マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

地方都市の衰退に感じること

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第69号] 地方都市の衰退に感じること

2020年2月26日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の69】

『二極化の荒波』

なぜ人々が都市近郊に集まるのか?
ひとつ分かりやすい理由を挙げれば、経済が回っているからである。
好循環は更なる発展を生み、悪循環が更なる停滞を生むことで、二極化は進んでしまう。

このスパイラルは儲かる企業・儲からない企業においても同じことが言える。
儲けられる企業になること、儲かる企業から相手にされる企業になること、そして儲かる企業を相手にすること。
経営の好循環に身を置き、是非とも二極化の上に位置していきたい。
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マエサワ税理士法人には東京・神奈川・埼玉・千葉以外に本店を置く顧問先様が70社ほどございます。全顧問先様の約1割です。

私自身も現在、月次監査で山形県、福島県、新潟県所在の顧問先様へお邪魔しております。少し前まで遡れば、青森県、宮城県、京都府などの顧問先様にも行かせて頂いておりました。今回は私が地方の顧問先様へ伺う際に感じていることを書かせて頂きます。

新幹線の車窓から

東京から新幹線に乗ろうとすると西は東海道新幹線、東は東北新幹線、北は上越新幹線となります。
東海道新幹線沿線は東京駅を起点にして、新横浜、浜松、名古屋、京都を通り過ぎ、新大阪に到着します。車窓から見える風景は工場地帯あり、田園地帯ありで様々な産業を見ることができます。
上越新幹線は大宮、高崎、越後湯沢、長岡、新潟と過ぎていきますが、埼玉から群馬に入るあたりまで工場が林立しています。高崎を過ぎると山深くなり、越後湯沢、浦佐あたりは山の中の駅という感じです。長岡を過ぎると田園地帯が広がってきます。
東北新幹線は宇都宮、郡山、仙台、盛岡、新青森と通過していきますが、宇都宮を通過するあたりからほぼ田園一色となります。特に盛岡を過ぎるとトンネルが多くなってきます。

最低賃金から見える風景

視点を変えますが、 令和元年の各都道府県別の最低賃金は、青森、岩手、秋田、山形、福島が700円台となっており、他四国、九州でも700円台の県がございます。その他の地域はすべて800円台以上になっております。

これは新幹線から見える車窓とも無関係ではないように思えます。やはり第二次産業(特に自動車産業)の強い東海地区を走っている東海道新幹線の車窓には大工場地帯が見られますし、上越新幹線の車窓からも東海道新幹線ほどではありませんが、工場群を見ることができます。東北新幹線沿線にはなかなかそういった工場群は見られません。唯一、東北地方で最低賃金が800円を超えているのは東北随一の100万人都市である仙台市を有する宮城県です。そういう意味で(あくまで経済的に見た印象ではありますが)、東日本、特に北関東以北は経済的に特に厳しい状況だと言えるかもしれません。

私は、特定の地域が経済的に厳しくなっていると申し上げたいわけではありません。最近強く感じるのは、どういった地方都市であってもも20年前に行った時と比べて、活気を失っているということです。「活気」というのがまた抽象的な言い方になってしまいますが、少し前であれば、軒並み閉店で 「シャッター通り」と言われた商店街も、今では取り壊しが進み草ぼうぼうの 「ペンペン草通り」になってしまっています。

駅前もまばら、大通り沿いもまばら。人はどこへ?

昔は鉄道の駅前を中心に栄えていたのが、最近では国道などの大通りにロードサイド店舗が立ち並び、駅前が廃れているという現象も起きているので、駅前が廃れている=その地域が衰退しているとは言えない地域もあるかもしれません。

しかし、例えば宇都宮駅周辺でも30年前であれば休日にもなれば人々でごった返していた商店街が今では本当に人の姿がまばらになり、かといってロードサイド店舗へ人々が移動したかといえば、近くのロードサイド店舗にもそれほどの人がごった返している場所もありません。

危ぶまれる地方財政の破綻

やはりこの30年で高齢化・人口減少が進んでいることを肌身に感じずにはいられません。そして地方の若い人が東京に来て、より一極集中が進んでいるように感じます。今の日本で、上下水道が整っていない、あるいは電気が供給されていない家庭が日本にどれだけあるでしょうか。おそらくほとんどすべての家庭が上下水道、電気などを不自由なく使える環境にあろうかと思います。

これから高齢化・人口減少が進めば、こういったインフラを維持していくこと自体が困難になっていきます。しかも過疎化した地域などはそういったインフラ整備費を賄うだけの税収がありません。少し前になりますが、北海道の夕張市が地方公共団体としては初めて破綻しました。今後はこういった地方公共団体は残念ながら増えていってしまうでしょう。

引き続き”進む二極化”

こうなるとますます東京一極集中です。若い方々は仕事を求めて東京へ向かうようになり、さらに地方に働く人はいなくなり、ますます地方の力は削がれていきます。

だから東京が良くて地方が駄目だということでは全くありません。ただ現状から予想される将来の日本は東京一極集中に進んでいます。また、そこから類推される経済を考えると、好むと好まざるに関わらず、日本の二極化は劇的に加速していくことになるでしょう。これは日本人がそういう選択をした結果なので仕方ないことです。しかし、そのような環境下においても、顧問先の皆様には是非とも二極化の上の方にいて頂きたいですし、マエサワ税理士法人も我々自身がそうなるように精進して参ります。今後とも宜しくお願いいたします。

今回も長文にお付き合い頂きましてありがとうございました。