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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第53号] 商品開発には時間がかかる
2019年7月17日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の53】
『 相手が求め、満足する“良い商品”を!』
自社の販売する商品を思い浮かべ、考えて頂きたい。
「顧客がその商品を買うに足る理由は何かあるのだろうか?」と。
ここで5個、10個とその良さが口をつくのであるならば、貴社の商品は競争力もある時代に合った商品と言えるだろう。
改めて考え直してしまった商品は、是非とも付加価値を加えて、他社他店に負けない、顧客が満足する商品を目指して頂きたい。
買った客が「満足する」とは、「買いたい」が「買って良かった」に変わることだ。
だからこそ「この商品は売れる!」ではなく、「この商品なら買いたいと思われる」と金を払う側の目線に立たねばならない。
今時点で顧客に売れる良い商品であったとしても、それが5年、10年先も同じように売れることは非常に難しい。
「相手の役に立つ儲かる商品」は時代に合わせて在り様を変えるため、引き続き弛まぬ商品・サービスの開発を続けて頂きたい。
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国税庁は毎年「会社標本調査」を行っております。先日、平成29年分の調査結果が発表されました。(国税庁のHPで閲覧可能です。)
この調査によりますと、平成29年度の黒字法人は1,006,857社、赤字法人は1,687,099社で、合わせて2,693,956社のうち黒字法人割合は37.4%となっております。前回、黒字法人が100万法人を超えたのは平成4年でした。平成4年といえばバブルが崩壊し始めた頃です。実に25年間、黒字法人数が平成4年の水準を上回ることはありませんでした。そういう意味ではようやく経営環境が上向いてきているともいえるかもしれません。
とはいえ、平成4年の時の黒字法人割合は46.9%でした。平成29年度の黒字法人割合は37.4%ですから、平成4年の状況にはまだまだほど遠いこともわかります。
経済が再度落ち込む前に出来ること
そんな中、いよいよ東京オリンピックも近づきつつあります。今は東京オリンピックに向けた高揚感も出ております。東京の中心部はいまだ高層ビルの建設ラッシュが続いておりますし、オリンピック村の建設、道路の建設などが進んでおります。
一方で中小企業の業績に目を移してみると、利益は出ているものの粗利益率は落ち始めている企業が多くなっております。多少価格を落としてでも量を捌くことでなんとか利益を維持している企業が増えているように感じます。しばらくはそれができたとしても、東京オリンピックが終わり現在の高揚感がなくなれば、おそらくはさらなる値下げをしなければ、販売数量は落ちてしまうのではないでしょうか。
やはりこうなる前に新商品投入が必要になります。新商品投入といってもその構想、開発から始まる訳ですから、相当の時間が必要です。時間だけでなく、人や資金も必要です。
商品開発事例(サービス業:A社の場合)
情報提供サービスを営むある顧問先(A社)様では、「人」がまさに人財となっております。A社は一人当たりの生産性が100万円/月を超える会社です。さらなる売上増加を目指し、人を補充しました。人を補充したからといってすぐに売上につながるということではないので、一時的には一人当たりの生産性は落ちてしまいます。
だからといってこういった会社が人に対する投資を怠れば、必ずや5年後、10年後には業績は落ちてしまい、一人当たりの生産性は落ちてしまうでしょう。マエサワ税理士法人もそうですが、人に対する投資というのはサービス業では特に重要ではないでしょうか。もちろん人数を増やすだけでなく、教育という重要な課題もクリアしていく必要がございます。
A社では現業の拡大を図りつつ、本業の隣の業務を取り込むべく、M&Aも視野に入れています。
商品開発事例(製造業:B社の場合)
また製造業を営むある顧問先(B社)様では設備投資を行うことになりました。製造業の厳しいところは、先に設備資金が出ていってしまうところです。もちろんサービス業においても人を雇い入れれば人件費は増加しますが、製造業の設備投資はさらに大きなものになります。
ところで日本では近年、設備投資のサイクルが長くなっているそうです。本来であれば更新するタイミングが過ぎているにもかかわらず、修繕をすることで設備投資サイクルを長くしている傾向があるのです。業績が悪化している局面において、こういった戦略はやむを得ない措置だと思います。しかし中長期的に見ると、旧式の設備を稼働させることで、余計な修繕費がかかったり、本来の生産能力を発揮できなかったりすることで却って商品の質を落としてしまい、結果として売上減少・利益減少につながり、業績悪化に拍車をかけてしまうケースも散見されます。
特に製造業では、売れる商品を創ることが一番ではあるものの、大量生産し製造コストを下げることも重要です。そういう意味でも設備投資を行い、生産効率を上げていく必要があります。
ただし(逆説的な言い方にはなりますが)、大量生産ができたとしても、売れない商品をいくら作っても意味はありません。ですから今安定的に売れる商品があるうちに、将来売れる商品を開発していかなければならない訳です。
B社は自己資本比率が60%を超えています。財務内容は高いレベルで安定している会社であり、業績も安定しております。しかし新工場竣工から10年を過ぎ、旧工場から引き継いだ設備の中には老朽化した設備も出てきました。
そこでここ数年、設備の更新を定期的に行っております。これはまさに工場における生産効率の維持・向上のためです。それとともに将来へ向けた商品開発も専属の要員を置いて実施しております。今のところは得意先の要望に応じた商品開発が中心ではありますが、いずれはこの会社でしか作れないヒット商品を開発すべく、構想が始まっております。
時代に合わせた弛まぬ商品開発を
商品には残念ながらライフサイクルがあります。今ヒットしている商品もいずれは競合商品となり、あるいは革新的な商品の登場によっていきなり市場から退場せざるを得ない場合もあります。会社を経営している以上、商品・サービスを提供し儲けを出さなければならないのは当然ですが、儲けを出し続けるためにはその時代に合わせて社会から求められる商品・サービスを開発・製造・販売していかなくてはなりません。
サービス業であるマエサワ税理士法人も全く同じです。税務申告だけをやっている会計事務所であるとすれば、社長の皆様に見向きもされない組織となることは自明の理です。マエサワ税理士法人はいろいろな形で会社経営に携わらせて頂きたいと考えております。社長に役立つご提案をしていくことこそが我々の付加価値なのです。顧問先の社長と一緒にさらに発展させていきたいと存じます。どうぞこれからも宜しくお願い致します。