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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第47号] 売上に対する意識づけ
2019年4月24日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の47】
『拡大基調』
人生における経営とは、ときにエスカレーターを逆走しているようなものだ。
止まっていては置いて行かれ、歩いているだけでは前に進まず、常に儲けに向けて走り続けねば銭を稼ぐことはままならない。
ある商品が売れなくなってきたとする。なぜか?
激変する市場に置いていかれたのか、緩慢な市場で飽和しているのか、どちらにせよ相対的に付加価値が落ちているのだ。
「じゃあ値引きをしよう!」も誤りではない。しかしそれよりも「じゃあ売れる商品を作ろう!もっと売れるように変えよう!」が更なる儲けへの前進と言えるのではないだろうか。
今日と同じ明日は来ない。安寧は壊れるものと備えて頂き、常に拡大基調をもって前進して頂きたい。
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平成31年4月1日、マエサワ税理士法人は3人の新人職員を採用いたしました。これで会長の前沢以下41人という所帯となりました。皆様のおかげをもちまして拡大基調で事務所経営をさせて頂いております。
我がマエサワ税理士法人の経営方針の4番目に「常に拡大基調をもって経営の基本とする」という文言がございます。この言葉の意味するところは文字通り、我々は会社として拡大し続けなければ、衰退を免れない。常に事務所として拡大基調であり続けよう、ということです。
ただ膨らますのではなく、意識して拡げる
この「拡大」というところが大きなポイントです。これを単純な売上拡大と捉えては問題があります。単なる売上拡大では「拡大」ではなく「膨張」になってしまう場合もあります。
「拡大」は目的意識をもって売上をコントロールできる状態で増加させていく場合が該当します。一方で「膨張」とは自分自身では売上をコントロールできない状態で増加してしまっている場合が該当します。
経営の観点で「拡大」と「膨張」の違いを考えれば、「拡大」は利益率を下げることなく売上を増加させることをいい、「膨張」は利益率がどうなろうと構わずに売上を増加させることを指します。
原則として会社を経営している以上、売上は増加していかなければならないと考えます。やはり会社の成長を考えた場合、数字として売上の増加が会社の成長を表すことになるからです。ですからマエサワ税理士法人では「拡大基調をもって経営の基本とする」としているのです。
売れてないから値引きをするという悪循環
ただし利益の増加を伴わない売上増加は非常に危険といえます。このメールマガジン上でも何度か書かせて頂きましたが、値引販売→販売個数の増加→売上の増大という方法は一時的には粗利益額を維持・増加させるかもしれませんが、人件費を始め運賃等の様々なコストを増加させる要因にもなり、結果として最終利益では値引販売前よりむしろ少なくなる場合も多いようです。
厳しい言い方にはなってしまいますが、値引販売をしている商品やサービスは消費者ニーズに合わなくなっている可能性があります。(もちろん、単に販売ターゲットがずれていることが問題であり、ターゲットを再定義することで同じ商品やサービスが売れる場合はあるかと思います。)
ただ現実に消費者ニーズに合わない商品やサービスであるとすれば、値引販売は悪手となるケースが非常に多いように感じます。更なる値引を行わなければ売れないようになってくると、いよいよもって赤字へ転落という憂き目にあってしまうでしょう。
そうならないためにも会社が人・モノ・金に余裕がある段階で、5年後、10年後の備えとして新たな商品やサービスの開発が非常に重要になってきます。今、ヒット商品があり、数年ないし10年程度はやっていけるとしても、その後どうなるかはわかりません。今の世の中、ほんの2,3年後でも激変する可能性は十分にあります。新進気鋭のIT経営者がほんの数年で会社を上場させたと思ったら、その2,3年後には債務超過に陥った、ということも起きているくらいですから。
価値の劣化にいかに備えるか
話を元に戻すと、値引販売をした分、販売数量を増加させ粗利益額を維持できたとしても、売上単価が下がるので1個当たりの粗利益は減少します。従って商品1個の売上に対する粗利益額の割合、つまり粗利益率は減少します。粗利益率が下がっているということは、どんな理由があるにせよ、その商品なりサービスの付加価値が落ちているということです。つまり、消費者ニーズに合っていないということ。消費者は、値引後の価格程度の付加価値しか、認めていないのです。ですから本来、こういった商品についてはたくさん売ることを考えるよりも、どうやって付加価値をつけていくか、あるいは新商品の開発を考える方がより重要なのではないでしょうか。
実際には、儲けが出なくなった分たくさん販売する、つまり値引販売をする方が圧倒的に多いはずです。そちらの方が短期的には手っ取り早く粗利益額を元に戻せる可能性が高いのです。しかし本音を言えば「値引販売は新製品開発よりも楽だ」という側面もあると思います。
でもそうした方法は早晩、会社経営を破たんさせる可能性が高いのは上述のとおりです。商品の価値がさらに劣化すれば、その値段ですら売れなくなるのは必定です。例えばガラケーからスマートフォンに代わった時などは商品劣化が一瞬で起きました。徐々にではなく一瞬です。いくら安売りしても、極端に言えば一瞬にして商品が全く売れなくなる可能性もある時代になったともいえます。
儲かる・儲からないを多角的に思考する
中小企業の場合、潤沢な資金がある訳ではないので上場会社のように大規模な開発部隊など作りようもありません。しかし、会長の前沢もよく言う言葉ですが、「頭を使うのに原価はかかりません」。常日頃からとにかく考えることだと思います。
今後1年のキャッシュフロー予測をたて、どれだけ儲けなければならないのかを考える、不測の事態に備えて余剰資金を蓄えるためにどうしたらよいか考える、将来のヒット商品を創るべく構想を練る、今ある商品に更なる付加価値をどのようにつけられるか考える、実にいろいろな「考える」があります。
いろいろなタイプの社長がいらっしゃいますが、儲けている社長は基本的に将来については悲観的な予測をしていらっしゃる方が多い気がします。「最悪、こうなったとしても、こうしておけばなんとかなる」という話し方です。ド真剣に考えて、その結果、結論を導き出した後は、非常に楽観的になります。「まあだめでも最悪、こうなるはずだから」と。
最悪の事態が現実にならなければ良いに越したことはありません。しかし最悪の事態が起きた時に初めて考えているのでは遅すぎますし、社長からすれば会社は自分自身と同じ、まさに自分事です。将来を世の中の成り行きに任すというのは、それこそ自らの人生を人任せにしてしまうのと同じではないでしょうか。
今回は非常に生意気な文章になってしまいました。私自身若輩者でまだまだ経営者にもなりきれず、前沢会長の庇護の下にいる身であり、経営者として大先輩である社長の皆様には大変失礼な物言いでありました。この場をお借りしましてお詫び申し上げます。
「私自身がマエサワ税理士法人の行く末を誰よりも考えなければならない」と思慮していたところから生まれた文章ということで、広い御心で読んで頂けたら幸いです。ありがとうございました。