マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

事業の整理の仕方

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第59号] 事業の整理の仕方

2019年10月9日 配信
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の59】

『会社の未来像を増やす』

昨今台頭しつつあるM&Aは、誰もが使える魔法の道具ではない。
座して廃業を待つのではなく、「会社を売る」ということでその先に幸せを掴める場合もある。
しかし、これはあくまで儲けられる会社が持てる選択肢の一つである。

経営者の高齢化、後継ぎの未定といった承継問題を皮切りに、令和の時代はまさしく大廃業時代となるだろう。
余力・体力のあるうちに、少しでも儲けられる企業として価値を高め、未来を描く際の選択肢を増やしていって頂きたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここ数年「どうやって会社を閉じるか」というご相談が増えてきております。事業承継は当然のことながら(1)その事業が儲かるのか、(2)後継者はいるのか、という条件を満たす必要があります。儲かっている会社で、かつ後継者がいらっしゃればスムーズな事業承継を図るという話になりますが、後継者がそもそもいない、あるいは後継者候補はいたが様々な事情から現実には後継者たり得ない、ということで会社を閉じざるを得ないケースもございます。また現実として、上記(1)(2)の条件をいずれも満たさないケースもございます。会社が借金を背負っているため、借金返済の目途をつけなければ会社を閉じることが困難である場合です。

平成29年10月6日付の日本経済新聞にも『大廃業時代の足音 中小「後継未定」127万』という大題目の記事中に「・・・廃業する会社のおよそ5割が経常黒字という異様な状況だ」ということが書かれています。

今、およそ3社に1社強しか黒字会社はありません。にもかかわらず廃業する127万社中5割が黒字会社ということは、良い会社ほどなくなっていくということです。借金を背負っている会社では会社を閉めたくても閉められないので廃業する会社の5割が黒字会社というのは当然といえば当然かもしれません。

どのように着地するのか?の選択肢

そんな中、先週あるM&A仲介会社の社長とお話する機会がございました

その社長が話していたのは、会社の売り手よりも圧倒的に買い手の方が多いということでした。その会社では会社を買いたいという話が8000件に対して、売りたいという会社は280件しかないそうです。

長く事業をされてきた社長にとって会社は我が子以上の存在であることも多く、「会社を売ると言うのは恥さらしだ」とおっしゃる方も多いそうです。本当に最近になって会社を売買するということが中小企業でも多く行われるようになり、以前よりはそういった感覚の社長は減ってきてはいるのかもしれませんが、まだまだ「会社を売るのは恥さらしだ」という感覚の社長は多いように感じます。そもそも会社を売るということ自体が全く頭にないという社長が圧倒的に多いというのが現実かもしれません。

長く事業を続けていれば、そこで一緒に働いてきた社員もいるでしょうし、会社が蓄積してきた様々なノウハウもあるでしょう。そういった社員を路頭に迷わせない、あるいは有形無形の技術を次世代に引き継いでもらうという意味では、M&Aという方法も会社の閉じ方のひとつの選択肢として検討の余地があるかもしれません。大きな目で見れば日本という国の中で優秀な会社のDNAが将来に引き継がれることになるからです。

まずは儲けられる会社にしましょう

ただし、どんな会社でもM&Aが可能かと言われれば、それが叶わない会社もあります。それは買う側の立場になればわかります。当然のごとく、まずは儲けの出せる会社である必要があります。財務状態はいいに越したことはないですが、結局は売買価格に反映されてきますので、売ろうと考えているならば、まずはこの2、3年かけて儲けられる会社にし、財務状態を少しでも良くすることです。

せっかく長い時間をかけて社長が醸成してきた人、技術、情報を次世代に残していくのも将来の日本を支えていく一助になるのではないでしょうか。これからの日本は少子高齢化が進み、それ以上に経済が減退していくと言われています。

そういう中で人、技術、情報などのある儲けられる会社は、是が非でも残していきたい会社です。マエサワ税理士法人の担当者もそういった話は月次監査の際にお話させて頂いているとは思いますが、もしご興味がおありであればマエサワ担当者や私にもお話しください。

ここまでM&Aのお話を中心にさせて頂いておりますが、M&Aがベストな選択であるとは私自身は考えておりません。会社によってケースバイケースでしょうし、そもそもいくら優秀な会社であって後継者がいないとしても社長が会社を売買することに前向きになれなければ、それも尊重すべき選択です。ただ事業承継の出口戦略のひとつとしてマエサワ担当者もM&Aをお話させて頂くこともあると思いますので、その際は情報のひとつとしてお聞き頂ければと思います。

最後に。最近では数多くのM&A仲介会社がございます。メガバンク系のM&A仲介会社から独立系の上場のM&A仲介会社、その他中小のM&A仲介会社など。それぞれに長所、短所があるように感じます。また同じメガバンク系のM&A仲介会社でも考え方に違いがあるように思います。そして何より担当者によっても全く対応が異なりますから、社長と感覚の合う仲介会社を見つけるのが大変かもしれません。このあたりはマエサワ税理士法人もお役に立てることがあるかと思いますので、ご相談ください。マエサワ担当者、あるいは私にご連絡いただければと存じます。

今回もお話にお付き合い頂きましてありがとうございました。