マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

目前の難局への準備と対応

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第70号] 目前の難局への準備と対応

2020年3月11日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の70】

『有事の際の対応力』

理不尽な外部環境の急変時に、まず手を打たねばならないのは資金繰りだ。
体力が足りなかったことを嘆いていても始まらない。
迫る各種支払は、下がる売上の回収資金で対応しなければならないからだ。

売上向上を前提に考えられた仕入・採用・設備投資は一旦白紙にし、不要不急の支出は一切を止める。専用の融資や補助金の交付を受けるのも一つだろう。
一方で外部環境が落ち着いた暁には、息をつくのも束の間、需要の戻りに合わせて売りを逃さぬよう準備をしたい。

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新型コロナショック

新型コロナウィルス感染症が日本のみならず世界中で猛威を振るっております。日本では公立の小中学校が原則として3月2日から2週間休校となりました。新型コロナウィルス感染症の影響で東京の町からこれまでのような多くの人、特に外国人の姿を見かけなくなりましたが、さらにこの休校により朝夕のラッシュ時に学生を見かけなくなりました。

通勤電車や出張の際の新幹線や飛行機の移動はすいているので楽ではありますが、咳ひとつするにも周りの目が気になり、皆さん電車の吊り輪にもなるべく触れないようにしているのを見ると、新型コロナウィルスという見えないものへの恐怖をまざまざと感じます。

月次監査で顧問先様へ伺っていると感じるのが、経済に対するマイナスの影響の大きさです。3月決算の会社も多いうえ、3月が月次売上の最高となる会社も多いです。

当初は人が集まる飲食業に影響が出始めましたが、今ではそのレベルに止まらず、製造業を始めほとんど全ての業種で経済活動が縮小ないし停滞してしまう状況に陥っております。これだけ人の動きが制約されればいくらテレワーク等の在宅勤務に代替したとしても今までの経済活動を補完できるはずもなく、どこまで経済的に悪影響を与えてしまうか本当に心配なところです。

一方で一部の業種、例えば品不足のマスクメーカーや除菌関係の医薬品を製造する会社などは、24時間体制の臨戦態勢で今も動かれていることと思います。いずれにしても新型コロナウィルスがこれ以上拡散せずに収束方向へ向かうことを切に願うばかりです。

新型コロナウィルスについては特効薬がいまだ開発されていないことを考えると、今しばらくは残念ながら収束に向かいそうもありません。これがゴールデンウィークあたりまでなのか、はたまた東京オリンピックが中止になってしまうところまで行くのか、先行き不透明です。

差し迫る資金繰りへの対応

企業経営をされている社長の皆様におかれましては、この新型コロナウィルスの影響がある程度長期化するものとして経営を考えておくしかなさそうです。経営は最悪の事態を想定して物事を考え、動くときには楽観的にと言われますが、まずは新型コロナウィルスが長期化してしまったという最悪の事態を想定して、会社がいかにこの状況を脱するかの方策を考えるしかありません。

もちろん、私に言われるまでもなくすでに熟考し動かれている社長の皆様がほとんどであると思います。こういうときなので敢えて言えば、基本的には会社は赤字になったとしても潰れることはありません。逆に黒字でも倒産するところはあります。分かりやすく言えば現金があればひとまず生き残れますし、なければ倒産してしまうということです。

そう考えると、今、社長の皆様が為すべきことは会社が経済的ダメージを食らい、売上入金が普段より少なくなった時にでも仕入債務の支払い、人件費の支払い等を滞りなくできるように、現預金を蓄えておくことです。あるいは支払いを行う際にも優先順位をきっちりつけ、出金についても普段以上にチェックしておくのも重要だと言えます。

とはいえ、今回のダメージを補うだけの現預金がないという会社も実際にはあるかと思います。そうなると金融機関の融資を検討していくことになるでしょう。
借入れについては政府も中小企業への融資を滞りなく行うように指示が出たようですので、今後制度融資により融資を受けやすくなるものと思われます。とにもかくにもまず今を生き残らなければ将来もない訳ですから倒産リスクを小さくするための方策を取るべきです。

さらに雇用安定助成金などの適用もあるようです。こちらも休業補償に充てていくなど、会社の金銭的負担を少しでも軽くしていく必要になります。

東京オリンピックが終わるまでは今の景気が維持されるのではないかという期待感があったのですが、その期待は削がれてしまうことになりそうです。

日本経済はアゲインストの風が強くなるばかりに感じられてしまいますが、今は本当に耐える時であると捉え、今できること、具体的には資金繰りが行き詰まらないように資金計画を綿密に組立て、必要に応じて制度融資を受けるための情報収集・実行や雇用安定助成金の申請等を考えていきましょう。

このあたりのことはマエサワ税理士法人の担当者や直接、前沢へもご相談ください。今回もお読み頂きましてありがとうございました。