マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

頭では理解していても実際にやってみると・・・

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第51号] 頭では理解していても実際にやってみると・・・

2019年6月19日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の51】

『自分よがりの仕事』

無意識下で自分よがりの仕事をしていることを自己満足の仕事という。

誰しもが自己満足の仕事をしようとは思っていない。
相手のためにという気持ちは誰しも持って仕事をしているものだ。

しかし、その「相手のために」が相手の望むところとズレた
「自分が思う『こうあるべき』『これが良いのだ』」となっていないだろうか?

自らの仕事振りを今一度振り返ったとき、
今日の仕事はまずまず上手くやれたぞと思ったときほど注意したい。

その「上手くやれた」を決めたのは果たして誰であろうか?

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今年も6月6日、7日の2日間でマエサワ税理士法人恒例の参禅研修に行ってまいりました。一昨年より栃木県の妙雲寺さんから千葉県の妙性寺さんへと開催場所を移しております。妙性寺さんでの参禅研修も3回目となりました。

参禅研修といっても1泊2日の話ですから修行からは遠くかけ離れています。初日夜と2日目早朝に座禅を一時間半ずつ行うこと、2日目の朝にお経を唱えるおつとめを行うこと、がお寺での研修会らしいプログラムでしょうか。それら以外は、全て座学での研修となります。

座禅をしたりお経を唱えることを除けば、事務所や近くの研修所でもできる研修を敢えてバスでお寺さんにまで行ってやる意味があるのか、それは捉える人によって答えが違うのかもしれません。必ずしも参加者全員にとって意味のあることではないかもしれません。しかし、この研修に意味や意義を感じる参加者も確実にいると考えております。

自分勝手な“本気の座禅”

それはさておき、今回は研修中にご住職がお話しされたことをご紹介したいと思います。
座禅を始める前にご住職から、「皆さん、『座禅』とはどういうものかご存知ですか?おそらく日本人であれば『座禅』とはどんなものかご存知だと思います。」というお話がありました。続けて「ただこの場においては、皆さんが知っている『座禅』は頭の端っこに鍵をかけてしまってください。そしてこれから私の言う通りの『座禅』をしてください。」と仰いました。

ご住職のおっしゃる座禅は、「丹田と両膝で安定した三角形を作り、その上に背骨を立たせるイメージで座禅をし、座禅中は決して目をつぶらない、音を立てない、外から音があると何か連想してしまいそうになるが連想したりしない、とにかく動かない」というものでした。

きちんと聞いていれば誰でもこの座禅がどんなものか理解できるはずです。おそらくマエサワ税理士法人の職員も私を含めて全員頭では理解できていたはずです。しかし実際にできている人はほとんどいませんでした。座禅開始と同時にほとんどの職員は目をつぶっていました。かく言う私も他の職員が目をつぶっているということを見ている時点できちんとした座禅ができていないと言っているのと同じなのですが。

座禅の時間が終わろうとした際にご住職から厳しいお言葉を頂きました。「今、本気で座禅ができたと思う人は手を上げなさい。」「君たちは知識としてはたくさんのものを持っており、優秀といわれるのかもしれない。しかし、お客様のためではなく、自分よがりの仕事になってはいるのではないか。それが非常に心配だ。」ということを話されました。
自分で勝手に考えた仕事をして、仕事をした気になっているだけで相手の役に立っていない仕事しか実はしていないのではないか。強烈なお言葉です。

自分よがりの“相手のために”

このメールマガジンでも常に頭において書かせて頂いている通り、我々の仕事は、顧問先の社長の経営に役立つサービスの提供、つまりは儲けのお手伝いが業務の中で最も大きな比率を占めています。税務会計は?というお話もありますが、それは会計事務所ですから、業界水準以上のレベルでクリアしていて当然であり、その上でマエサワ税理士法人は社長の経営に役立つご提案をさせて頂く、という話です。

それがご住職から見れば、自己満足の仕事になっていませんか、と言われているのです。決して職員一人一人が意識的に自己満足の仕事をしているなどおよそ思っていないはずです。でももしかするとクライアントの社長は、マエサワ担当者から小難しい税務用語ばかり話されていやになっているかもしれません。あるいはマエサワ担当者がいう意見が絶対だというように聞こえてしまっているかもしれません。何より私自身、無意識的に社長の皆様にこういったことをしているかもしれません。

無意識で私自身がやっているところが、つまりは私の本質的なところできちんとしていない部分があるということです。もっと具体的に言えば、我々の仕事は社長の皆様の経営に携わらせて頂いている以上、あくまで経済合理性、つまり儲けにつながる話ができるかどうかというところで勝負しなければなりません。しかしこちら側の経済合理性ではないところの考え、例えば感情的なところであったり、税務会計にのみ固執した考えであったりというところで社長とお話してしまっているということです。

誤解して頂きたくないのは人間は感情を持つ動物ですから、当然のことながら社長の皆様の感情的なところを感じながらお話していかなくてはなりません。しかしそれを聞く我々も感情的になってしまえば経済合理性に基づく冷静な判断はできません。

それでも時には社長と熱い議論を交わすこともございます。そのときもし我々が腹に一物を持って話すようなことがあれば、社長の皆様はすぐに見抜かれるはずです。それではただの喧嘩にしかなりません。我々は経営が間違った方向に行きそうだと思えば、それを社長にお伝えしなければなりませんが、それは真にそう思うからであって、仮に喧嘩のようになってでもお話させて頂くだけの話です。

でも真意が伝わっていれば、次回の月次監査でお会いした際には、「この間は失礼致しました」ということで終わってしまいます。むしろ本音でお話して信頼関係が強くなったと思えます。我々のような資格業ほど、その資格に固執するきらいがあるので素直に人の話を聞くことが出来ないのかもしれません。

今回は自己の反省も含めまして書かせて頂きました。これからも精進し皆様の経営のお役に立つ事務所としてやってまいりたく存じます。どうぞ宜しくお願い致します。