マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

世間の会社に対するイメージ

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第54号] 世間の会社に対するイメージ

2019年7月31日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の54】

『適正価格での販売に必要なこと 』

経営において最も大事なこととは何か?
そう問われたとき、答えは一つ「儲けること」だ。

では儲けるために大事なことは何か?
と問われたとき、そこには様々な答えがあることだろう。

いくつ時代が変わっても、変わらぬ答えの一つとして「商品開発」が挙げられる。
さらに言えば、次の通りだ。
1. 良い商品・良いサービスを開発し続けること
2. その商品の良さを理解し、適正な価格で買ってくれる客を作ること
3. 1.2.を理解し、賛同してくれる社員を育てること

物をつくり、売るという単純な行為であっても、上記1.から2.のいずれかが欠けていては儲けは満足なものとはならない。

自社または自身に足りない部分を省みて頂き、是非とも売る側が思う適正な価格で販売をし、儲けを高めて頂きたい。
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世間のイメージが阻む“適正な”値付け

ある会社(A社)では比較的所得の低い層にターゲットを絞り、商品を販売しておりました。商品の質自体は高いのでお客様満足度は高いものになっておりますし、もともとの粗利益率も業界平均より高いものになっております。
A社はさらに粗利益率を高めるために現行商品よりも高スペックな商品を開発して売り込もうという方針を打ち出しました。
そこで今までよりも所得の少し高い層を顧客ターゲットと設定することにしました。新商品は旧来の商品に比べ、機能性も高まっておりますし、高級感も出ているからです。
A社の社長と会議をしていたときのことです。「これを見てみてください」と社長は私にご自身のスマートフォンを差し出しました。
見せられたのは、その業界に属する各社の商品価格帯が掲載されているサイトの画面でした。
そのサイトには高価格帯商品を扱っている会社が上から順に掲載されております。A社の商品は低価格帯として掲載されていました。
そのサイトを我々に見せながら、「これが現実なんだよ。こんなんでうちの新商品(=高価格商品)が売れると思う?世間のイメージが『A社の商品は安い』と思っている。そういう風にインターネットに出ている。それなのに高い商品が売れるわけがないでしょ。」「そこを解決せずに高価格帯の商品を売り出しても、ヘタしたら詐欺だと言われてしまうよね。」「うちが売ろうとしている商品と世間のイメージが乖離してしまっているんだ。」と少し声を荒げておっしゃっていました。
「この状況を作ってしまった責任は社長である私にある」というのを前提とした上で、社長は自社の製品開発と営業のちぐはぐさに立腹されていました。会社の経営戦略と世間のその会社に対するイメージにズレが生じていることに誰も対策を打っていないことを自社の最大の問題と分析されていました。
実際には消費者目線で今まで以上に良い商品を作られているにもかかわらず、自社のブランドイメージのせいで適正価格をつけられないということも起こりうるのです。いくら会社が「今度の商品は高品質」と宣言したところで世間の人々がそれを認めていなければ、この商品は見込みほどは売れないでしょう。だからこそ会社が世間に与えるイメージというのは非常に重要なのです。

足元を固めた等身大のブランディングを

これはこの会社の問題だけではなく、どこの会社にも起こりうることではないでしょうか。社会に与えるイメージを変えていくというのは簡単ではありません。もちろんマエサワ税理士法人も同じです。
いくら「お客様の儲けに役立つ提案をする事務所」と言ったところで、例えば、税金計算を間違えた、期限を忘れていた、などがあれば、儲けの役に立つ以前に「言ってることとやってることが全然違うじゃないの」という話になってしまいます。
そうなればマエサワ税理士法人の信用は失墜することとなるでしょう。やがては誰にも評価されない会計事務所に落ちていってしまいます。
重要なのは、商品のレベルを上げ続けること、それを売る営業の質のレベルを上げ続けること、の二点です。更に言えば今の時代はそれらを世間に発信し続けていくことも必要なのだと感じます。ただし、広告宣伝費を多額に使って過度・過大な露出をするというような発信が万能だとは私は考えていません。あくまで等身大の商品・サービスを等身大で発信することが必要なのではないでしょうか。
実際よりも大きく言うことで初期的にうまくいっても、実力が伴わなければいずれは馬脚を現します。そうではなく、常に自社の商品・サービスを磨き続けて、その商品を適正価格で買って頂けるお客様を見つけるための発信が必要だと感じますし、そのことを社員の皆様によくよく理解して頂くことが重要なのではないでしょうか。
今回は、世間へのアピールができていない、あるいはそのアピールが会社のイメージとずれてしまうとせっかくの良い商品・サービスも売上に繋げることができない、というお話でした。お付き合い頂きましてありがとうございました。