マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

職業会計人としての役割 

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第48号]職業会計人としての役割 

2019年5月8日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の48】

『記帳代行にこだわる税理士、儲けに切り込む税理士』
なぜ自社で経理をすべきか?それは”数字への表れ”を真っ先に把握すべきは社長自身であるからだ。赤字になるということは、何かが人とズレてしまっている。その事実が分かっていないから赤字になる。儲からない。
その歪みが数字には表れているのだ。社長が数字の中身をきちんと把握できていないというのは、儲けへの切り口に目を伏せる所業である。

我々は毎月社長にお会いしてお話を伺うことを仕事の方針とし、社長への役立ちを経営方針としている。この路線が正しいと信じて、40年変わらずやってきた。
その上で、何が儲けへの役立ちとなるか?それを考えることが会計の目的でもあり、その裏の経営を見るということである。引き続き、”社長の儲けへの役立ち”を意識して邁進したい。

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この5月1日に平成から令和へと時代が変わりました。具体的に何かが変わる訳ではありませんが、やはり時代が変わるということに感慨を覚えます。我が国の経済は平成の30年、大変厳しいものとなりました。令和時代はなんとか衰退から再び盛り返していきたいところですが、いかがでしょうか。

いつもは社長の皆様に「とにかくまずは儲けましょう」ということばかり申し上げておりますが、今回は社長に儲けて頂くために我々会計事務所がどう考えるべきか、私なりに思うところを書かせて頂きます。

失われた30年、税理士業界のこれから

税理士業界も他の業界と同じく、平成の時代はまさに二極化の時代でした。税理士事務所の大規模化による格差の拡がりもそうですし、仕事の幅の拡がりもそうです。

かつて会計事務所といえば、顧問先様から請求書、伝票をお預かりして事務所で入力作業を行う記帳代行業務が業務の大きな柱でした。それに頼っている会計事務所は今でも数多くあるかと思いますが、そういった事務所の経営は非常に厳しい状況にあると言えます。

なぜなら、安価で正確な会計システムがあるからです。会計システムは日々進化を続けています。フィンテックの広がりとともにペーパレス化や自動仕訳の計上など、その技術の進歩にかつての記帳代行業務は姿を消す日も遠くないでしょう。それでも入力は面倒くさいからと会計事務所に記帳代行をお願いする会社もあると思います。しかし、入力作業は時間がかかる割には付加価値を創出しにくい業務ですから、投入時間に見合う報酬は頂けなくなっています。

根本は”儲けに対するお役立ち”

マエサワ税理士法人では記帳代行は過去から今に至るまでほとんどやっておりません。例外として会社設立当初や突然経理責任者が辞められた時など突発的にお引き受けする程度です。

なぜ記帳代行をやらないかといえば、自分の会社の財布はやはり自分で管理するのが当たり前ですし、初期的に社長自らが経理の数字を見ていくことは、その後経営をしていく上でも非常に意味のあることだからです。数字を読めれば、ポイントになる数値や指標を財務諸表からすぐに読み取ることができます。ですから初期的に記帳のお手伝いをすることはあっても、基本的にはすぐに会社に引き継いでいくようにしております。
マエサワ税理士法人としては記帳代行で報酬を頂くのではなく、もっと経営に近い所で仕事をさせて頂く方がずっと社長の役に立てると思っております。

今や税理士業界では記帳代行から脱却し、様々なコンサルティングを行っているところが増えております。セミナーも毎週のように開かれており、事業再生に事業承継、M&Aや組織再編など枚挙に暇がありません。

しかしこれらの「お役立ち」の根本は何かといったら、なんといっても「儲けに対するコンサルティング」であるとマエサワ税理士法人は考えております。これは会長の前沢が会計事務所を創業してから今に至るまで一貫してこだわってきた経営理念です。私もマエサワ税理士法人として引き続き、「儲けに対するコンサルティング」をやっていかなければなりません。

何のために税理士はいるのか?

ただ「儲けに対するコンサルティング」をやろうとしても、ともすると税理士としての知識だけが先行し、問題解決を技術だけで行おうとするきらいがあります。資格業だからそのような思考になるのは自然と言えば自然なのかもしれませんが、それだけで本当に社長のお役に立てるのかといえば答えはノーなのではないでしょうか。

同じような問題といっても、会社や社長によってやはり内容も解決策も異なります。にもかかわらず税理士は税務を理解していればよく、税務について社長に説明できればそれで十分と思っている税理士が非常に多いように感じます。

社長にとって税務は経営のごくごく一部の話ではあるけども、納税という直接支出につながるところだからこそ、報酬を払ってでも税理士と顧問契約をしています。税務を教えてもらって勉強しようと思っている社長など基本的にはいないわけです。

一方で「経営について困ったことがあった時に、誰に相談するか」という質問に対する回答で一番多かったのは税理士だそうです。金融機関という回答もありましたが、そもそも融資を受けているところに相談はしづらいことも多いでしょうし、身内にも話しにくいケースは多くあります。となると会社の数字、内部情報も知っている税理士に相談しよう、となるのはよくわかります。これは我々からすれば大変有り難いことであります。

しかし、記帳代行ばかりやっている税理士に社長は相談しようと思うのでしょうか。誰でもできることをお願いしているのに、その人に敢えて相談しようとは思わないはずです。

社長の経営上の悩みを共有し、それに対して改善策を提案する。社長が選択し、それを実行して儲けに繋げて頂く。これこそがマエサワ税理士法人の顧問先様に対するお役立ちの究極です。

会計事務所にそんなことできるのか、というように思われるかもしれません。実際に現在それができているかといえばまだまだです。しかしマエサワ税理士法人は様々な業種、業態、規模の会社を見てきております。

さらに会計事務所として多くの顧問先様へ伺う中で、社長から様々なご相談を頂いております。事業承継のご相談、事業再生のご相談、グループのホールディングス化のご相談など様々です。これらの過去のご相談の蓄積がマエサワ税理士法人にはございます。それらの知識・知恵を総動員して顧問先様のお役に立つということが全てです。

職員共々、税務会計についての正確性はもとより、儲けに対するコンサルティングの精度をさらに高めて、顧問先様へのお役立ちの実現を目指して参ります。令和という新たな時代の幕開けに際し、引き続きのご愛顧をお願い致します。