マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

平成30年度の確定申告を終えて

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第45号] 平成30年度の確定申告を終えて

2019年3月27日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の45】

『出口までを考えて、儲かるのか?』

バブル崩壊から約30年、決して下がることはないと言われた地価も今やピーク時の半分を大きく下回る。
都市圏におけるここ5年間は、地価の回復が僅かに感じられるものの、染みついた価格下落を払拭するほどの勢いはないのが現状だ。

きたるオリンピックが過ぎ需要が落ち着いた後も、日本経済が今よりも上向きに成長するならば良い。
しかしそうはならないという見方が大勢である以上、我々は景気悪化を想定した先回りの経営が必要がである。
「今が良い」は決して続くものではない。今一度、出口を見据えた選択をして頂きたい。

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毎年2月16日から3月15日までは所得税の確定申告の期間です。マエサワ税理士法人もこの時期は所内が慌ただしくなります。一種の風物詩ですね。

確定申告の期限は3月15日までですのでそれまでに申告をすれば問題ありません。しかし、お客様から預かった書類に不足があったり、特殊案件で事前の予測よりも丁寧な事実確認が必要となった場合など不測の事態に対応するために、我々は常に早めの完成を心がけています。

普段であればどうということのない処理でも焦ってしまうと誤るリスクは高まります。税金すなわちお金に直結する業務ですので、間違いは許されません。お客様には毎年早めに資料をご提出頂き、つつがなく申告業務を終えることができております。これからもどうぞ宜しくお願い致します。

格差拡大、現況からも顕著な給与の二極化

さて、今年の年明けあたりに各顧問先の年末調整の結果を見ていた会長の前沢が、「30年前の給与所得を見ると500万円以上の方がざらにいらしたのに、最近は100万円、200万円の給与所得の方が増加してきた」というような話をしていました。

バブル崩壊以後、大手企業を中心にそれまで正規雇用者を採用していたのを、非正規雇用者の採用にシフトしていきました。人件費高騰を抑制する上で一定の効果があったのは事実です。しかし今になってみると、技術の継承が会社内でできているか、従業員の給料は増えているのか、会社の技術力は上がっているのか、等々の課題は解決できない30年だった気がします。

今では夫婦共働きの家庭が非常に増えています。女性の社会進出も30年前に比べれば活発です。これ自体は喜ばしいことといえますが、昭和の時代は旦那さんの給料だけでやりくりできたものが、平成に入ってからは家庭の奥さんまで働かなくては生活レベルを維持できなくなったともいえるのではないでしょうか。

一方で、非常に高額な報酬を得ている経営者の方々も多くいらっしゃいます。事業が社会に受け入れられ、会社に儲けを残しつつ、個人としてもきちんと報酬を得ている方々です。二極化という言葉が語られるようになって久しいですが、この格差拡大の傾向は今後も続くのではないでしょうか。我々は勝ち組の方々に選ばれる税理士法人でなければならない、と強く思います。

不動産の値下がり予兆を肌で感じる年

マエサワ税理士法人における所得税確定申告の結果を見てみると不動産の譲渡の件数は平成28年分が平成30年分を含めた前後の年に比べて非常に多かった、平成28年分は前後の年の倍以上の件数であったという結果になっています。

一方で3月に発表された公示価格を見てみると全用途平均が4年連続の上昇となっており、上昇幅も3年連続で拡大し上昇基調を強めていると国土交通省のホームページ上でも書かれています。
皆様の感覚としてどのように感じられていらっしゃいますか。私にはとても上昇基調を強めているとは感じられません。

例えばスキーリゾートとして有名な北海道のニセコ地区は地価が元々安いとはいえ、ここ数年、地価の上昇率が日本一です。私は最近まで年に1,2回夏に冬にとニセコを訪れていましたが、10年以上前からニセコのパウダースノーを求めて、オーストラリア人やニュージーランド人がたくさんやってきて、その人たちがペンション経営やレストラン経営をするようになったのを見てきました。
その頃からこの地域の地価は上がり続け、今では中国人がたくさんやってきて中国資本のホテルも建ち始めました。
ニセコに行ったことのある人ならわかりますが、もはやニセコは外国です。
市内循環バスの運転手さん(当然、日本人です)までが和製英語で放送しているくらいです。

つまり日本を魅力的に感じている外国人にとっては日本の不動産は格好の投資対象になっていますが、当の日本人からすると多くの方がこれからは下落傾向にあると感じていらっしゃるのでしょう。だからこそ、今のうちに処分しようと動かれたここ3年間であったように感じます。

昭和の時代であれば「土地は持っていれば値が上がるもの」だったのが、平成も終わりに差し掛かり「土地は持っていると値が崩れてしまうもの」になってきているように感じます。

景気悪化を前提としたとき保有不動産をどうするか?

来年はいよいよオリンピックイヤーになります。多くの方がオリンピック後の景気悪化に警鐘を鳴らしています。
法人で不動産を所有されており含み損があるようであれば、オリンピック後の景気悪化に備えて、今のうちに不動産を売却することで損失を確定させるのもひとつかもしれません。もちろん、ただ損失を出しても仕方がない話で、本業での儲けが出ていることを前提とし、節税という話にも繋がります。また、売却による資金化も経営の攻めと守りの一助となることでしょう。

昭和の終わりから平成の初めにかけて建てられたアパート、マンションも老朽化が進んできており、修繕の金額も大きくなっている場合が多いようです。これも不動産を所有されている方々の数字を見ていると感じることです。またこのような不動産をお子様方に譲られる場合もあるかと思いますが、やはり管理する負担や借金返済の負担も小さくないのが実情のような気がします。

今置かれている状況、そして10年20年後の将来に予想される状況を考えて、所有されている不動産をどうしていくか検討していくことが重要かもしれません。法人・個人に関わらず、是非、マエサワ担当者にもご相談ください。