1円たりともズレがないことが「正確」だと思われる方が多いのではないでしょうか。おそらく我々会計事務所の人間ほどそう考えます。しかし税務会計の基準を寸分違わずに適用させて月次決算を行うことが本当に「正確」なのでしょうか。
外部の人が見て信頼できる月次決算とは
経営者の方に目指して頂きたい「正確な月次決算」とはどんな月次決算なのか。それは「外部の人が見て信頼できる月次決算」ということになります。
では「外部の人」とは誰を指すのかということになりますが、例えば、税務署や金融機関といえるでしょうし、あるいは将来M&Aで外部へ売却を考えている社長であれば、その売却先になります。要は外部の第三者から見た「正確」が「正確な月次決算」だと考えています。
外部の人間は中立的な立場、場合によってはより厳しい見方で、会社の財務諸表を分析します。経営者である皆様であればそのような経験を一度や二度はされていることと思います。
ですから彼らの分析に耐えうるだけの財務諸表を作成できているということが「正確」な月次決算をしているということに他ならない訳です。
ともすると税務会計基準に則っていることだけが正確だと考えがちです。もちろん税務会計基準に則っていることは当たり前の話で、しかし実務を考えた場合、月次決算を見た相手から納得、評価されることが最大限に重要なことです。だからこそ「正確」な月次決算と言われれば、外部の第三者からきちんとした決算をされていますね、と言われる決算ではないでしょうか。
正確な月次決算は”儲けるため”に行うもの
そして外部の第三者から信頼されるような月次決算を重ねていくことは、会社経営が過去から現在にかけて適切に行われてきた証でもあります。
正確な月次決算を重ねている会社の貸借対照表を見ると非常にシンプルな貸借対照表になってきます。会計は、現実的には事実を意図的に歪めることも可能です。そこで粉飾決算のようなことを行ってしまうと、それが常態化してしまい、もはや何が正しい数字なのかもわからなくなってしまうことも少なくありません。使途不明の仮払金が多額に計上されていたり、もはや回収できない売掛金が計上されていたり、存在しない在庫が在庫として計上されていたりします。リカバリーできずに常態化させてしまうと、もはや本業が儲かっているのかそうでないのかも判別できないようになってきます。
こうなると会社は誤った過去情報による数字を基に事業計画、資金計画を考えることになり、将来の判断は著しく困難となります。将来の経営計画を行う上で過去情報である月次決算は極めて有効なものです。正確でない決算書を作ることは、その機会を自ら放棄しているといえるのではないでしょうか。
来たる未来のためには、正確な今を知ることが第一歩です
月次決算はあくまで日々の経営を数値化した結果です。ですから本業で儲けが出ていなければ、いくら「正確」な月次決算をしたところで当然数字は悪いものになります。むしろ月次決算がその正確性を高めるほど、社長の感覚よりもシビアな結果となることが一般的かもしれません。「正確」な月次決算を実現するということは、より「本業で儲けを出す」ことを要求されるのです。
長い会社経営においては良いときばかりでなく、悪いときもあります。ですから悪いとき、つまり一、二年の赤字に陥っても耐えうる体力の確保と、すぐに黒字転換できる施策を準備していくことが重要だと感じます。赤字になってから考えていては遅いということです。
いよいよ東京オリンピックが1年後に控えております。それまでは景気は持つだろうというのが今までの雰囲気でした。ところがいろいろなお話を伺っていると、もしかするとその前に景気後退が始まる、あるいは始まっているという声も聞こえます。
見えないものをむやみに怖がっていても仕方のないことではありますが、どういう状況になっても最悪の状況に陥らないための準備をしておくことは重要だと思います。考えることに対する原価はゼロですし、万全とは言えないまでもある程度の対策を講じておくことが経営リスクを減じることにつながるのではないでしょうか。
ずっと儲け続けるというのは、本当に難しいことです。過去に莫大に儲けていた人でも、現在姿を消した人はいくらでもいます。逆に最後まで儲け続けた人は極々一握りです。それくらい経営者という仕事は難しいのだと思います。
ですから我々も微力であっても社長のお役に立てるようやってまいります。どうぞ引き続き、宜しくお願い致します。